第2号

接待行政に関する最高裁の違法判断を巡る一考察
中島 孝夫  星野 昌季

中島 孝夫
(会計検査院 審議官(官房担当))

星野 昌季
(会計検査院 検定調査官)

目次

 はじめに
 1 公的財務統制に関する法制度
  (1) 総説
  (2) 公的財務に関する内部的統制
    ——国における弁償責任制度と地方自治法上の賠償責任制度——
  (3) 公的財務に関する外部的統制
    ——会計検査院による検査・検定と地方住民による住民監査請求・住民訴訟——
  (4) 公的財務に関する私法的統制
    ——公務員個人に対する民事責任の追及——
 2 最高裁判決の論理構造
  (1) 市川市長接待費住民訴訟上告審判決における賠償責任制度の解釈
  (2) 接待費用に関する公費支出に対する9月5日判決の違法判断
 3 公務員の弁償・賠償責任と私法上の損害賠償責任
  (1) 総説
  (2) 国の予算執行職員等に対する民事責任の追及
  (3) 国のその他の職員に対する民事責任の追及
  (4) 主観的要件
  (5) 国における実務上の取扱い
  (6) 小括
 4 公費支出の違法性と会計検査
  (1) 総説
  (2) 9月5日判決と10月3日判決の対比
  (3) 公費支出の違法性に関する判断基準
  (4) 会計検査における違法・不当の判断との関係

 はじめに

 昨年秋,最高裁判所第三小法廷において,地方公共団体の長(以下「長」という。)によるいわゆる接待行政に関する公費支出について,その違法性を争った住民訴訟に対する一つの上告審判決が出された(平成元年9月5日判決・昭和61年行ツ第144号・判例時報1337号44頁)。地方公共団体において,その長等が国や県の役人等に対し,これを接待する目的で宴席を設けるなどし,その費用を地方公共団体の公費から支出することについては,近年,地方住民の地方自治に対する関心の高まりとともに,いわゆる接待行政であるとして強い批判が出てきていたところであって,その支出の違法性を主張し,長等に対して住民が損害賠償を請求するという住民訴訟の例が少なくない。本判決は,その上告審判決の一つであり,公費支出を違法とし,長の損害賠償責任を認めたものである。住民訴訟制度は,地方公共団体の民主的財務統制の手段として活用されてきており,そのなかには住民側が勝訴する例もみられ,既に最高裁判所においても,例えば,森林組合に出向させた者に対し,町長が7年間に亘って給与支払いをしていた事案について,これを違法な公金支出に当たるものと判断している例があり(昭和58年7月15日最高裁判決・判例時報1089号36頁),また,接待行政に関する公費支出については,秋田県琴丘町長が友人の検察官と飲食をした際の三次会の費用を町長交際費から支出したという事案に関し,職務行為との関連性なしとして違法判断を示していたところであった(昭和61年3月13日最高裁判決)。今回の判決は,住民側勝訴の一例であるとともに,従来から批判の多かった接待行政について司法によるより一層の歯止めをかけたものとして評価することができるであろう。

 ところで,この判決は,地方公共団体の予算執行の違法性を指摘し,その公務員の責任を追及した点において,国の立場からみても共通の問題性があることから関心の持たれるところであって,いくつかの問題点を想起させる。

 そこで,本稿では,まず,公務員の責任関係を位置づけるため公的財務統制に関する法制度一般について,国と地方の制度を対比しながら概観する。次に,本判決の事案及びその判旨について,これと関係の深い市川市長接待費訴訟事件上告審判決(昭和61年2月27日最高裁判所第一小法廷判決・昭和58年行ツ第132号・民集第40巻第1号88頁)とともに簡潔に紹介し,本判決事案が住民訴訟についてのものであって地方自治法の解釈上固有の問題があったことに留意しつつ,判旨と弁償責任制度等国の公会計制度との関連性ないし理論的整合性について検討し,若干の考察を加えてみる。最後に,判決が示した公費支出の違法性に関する判断基準について述べ,判旨と会計検査上の指摘事項に係る違法・不当の判断基準等との関係についても論及してみることとしたい。

 1 公的財務統制に関する法制度

(1) 総説

 公会計の適正,すなわち,その正確にして適法且つ効率的な執行を図るためには,何よりもまず,現金の出納,物品の管理,予算の執行等に関する各種の法制度を整備し,また,そのための物的・人的諸条件を整えるとともに,公会計実務に携わる職員の職務範囲及び職務上の責任を明確化し,また,違法・不当な支出等,是正改善を要する事項については,内部及び外部の監査体制を整備する等,公会計制度における秩序と規律を確保しておくことが必須の前提条件となるであろう。

 国においては,財政法,会計法,物品管理法,予算執行職員等の責任に関する法律(以下「予責法」という。),会計検査院法,国有財産法等各種の法律を制定するなどして,公会計制度を整備している。

 このうち,とりわけ予算執行の適正を確保するという観点からは,違法・不当である公費支出,又は公金等の亡失等の事故が生じた場合における関係職員の予算・法的責任(アカウンタビリティ)の追及が重要となる。その最も端的にしてシビアーな責任追及形態が,発生した公的損害に対する関係職員の法的な補てん責任の追及,すなわち,公法上又は私法上の損害賠償責任の追及である。

