② 年金特別会計及び年金積立金管理運用独立行政法人で管理運用する年金積立金の状況等について

  • 〈事項等〉
    国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 〈検査の観点〉
    主に有効性の観点から検査を行ったもの

本院は、厚生労働省及び年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)が管理運用する年金積立金の運用状況等について会計実地検査を行った。
 検査したところ、①運用受託機関に対する報酬について、超過収益を獲得できていないのにパッシブ運用を上回る報酬が支払われているファンドが見受けられたが、GPIFは、平成30年度から、超過収益を獲得できない場合はパッシブ運用並みの報酬となるようにした新しい実績連動報酬制を適用することとしていた。②GPIFが保有している短期資産ファンドの残高は、解散等した厚生年金基金から最低責任準備金が年金特別会計に納付されるなどしたことにより28年度から著しく増加していた。③GPIFが29年度の業務概況書に記載した同年度の各月のVaR(現在保有している資産を将来のある一定期間保有した場合に、ある一定の確率で発生し得る最大損失)は、保有期間1年、観測期間2年等の前提で算出されており、29年度中を通じて減少傾向となっていたものの、GPIFが観測期間を5年とするなどして算出しているVaRは29年度中を通じて増加傾向となっていた。
 したがって、厚生労働省及びGPIFにおいて、①新しい実績連動報酬制の効果について、一定期間後に検証を行うなどして、超過収益獲得のための動機付けがより働くものとなるよう引き続き努めること、②多額の短期資産を保有する状況となっていることについて国民に丁寧に説明すること、③基本ポートフォリオの変更により株式の占める割合が増加してリスクが大きくなるなどしており、収益が減少するリスクについて国民に対して丁寧に説明を行っていく必要があることから、29年度の業務概況書に記載されている保有期間1年のVaRに加えてストレステストの結果等中長期のリスクについて継続して記載することなどに留意し、もって年金積立金の適切な管理運用に努める必要がある。
 本院としては、今後とも、年金積立金の管理運用が運用環境の変化等に即して適切に実施されているかなどについて、多角的な観点から引き続き検査していくこととする。

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