平成11年 Ⅰ種(情報工学)採用 課長級
第2局厚生労働検査第2課 課長 石川 彰(いしかわ あきら)
受験生へのメッセージ 常識を疑う
私の専攻は情報工学系ですが、今から四半世紀前、就職活動先のIT企業で「近くにいる人ともメールで会話しています」と冗談交じりに言われたことが記憶に残っています。業界的にはある程度覚悟はしていたものの、メッセンジャーツールがなかった当時としては結構ショックで、もう少し幅を広げてみようと考え、官公庁も候補先として検討するようになり、そこで出会ったのが、会計検査院でした。
当時はまだ「多様性」などという言葉は流行っておらず、理系の自分が採用してもらえるのか、どのような貢献ができるのか、不安はありましたが、少なくとも「近くの人とメールで会話する」ような職場ではなく、これまで充実した会計検査院生活を送ることができました。
そして、情報工学系とはいえ、画像処理関係が専門だった私は、これまでに直接検査に役立った経験はありませんが、エクセルの関数やマクロを考えたり、説明資料をパワーポイントでなるべくわかりやすくしたりするといったところは心がけてきました。ですので、専門分野とは異なる検査ばかりではありましたが、「へー、これってこうなってるんだ」と、持ち前の好奇心を最大限に発揮して、仕事を楽しんできました。
それでもまだ、「知らない分野の検査ってうまくできるのか」「素人になにが言えるのか」と心配な人もいるかと思いますが、会計検査の世界には「常識を疑う」という言葉があります。特に行政の分野では、前例踏襲・事なかれ主義が多いこともあり、検査を受ける側も検査をする側も、詳しい人にとっては当たり前すぎて疑問に思わないようなことについて、改めて素人目線で見ると「そもそもどうしてそうなっているの?」「今の時代には合っているの?」という疑問にたどり着くこともあります。それをきっかけに、業務を見直したり、経費の節減につながったりすることもありますので、知らない分野であっても、勇気をもって飛び込んでほしいと思います。
AIには決して取って代わられることのない、創造性あふれるこの仕事を、みなさんと一緒にできる日を楽しみにしています。