 このような法的責任の追及手段・方法は一様ではなく,また,国における場合と地方公共団体における場合とでは,制度上若干の相違がみられる。しかし,このような公的財務統制の一環としての財務行政に対する法的統制としては,公法的統制か私法的統制か,また内部的統制か外部的統制か,というアプローチにより,これを三分類に整理することが可能であると考える。すなわち,①財務行政に関する内部的統制としての公法上の弁償・賠償責任制度,②財務行政に関する外部的統制としての国における会計検査院による検査・検定の制度,及び地方公共団体における地方住民による住民監査請求・住民訴訟の制度,そして,③財務行政に関する私法的統制としての公務員個人に対する民事責任の追及,である。

(2) 公的財務に関する内部的統制
    ——国における弁償責任制度と地方自治法上の賠償責任制度——

(ア) 国における弁償責任制度

 国の公会計制度においては,弁償責任制度という一つの特徴的な制度が存する。これは,会計法,物品管理法及び予責法の規定に基づき,出納職員,物品管理職員等及び予算執行職員(以下「予算執行職員等」という。)といった会計事務に従事する職員について,その服務の過程において国に損害を生じさせた場合には,一定の要件のもとに弁償責任を課すものである。

 すなわち,弁償責任とは,上記会計法規の規定に基づいて創設された特別の責任であって,かかる弁償責任の制度は,国の公務員がその職務上の行為により国に対して損害を与えた場合に,法律の規定に基づいて一定の要件のもとにその損害を本人の責任において補てんさせ,他方で,この責任追及の制裁的機能を通じて会計法規の遵守確保と公会計上の損害発生の未然防止を図ることを目的とするものである(中西又三「会計職員の責任」現代行政法大系第10巻324〜325頁参照)。

 そして,その要件としては,

① 出納職員については,善良なる管理者の注意を怠ったことにより,その保管する現金を亡失した場合(会計法第41条第1項,第45条)

② 物品管理職員等については,故意又は重大な過失により,物品管理法に違反した管理行為をしたなどのため,その管理する物品を亡失し,又は損傷し,その他国に損害を与えた場合(物品管理法第31条第1項,第2項)

③ 予算執行職員については,故意又は重大な過失により,予算又は法令に違反して,予責法第2条第3項に定める「支出等の行為」を行い,国に損害を与えた場合(予責法第3条第2項)

には,当該職員に対し各省各庁の長等は弁償命令を発することができるものとされているのである(会計法第43条第1項,物品管理法第33条第1項,予責法第4条第3項)。

 なお,弁償責任の法的性質及び検定制度との関係については,後述する。

(イ) 地方自治法上の賠償責任制度

 地方公共団体の公会計制度については,地方自治法がその第9章「財務」において,国における上記各法律上の規定に相当する規定の大部分を集中的に規定する。そのうち,国の弁償責任制度に相応する制度としては,賠償責任制度が同法第243条の2に規定されている。国の予算執行職員等に相応する地方公共団体の出納職員,物品管理職員及び予算執行職員(以下「地方予算執行職員等」という。)のそれぞれの賠償責任のすべてが,この一つの条文に集められた形で規定されているのである。

 そして,その要件としては,

① 出納職員,物品管理職員等については,故意又は重大な過失(現金については,故意又は過失)により,その保管に係る現金,物品を亡失し,又は損傷したとき

② 支出負担行為,支出命令,支出負担行為の確認,支出,支払,監督,検査を行う権限を有する職員又はその補助者については,故意又は重大な過失により法令の規定に違反して当該行為をしたこと又は怠ったことにより普通地方公共団体に損害を与えたとき

には,当該職員はその損害を賠償しなければならず(同条第1項),長は損害があると認めるときには賠償を命ずるものとされている(同条第3項)。

 賠償命令は,当該地方公共団体の長が,監査委員に対して賠償責任の有無及びその額を決定することを求め,その決定に基づいてこれを発することとされている(同条第3項)。これは,地方自治法上地方公共団体の監査を行う権限と職責を有するのは当該団体の監査委員であって(同法第199条),国における会計検査院のような独立した立場にある外部監査機関は存在しないことから,国における弁償命令の場合とは異なって,賠償命令を発すべき事実の存否の調査の段階から監査委員を関与させることとし,また,賠償命令を発するかどうかという判定を監査委員に委ねることとして,賠償命令発出の手続き過程における公正を確保することを期しているものと考えられる。

 賠償責任制度の経緯をみると,新憲法下の地方自治法制定当時,同法には地方公共団体の職員の賠償責任に関する規定はなく,運用上民法の規定が適用されていた。昭和25年同法改正により,職員による現金又は物品の亡失又はき損について善良なる管理者の注意を怠ったときの賠償責任の規定が設けられ,その後昭和38年に現行の上記243条の2の規定が設けられて,賠償責任の対象となる職員の範囲が拡大されている。

(3) 公的財務に関する外部的統制
    ——会計検査院による検査・検定と地方住民による住民監査請求・住民訴訟——

(ア) 会計検査院による検査・検定

 国においては,後述の地方公共団体について設けられた住民監査請求・住民訴訟の制度のように,違法・不当な会計経理に関し,住民が監査を請求したり訴訟を提起したりすることができるという制度はない。その代わり,独立機関である会計検査院による検査・検定の制度があり,これらの制度が公的財務に関する外部的統制の機能を果しているのである。

