② 租税特別措置(中小企業等の貸倒引当金の特例)の適用状況及び検証状況について

  • 〈事項等〉
    国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 〈検査の観点〉
    主に有効性の観点から検査を行ったもの

本院は、中小企業等の貸倒引当金の特例(繰入率特例及び割増特例)の適用状況や関係省庁及び財務省における検証状況について会計実地検査を行った。
 検査したところ、①会社標本調査の対象となった内国普通法人における事業区分ごとの貸倒損失発生率を算出した結果、全事業区分において法定繰入率が貸倒損失発生率を大幅に上回っていたことなどから、繰入率特例における繰入限度額は合理的に測定されるなどしたものとなっているとはいえないおそれがあると認められた。②消費税等の課税事業者において生ずる仮受消費税相当額を期末一括評価債権額に含めて繰入率特例における繰入限度額を算出しているため、損金の算入額が必ずしも合理的なものとはなっていないと思料された。③e-Taxデータを基に分析した割増適用金融機関277法人における割増適用減税額は計18億1472万余円となっていた。一方、割増適用金融機関の多くについて、自己資本比率が銀行平均値以上となっているなどしていて、その財務基盤は充実していると思料された。④関係省庁は、繰入率特例については、政策評価法等に基づく検証や税制改正要望の際の検証を行っていなかった。一方、割増特例については、政策評価法等に基づく検証及び税制改正要望の際の検証を行っていたが、検証に用いられた指標に、割増特例が対象法人の財務基盤の強化に及ぼす効果を直接示すと思料されるものが含まれていなかったり、税制改正要望の際に、国民の納得できる必要最小限の特別措置となっているかについての検証を行っていなかったりしていた。
 したがって、関係省庁において、引き続きその検証等の基礎となる適用実績の把握等に努めるなどして、適用実態等からみて国民の納得できる必要最小限のものとなっているかなどの観点により検証を行い、国民に対する説明責任を的確に果たしていくことが望まれる。また、財務省においても、貸倒引当金の特例について今後とも十分に検証していくことが望まれる。
 本院としては、今後とも中小企業等の貸倒引当金の特例の適用状況並びに関係省庁及び財務省による検証状況について、引き続き注視していくこととする。

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