① 中間貯蔵・環境安全事業株式会社において実施しているポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業の実施状況、同事業に対する国の財政負担の状況等について

  • 〈事項等〉
    特定検査対象に関する検査状況
  • 〈検査の観点〉
    主に経済性の観点から検査を行ったもの

本院は、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理事業(以下「PCB廃棄物処理事業」という。)等について、都道府県市による保管等の届出がされていないPCB廃棄物等の所在等を把握するための調査(以下「掘り起こし調査」という。)は適切に行われているか、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下「会社」という。)が策定する長期収支計画において、収支相償の実現に向けて処理施設の解体・撤去等費用が適切に見積もられ、国の財政負担が明らかにされているかなどに着眼して検査した。
 検査したところ、掘り起こし調査の終了後に一定量の高濃度PCB廃棄物等の所在が確認されたり、フォローアップ調査を行わないまま最終通知を送付して掘り起こし調査を終了していた市が見受けられたりした。また、会社は、長期収支計画では令和元年度以降の国の追加出資額545億円等を前提として収支相償となるとしているが、環境省は、国の財政負担が最終的にどの程度となるかなどを明らかにしていない。会社が同計画で見込んでいる解体・撤去等費用1000億円は、PCBの除去分別の方法等の検討等の結果次第では更に高額になり、元年度以降の追加出資額が上記の想定額を上回るおそれがある。そして、会社は、解体・撤去等費用の見積りなどをするための具体的な計画策定を終えておらず、確度の高い見積りはできていない。さらに、安定器の掘り起こし調査の結果次第では、国庫補助金により造成されたポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基金のうち中小企業者等の処理料金の負担を軽減するための事業に充てる分の取崩し見込額は変動し、その残高に過不足が生ずる場合には国の財政負担に影響を与えるおそれがある。
 したがって、環境省は、都道府県市に対して、掘り起こし調査において、最終通知を送付する前に十分なフォローアップ調査等を行うことにより、高濃度PCB廃棄物等の所在を確実に把握することが重要であることを十分に周知すること、また、解体・撤去等費用について、会社に早期に確度の高い見積りを行わせた上で、国の財政負担となることが見込まれる額を明らかにすること、会社は、解体・撤去等費用の見積りをするための具体的な計画を早急に定めて、安全かつ経済的なPCBの除去分別の方法等についての検討を行うなどして解体・撤去等費用の低減を図ることに留意してPCB廃棄物処理事業を実施することなどが重要である。
 本院としては、会社が実施するPCB廃棄物処理事業の実施状況、国の財政負担の状況等について、引き続き注視していくこととする。

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