1) 会計検査院による検査

 会計検査院は,憲法上の機関として内閣に対して独立の地位を有し,国の収入支出の決算及び法律に定める会計の検査を行う権限を有する国の機関である(憲法第90条,会計検査院法第1条,第20条)。

 会計検査院は,検査対象となっている者から,常時,会計検査院規則で定める一定の計算書及び証拠書類の提出を受けるとともに(会計検査院法第24条),検査対象の省庁等に対して必要な証拠資料等の提出を求め,実地の検査を行い,関係者に質問し又は出頭を求めるなどの権限を有する(同法第26条)。

 検査の結果は最終的に決算検査報告として公表され,指摘事項については是正が求められ,又は関係職員による損害補てんの要否が問われることになる。

 国の制度として,一般国民から検査を行うよう請求する法律上の制度は存しないが,実際には一般国民からの様々な情報(投書等)が寄せられることが少なくなく,これらの情報を適宜活用し,必要な資料の提出要求ないし質問等を行って,検査に役立てることが可能である。そして,例えば,不正経理等について,これらの情報に基づいて検査を実施し,相応の結果を得ているという例も少なくないのである。

 なお,会計検査院の権限の一つとして,審査という制度がある(同法第35条)。これは,国の会計事務を処理する職員の会計経理の取扱いに関し,利害関係人からの請求があった場合において,是正を要するものがあると認めるときは,その判定を行い,主務官庁等はその判定に基づいて適当な処置を採らねばならない,とする制度である。一種の行政不服審査制度であって,その限りにおいて住民監査請求制度に類似するが,当事者適格及び審査請求対象事項が限定されている点に大きな差異がある。

2) 国における弁償責任制度と会計検査院による検定

 国の予算執行職員等の弁償責任が問題となる場合,通常は各省各庁の長等から独自に弁償命令が発せられることになる。そして,これに基づいて国損が補てんされる場合が多いが,補てんされない場合には,民事訴訟・民事執行の手続きに移行することになる。

 しかし,各省各庁の長等から弁償命令が発せられないときには,国損は補てんされないままに放置され,弁償責任制度が実質的に機能しないということにもなりかねない。そこで,弁償責任制度の運用に当たっては,第三者機関による弁償責任追及の方途が確保されている必要がある。現行法上,国の予算執行職員等の弁償責任の有無については,外部監査機関である会計検査院が,弁償命令の如何を問わず,「国に損害を与えた事実があるかどうかを審理し,弁償責任の有無を検定する。」こととされている(会計検査院法第32条第1項,第2項,予責法第4条第1項)。

 そのため,会計検査院は,会計に関係のある犯罪が発覚した場合,現金・有価証券等の亡失若しくは物品の亡失又は損傷があった場合,及び予算又は法令に違反した支出等の行為があった場合には,各省各庁の長等からその旨の報告を受け(会計検査院法第27条,会計法第42条,物品管理法第32条,予責法第4条第4項)又は検査を通じて,国損の発生状況を把握しており,これにより職権をもって検定することができるようになっているのである。

 検定とは,この会計検査院が予算執行職員等の弁償責任の有無について審理し,その有無及び額について下すところの判断の表示である。これは,会計検査院に対し法律上付与された一種の準司法的権限のうちの一つとして行使されるものである。

 検定の結果,有責検定がなされた場合において,弁償命令が発せられていない場合には,その検定に従い弁償命令が発せられねばならない(会計検査院法第32条第3項,予責法第4条第2項)。

 このように,検定には弁償命令権者に対する一定の法的拘束力が法律上明文の規定をもって認められているのであって,国の弁償責任制度は,この会計検査院による検定という特殊な外部的統制の制度により法的に担保されているといえるのである。

 有責の検定がなされた場合,国は弁償命令を発するとともに納入の告知を行ってその履行を求めることとなるが,債務不履行の場合,弁償責任に基づく債務について国税滞納処分の例により徴収することができる旨の規定は存しないから,検定にも弁償命令にも自力執行力を認めることはできず,その履行は最終的には民事訴訟・民事執行手続きによることとなる(杉村章三郎「財政法(新版)」有斐閣・法律学全集300頁)。また,弁償責任の有無に関しては,検定が行政部内における最終的判断として確定力を持つものであるが,なおこれに不服な予算執行職員等は,有責検定(若しくは各省各庁の長等の発した弁償命令)に対して取消訴訟を提起し,司法権による最終的な法的判断を求めることができるのは当然である(注1)(注2)。

 弁償責任は,これについて規定する各法律上所定の要件を満たせば法律上当然に発生するものであって,法律の規定に基づいて各省各庁の長等が弁償命令又は納入の告知を行った場合にこれにより初めて弁償責任が生ずるものではないと解される(同旨:中西・前掲339頁)。

 したがって,会計検査院の行う検定も,それ自体設権的ないし形成的効果を持つものではなく,法律上所定の要件を満たしている場合には,既に法律上当然に発生しているはずの弁償責任について,その存否を確認するという性質のものであり(確認行為),また,各省各庁の長等から発せられる弁償命令も,既に法律上当然に発生しているはずの弁償責任の存在について通知するという性質のものである(通知行為)と解されている(岡田康彦編「新訂会計法精解」718頁参照)。もっとも,検定は確認行為であるとはいえ,各省各庁の長等に対する法的拘束力を有するから,弁償責任の追及に関し,各省各庁の長を経由してではあるが当該予算執行職員等の権利義務関係に直接影響し,これを法律上確定する作用ないし機能を有するものと考えられるから,検定は行政処分性を有すると解される(同旨:中西・前掲339頁,岡田・前掲718頁)。

(注1) 物品管理職員の物品の亡失に関する会計検査院の有責検定に対し,これを不服として当該職員から取消訴訟の提起された例がある(昭和59年11月28日東京地裁判決・判例時報1141号70頁)。なお,この訴訟においては,東京地裁は有責検定を支持し,控訴審・昭和60年8月28日東京高裁判決もこれを支持して,原告敗訴が確定している。

(注2) 検定の結果について,各省各庁の長等からこれを争い得るとする機関訴訟の定めは,現行法上存しない(行政事件訴訟法第6条,第42条参照)。

(イ) 地方住民による住民監査請求・住民訴訟

 これに対し,地方公共団体の場合には,国の場合とはやや事情が異なる。

 地方公共団体においては,当該地方住民が違法・不当な会計経理等に関し,監査委員に対して住民監査請求を行い,また,最終的には司法裁判所に住民訴訟を提起することが地方自治法上認められているのであって,これらの制度が直接的な公的財務に関する外部的統制の機能を果しているのである。

1) 地方公共団体における監査制度と住民監査請求・住民訴訟

 地方自治法上,地方公共団体の監査を行う権限を有する機関は監査委員である。そして,一般の国民が国の会計について会計検査院に直接に検査を求めるということが現行法上認められていないのに対し,地方公共団体の場合には,地方自治法上当該地方公共団体の住民(以下「地方住民」という。)は,自らの納めた税金の使われ方について,当該地方公共団体の監査委員に対し,監査請求をする方途が認められている。それが,同法第242条に規定される住民監査請求である(なお,このほかに,地方自治法上の直接請求の一つとしての事務監査請求の制度がある。地方自治法第75条参照)。

 住民監査請求は,違法ないし不当な公金の支出等,地方公共団体の個別的な財務行為について,地方住民が単独で財務監査と是正勧告の請求をなし得るとする制度である。地方公共団体の場合には,地方住民自身のイニシアティブにより,当該地方公共団体の監査委員を通じて財務監査が行われ得るのである。しかも,地方住民は,監査委員が住民監査請求に応じて監査を行った場合において,その結果に不服がある場合等一定の場合には,裁判所に対して所定の請求をすることができる(同法第242条の2)。これが住民訴訟と呼ばれるものである(注)。

 この住民訴訟は,地方公共団体の公的財務統制のために,自己の法律上の利益にかかわらない資格をもって,すなわち,当該地方住民でありさえすれば提起できるものであって,典型的な客観訴訟・民衆訴訟である(行政事件訴訟法第5条,第42条参照)。

(注) 住民監査請求・住民訴訟制度一般については,植村栄治「住民監査請求・住民訴訟」(現代行政法大系第8巻359頁以下)を参照。

2) 地方公共団体における賠償責任制度と住民訴訟

 監査委員は,当該地方公共団体の財務に関する事務の執行及びその経営に係る事業の管理等について,監査する権限を有する(同法第199条)。

 しかし,地方自治法上,賠償命令を発するのは当該地方公共団体の長の権限とされ,ただ,その際,長は監査委員に対して賠償責任の有無及びその額を決定することを求め,その決定に基づいてこれを発することとされている(同法第243条の2第3項)。すなわち,監査委員は,この限りにおいて準司法的権限を有し,手続きの公正の確保に寄与しているとはいえるが,あくまでも,長が行う賠償命令手続きに関与するという形を採るに過ぎない。また,住民監査請求の結果,請求に理由があると認めるときには,議会,長その他の執行機関又は職員に対し,必要な措置を講ずべきことを勧告することになる。しかし,この勧告には,法的拘束力はない。すなわち,監査委員の監査の結果,違法・不当な事態が指摘され,関係職員の賠償責任を追及する必要が生じた場合でも,監査委員は,国における会計検査院のように,職権をもって自ら事実があるかどうかを審理し,賠償責任の有無を主体的に決定し,その結果に行政庁が拘束されるという検定のような手続きを採る権限を有しないのである。

 そこで,長が賠償命令の手続きを踏まないために賠償責任の追及がなされないという事態を生ずる余地があることになる。よって,これは何等かの外部的統制によってカバーされなければならない。この間隙を埋めるため,住民訴訟による賠償責任の追及という方法が採られるのである(同旨:兼子仁「地方自治法」66頁)。前述したとおり,地方住民は,監査委員が住民監査請求に応じて監査を行った場合において,その結果に不服がある場合等一定の場合には,裁判所に対して所定の請求をすることができる。そして,従前よりこの請求の多くは,長の賠償責任を当該地方公共団体が追及しない場合における住民からの当該地方公共団体に代位しての損害賠償請求訴訟であったといわれているのである(地方自治法第242条の2第1項第4号:単に代位請求,あるいは4号請求といわれる。)。

 なお,後に述べる昭和61年の最高裁判決により,長は同法第243条の2の規定の適用を受けず,民法上の損害賠償責任を負うものとされたため,長に関する限り,同法上の賠償責任の追及の有無が問題とされることはなくなった。また,住民訴訟に関する規定(同法第242条の2)と賠償命令に関する規定(同法第243条の2)との関係については論争があったが,その点については後述する。

(4) 公的財務に関する私法的統制
    ——公務員個人に対する民事責任の追及——

(ア) 国の職員に対する民事責任の追及

 旧憲法下での国の公務員関係においては,公務員が国に対して与えた損害について賠償責任を負うことはなく,出納官吏に係る弁償責任がその例外であるとする説が有力であった。この説によれば,国の職員に対する民事責任の追及ということはあり得ない。

 このような考え方は,新憲法下でもみられるが,弁償責任の対象が予算執行職員,物品管理職員等に拡大する一方で,これらの予算執行職員等やその他の一般職員に対しても民事責任を追及できるとする説も多数出てきている。

 しかし,この点について法律上明文の規定はなく,学説もさまざまである。この点については後述する。

(イ) 地方公共団体の職員に対する民事責任の追及

 地方予算執行職員等については,新憲法下で地方自治法が制定されたときには賠償責任の制度はなく,民法の規定が適用されるものとされていた。その後昭和25年の改正により現金又は物品の亡失又は損傷について賠償責任の規定が設けられたが,このときも民法の適用を排除するものではないとされていた。

 しかし,昭和38年の改正により地方自治法に明文の規定が設けられ,「(法第243条の2)第1項の規定によって損害を賠償しなければならない場合においては,同項の職員の賠償責任については,賠償責任に関する民法の規定は,これを適用しない。」と規定されたため(同法第243条の2第9項),この改正後は賠償責任の及ぶ範囲においては民法の適用はないものと解されており(俵静夫「地方自治法」有斐閣・法律学全集224頁・注(五)),この点は次に述べる昭和61年の最高裁判所においても確認されている。

 地方公共団体の地方予算執行職員等以外の職員に対しては民事責任の追及ができるとされており(俵・前掲222頁),また,長についても地方自治法上の賠償責任ではなく,民事責任が問われるものとされている。これらについて,住民によるその代位請求が可能であることはもとよりである。具体的な責任追及の要件については後述する。

2 最高裁判決の論理構造

(1) 市川市長接待費住民訴訟上告審判決における賠償責任制度の解釈

 今回の違法判決に触れる前に,この判決と理論的な面で関わりの深い昭和61年の市川市長接待費住民訴訟事件の上告審判決(以下「61年判決」という。)に触れておきたい。

 この事案は,千葉県市川市において,市の事業計画を同県の幹部職員に説明する際,市内の料亭やホテルに宴席を設け,その費用(一人当たり18,000ないし13,000円)を市長交際費から支出したところ,住民から市長に対し,右支出行為は過大接待の故に違法であるとして当該過大接待相当額につき損害賠償を求める代位請求が提起されたというものである。そして,原審(昭和58年8月30日東京高裁判決・行集第34巻第8号1540頁)は,市長の公金支出の違法を原因とする損害賠償責任については,地方自治法上専ら同法第243条の2第1項の規定が適用され,その場合には同条第3項所定の賠償命令手続きによってのみその実現が図られるべきものであるから同法第242条の2の規定に基づく住民訴訟としての代位請求は不適法であると解し,これを却下した。61年判決は,これを不服とする原告側の上告に対する判決である。

 前述したとおり,住民訴訟と賠償責任に関する規定の解釈を巡っては,諸説が入り乱れていたといってよい。そして,この61年判決によりこれらの論争には一応の終止符が打たれたものということができるから,論争の詳細については省略することとするが(注1),諸説の間における主要な争点は,①賠償責任に関する地方自治法第243条の2第1項の適用がある職員の損害賠償責任を住民訴訟により追及するに当たっては,民法の適用があるものと解してよいのか,②上記職員の賠償責任を問うためには,未だ賠償命令の手続きがなされていなくとも,賠償責任は既に実体法上成立しているものとして住民訴訟による代位請求の提起ができるものと解してよいのか,③同項にいう「職員」には,支出命令を発する職員が規定されていることから,同法上の支出命令権者である長も当然にこの「職員」の中に含まれるものと解されるのか,それとも,長は地方自治法上の広範な権限を有すること及び自身に対する賠償命令ということは期待し難いことに鑑み,この「職員」の中に含まれないものと解すべきなのか,等である。そして,61年判決は,これらの点についての最高裁としての解釈を示したものである(注2)。

 判決の要旨は次のようなものであった。

(i) (地方公共団体の)職員の賠償責任は,民法上の債務不履行又は不法行為による損害賠償責任よりも責任発生の要件及び責任の範囲を限定し・・・職員がその職務を行うにあたり畏縮し消極的となることなく,積極的に職務を遂行することができるよう配慮したものであること

(ii) したがって,法第243条の2の規定(公法上の賠償責任制度の法定)は,同条第1項所定の職員の行為に関する限り,その損害賠償責任について,民法の規定を排除する趣旨であること

(iii) 地方公共団体を統轄する長に対し,賠償命令の権限を付与したのは,職員の行為により地方公共団体が損害を被った場合において,地方公共団体内部における責任追及の方法を設けることによって,簡便,かつ,迅速にその損害の補てんが図られるようにしたものであること

(iv) 当該地方公共団体の右職員に対する損害賠償請求権は,同条第1項所定の要件を充たす事実があればこれによって実体法上直ちに発生するものと解するのが相当であり,長の賠償命令をまって初めてその請求権が発生するものと解すべきではないこと

(v) 普通地方公共団体の長は,当該地方公共団体の条例,予算その他の議会の議決に基づく事務その他地方公共団体の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し及び執行する職務を負い(第138条の2),予算についての調製権,議会提出権,付再議権,原案執行権及び執行状況調査権等広範な権限を有するものであるから,その職責に鑑みると,普通地方公共団体の長の行為による賠償責任については,他の職員と異なる取扱いをされることもやむを得ないものであること

 したがって,第243条の2第1項所定の職員には当該地方公共団体の長は含まれず,普通地方公共団体の長の当該地方公共団体に対する賠償責任については民法の規定によるものと解するのが相当であること

 このように,この判決は地方自治法の賠償責任制度の性格と長の責任の根拠とを明らかにした。

 上記のうち,(i),(iii),(iv)については,国の弁償責任制度の理解と相通じるものであるといえよう。また,(ii)については,住民訴訟の場合でも,第243条の2第1項所定の職員については同条の賠償責任の規定が適用され,民法は適用されないことを明らかにした(第243条の2第9項参照)。(v)は,この判決のキーポイントであって,長の予算執行に関する民法上の責任が明確になった。

 なお,この判決により本件は東京高等裁判所に差し戻されたが,差戻し審では当該接待に係る市長交際費の支出を合法とし,第二次上告審もこれを支持している(昭和63年11月25日最高裁第二小法廷判決・判例時報1298号109頁)。

(注1) 論争の詳細については,①都築弘「地方公共団体の長の賠償責任と住民訴訟」(判例時報1113号3頁),②阿部泰隆「住民訴訟における職員の賠償責任(上)(下)」(判例タイムス561号32頁,562号9頁),③園部逸夫「住民訴訟(1)」(園部・時岡編「裁判実務体系1行政争訟法」281頁),④三好達「住民訴訟の諸問題」(「新・実務民事訴訟講座第9巻」307頁)等を参照。

(注2) 判決の評釈としては,①判例時報1186号3頁,②小早川光郎・判例時報1212号3頁,③園部逸夫・ジュリスト861号68頁,(4)石川善則・ジュリスト861号122頁等を参照。

(2) 接待費用に関する公費支出に対する9月5日判決の違法判断

 冒頭において述べたように,平成元年9月5日,接待費用を公費から支出したことに対する違法性を争った住民訴訟事件について,最高裁判所第三小法廷判決はこれを違法と判断したものであるが,その事案の概要及び判示の要旨について紹介してみよう。

(ア) 事案の概要

 本判決は,岐阜県海津郡海津町及び平田町が設立した一部事務組合である高須輪中水防事務組合が,県知事ほかの県職員を料亭に招いて接待し,その費用を上記事務組合の公費から支出したことに対し,いわゆる接待行政であるとして,その地方住民が当該支出の違法を主張し,これが違法である場合に当該地方公共団体が長に対して有する損害賠償請求権について,地方自治法第242条の2第1項第4号の規定に基づき,これを代位請求した,という住民訴訟に対する上告審判決(以下「9月5日判決」という。)である。

 その事実関係については,同判決によれば,

(i) 上告人は,岐阜県海津郡海津町の町長であるが,同町と同郡平田町が設立した一部事務組合である高須輪中水防事務組合(以下「訴外組合」という。)の管理者を兼務していた

(ii) 訴外組合は長良川河口堰事業に関連して岐阜県が策定した高須輪中地域開発事業計画に盛り込まれた治水事業等について,建設省,水資源開発公団及び岐阜県等の関係機関と頻繁に協議を重ね,これらの機関に対し陳情を行うなどしていた

(iii) 昭和54年9月28日岐阜市内の料亭で開かれた本件宴会は,訴外組合が,岐阜県当局者に対し右事業計画に関する要望を伝え,両者の間の意思の疎通を図る趣旨で,岐阜県当局者を接待するために設営したものであって,その出席者は,岐阜県側から知事,土木部長,開発企業局長ら計6名,訴外組合側からは上告人,平田町長ら計7名の合計13名であり,これに要した費用は,合計29万4,972円であるが,右費用は,料理飲食料等の15万7,492円のほかに,芸妓4名に対する花代である9万5,120円,右出席者の一部が宴会終了後引き続き二次会としてバーで遊興した費用である4万2,360円が含まれていた

(iv) 本件宴会に要した右費用は,訴外組合の管理者である上告人の支出命令により支払われたというものである。

(イ) 判示の要旨

 このような事実関係を前提に,本判決は,まず一般論として,接待費用に関する公費支出について,「普通地方公共団体の長又はその他の執行機関が,当該普通地方公共団体の事務を遂行し対外的折衝等を行う過程において,社会通念上儀礼の範囲にとどまる程度の接遇を行うことは,当該地方公共団体も社会的実体を有するものとして活動している以上,右事務に随伴するものとして,許容されるものというべきである・・・」と述べるが,「それが公的存在である普通地方公共団体により行われるものであることに思いを致すと,対外的折衝等をする際に行われた接遇であっても,それが社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものである場合には,右接遇は当該普通公共団体の事務に当然伴うものとはいえず,これに要した費用を公金により支出することは許されないもの・・・」となるとする。そして,「このことは,地方自治法284条1項所定の一部事務組合の管理者等の執行機関が行う接遇の場合であっても同様・・・」であるとして,このような基本的立場から本件公費支出の違法性如何についてもみてゆくべきものとする。

 そして,そのうえで本件についてみてゆくと,

 ①本件接待が持たれた趣旨・目的については,「宴会が持たれた趣旨は,訴外組合が岐阜県当局者に対し前記事業計画に関する要望を伝え,両者の意思の疎通を図ることにあったというのである」と上告理由を一応踏まえつつも,②「宴会による接待が行われるに至った経緯,本件宴会に要した費用の総額,また,これに相当高額な芸妓花代も含まれていること,更には,二次会で遊興した費用までも訴外組合において負担していることなどの諸点」を適法性判断の基礎として考慮するときには,③「本件宴会による接待は,訴外組合がその事務を遂行する過程で,社交儀礼の範囲にとどまる程度の接待を行ったという態様・内容のものであるとはいい難く,これを客観的にみて,岐阜県当局者に対する宴会による接待それ自体をその主たる目的とするものとみられてもやむをえない態様・内容のものであって,訴外組合が行う接待として社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものといわざるをえない。」と述べ,④「本件宴会に要した費用を訴外組合が負担し,これを訴外組合の公金により支出することが許されるものでないことは,・・・明らかというべきであるから,・・・本件宴会を主催し,これに要した費用を支払うため本件支出命令を発したことは,違法であるといわなければならない。」と結論づけるのである。

 ここには,公費支出の違法性の判断基準としていかなる基準が示されているのであろうか。この点については,後に詳しく検討することとして,まず,長の損害賠償責任が認容されたことに関連して,公務員の公法上の弁償・賠償責任とその私法上の損害賠償責任の関係及び私法上の損害賠償責任の要件の問題について論を進めたい。

 3 公務員の弁償・賠償責任と私法上の損害賠償責任

(1) 総説

 地方公共団体の職員については,地方自治法上の賠償責任を課せられる地方予算執行職員等には民法上の損害賠償責任は追及されないが,その他の職員は民法上の損害賠償責任が追及されるものと解されている(俵・前掲222頁)。長の民法上の損害賠償責任を認めた9月5日判決も,この解釈に沿ったものであるといえよう。

 しかし,国の場合には,この民事責任の追及の許否については弁償責任制度以外に明文の規定がないことから諸説がある。また,民法上の責任があるとした場合,故意・過失という主観的要件をどのように解したうえで適用してゆくべきかについては国,地方公共団体ともに問題とされている。そこで,これらの点について概観してみよう。

(2) 国の予算執行職員等に対する民事責任の追及

 弁償責任の法的性質については,公法説と私法説がある。

 公法説の典型は「弁償責任は公法によってはじめて創設された公法上の特別責任である」とし,また「官吏はその義務違反に基づき一般には国家に対して損害賠償の義務を負うものではない。国家と官吏との関係は公法上の関係であるから,損害賠償についての民法の規定は全く官吏関係には適用のないものである。」とするものである(美濃部達吉「日本行政法上巻」733頁。同旨:杉村章三郎「官吏法」78頁,同「財政法(新版)」有斐閣・法律学全集294頁)。この説によれば,予算執行職員等は弁償責任以外に損害賠償責任を追及されることはない。これは公務員関係については懲戒罰という厳しい処分があり,これを課すれば足りると考えられていたことによるものである。田中二郎「新版行政法中巻(全訂第二版)」280頁も公法上の責任であると解し,民法の適用については上記の説とは異なるが,予算執行職員等については民法上の責任は問われないと解しているように読み取れる。しかし,公法説のなかでも,職務上の行為については弁償責任以外に問われることはないが,会計機関による詐欺や横領のような故意の行為は職務上の義務違反の行為であると同時に一犯罪者としての個人の行為で,民法上の不法行為が成立し,弁償責任と競合するとする説がある(木村精一「出納職員弁償責任釈義」33頁,柴崎敏郎・前田泰男「新編物品管理法提要」160頁,杉村章三郎・小熊孝次・谷川宏「財政・会計・国有財産法(コンメンタール)」480頁)。

 これに対し,私法説は不法行為説ともいうべきものである。この説によれば,私法上の不法行為責任の規定は,公務員の弁償責任にも適用があり,そのうえでさらに予責法等が会計職員の弁償責任の判定及び追及の手続きについて特別のものを規定していると解すべきものとする(野村兼太郎「行政法総論上巻」33頁,佐藤一郎編・稲村光一執筆「予算執行職員等の責任に関する法律解説」10頁)。この説によれば,予算執行職員等は当然民法上の責任を負うことになる。

(3) 国のその他の職員に対する民事責任の追及

 公法説のうち,公務員は前述の弁償責任以外の責任を負うことがないとする説によれば,予算執行職員等以外の職員については当然に民事責任は問われないことになる。

 しかし,同じ公法説でも,田中・前掲は「その行為が民法の定める不法行為の要件を具備する場合においては,国庫に対する民法上の損害賠償責任を特に否定する必要はないように思われる。弁償責任の規定は,一般法に対する特別法で,その規定の適用のないものについての一般法の適用を一切排除する趣旨とまでは解すべきでなかろう。」(281頁)とする。

 杉村・小熊・谷川・前掲は国有財産を管理する職員,歳入徴収官等については弁償責任の制度がないが,これらのものに対して個々具体的なケースに応じその会計職務の態様に応じて弁償責任を課するべきで,「この場合には民法の賠償責任の規定を類推適用し,また,他の会計職員の弁償責任制度との均衡も考慮せられるべきであろう。」とし,さらに,「会計職員以外の者が,職務外において国に損害を与えたときは純然たる不法行為として責任を追及すべきもの」とする。

 私法説によれば,当然に予算執行職員等以外の職員についても不法行為責任を追及できることになる。

 そのほか,公務員は憲法の本旨にしたがい善良なる管理者の注意をもって信託された公務を処理する義務があるから,故意又は過失により国に損害を与えた場合には,これによって生じた損害を賠償する責に任ずるのが当然であるとする説もある(槙重博「公務員の会計法上の責任と不法行為責任」ジュリスト別冊「行政法の争点」340頁)。

 なお,国有財産については弁償責任の制度がないが,国有財産の管理者又は関係職員は,弁償責任が無くとも故意,重過失があれば不法行為責任を追及されることがあり得るとしているものがある(富田駿介編「国有財産法精解」637頁)。

(4) 主観的要件

 公務員に民法上の責任が問われ得ると解する場合,さらに,その主観的要件の問題がある。民法上の不法行為の場合,その主観的要件は故意又は過失であるが(同法第709条),公務員が国又は地方公共団体に損害を与えた場合において,故意の場合は別として,過失とりわけ軽過失の場合に,なおその責任追及ができるかについては諸説がある。

(ア) 地方公共団体の職員の場合

   地方公共団体の場合,地方予算執行職員等に課せられる賠償責任についてはその主観的要件は故意又は重過失であり,また,これらの職員等は民法上の責任を負わないが(地方自治法第243条の2第9項),その他の職員については民法の適用があると解されているだけで,特別の定めはない。61年判決は,長が民法上の責任を負う場合があることを認めたが,その主観的要件の点については言及していない。また,9月5日判決も,長の損害賠償責任を認めたが,その主観的要件の問題については触れていないのである。なお,9月5日判決の原審は,「少なくとも過失」があるとだけ認定しているが,いずれにせよこれまでの判例においては,この主観的要件の問題を余り重視していなかったように思われる。

   しかし,最近の学説には,一般に民法の適用があることを前提とすれば,その主観的要件は故意又は過失ということになるはずであるが,61年判決も認めているように,賠償責任制度が責任の要件及び範囲を限定し,その職務の遂行に当たり畏縮し消極的になることを避ける趣旨に出ているものであるとすれば,その事情は一般職員についても同じであるし,地方予算執行職員等の方が一般職員よりも責任が軽減されているとするのは均衡を欠くとして,この問題を論じているものがみられる。

   阿部泰隆教授は,上記を前提としつつ,国家賠償法に基づく国又は地方公共団体からの職員に対する求償権の行使が,当該職員に故意又は重過失の認められる場合に限定されていることとの均衡上,地方公共団体が一般職員の民法上の責任を追及し得るのも,当該職員に故意又は重過失の認められる場合に限定すべきであるとする(阿部・前掲論文(下)13頁〜14頁。なお,主観的要件として当該職員に故意又は重過失の認められることを要するとの結論においては,兼子・前掲66頁,植村・前掲374頁も同旨の見解を表明している。)。

   もっとも,これに対しては,地方自治法第243条の2と民法との要件や手続きの差異を理由に,むしろ前者の方が厳正な制度となっているとみることもできるとする見解もない訳ではない(園部・前掲ジュリスト861号73頁)。

(イ) 国の職員の場合

   国の職員についても民法上の責任が問われ得るとする説について,その主観的要件に関する考え方を整理してみよう。

   国の予算執行職員等の場合,弁償責任については善良な管理者の注意義務を欠いたこと,あるいは故意又は重過失があったことがその責任追及の要件となっているが,その民法上の責任追及に関して特別の定めはない。しかし,杉村・小熊・谷川・前掲は,「会計職員が職務外の行為により違法に国に対し損害を与えた場合には,純然たる不法行為として責任を追及すべき」ものとする。ここでは,その主観的要件については明らかにされていないが,「職務外」と述べていることは,故意の場合を前提としているように思われる。また,柴崎・前田・前掲は,重過失の場合は職務放棄に近いものであるが,これも本来の職務上の義務履行に努めていたことに変わりはないから,犯罪者としての個人的な行為とは異なるのであり,結局過失については民法上の責任は問えないものとし,故意の場合にその責任を限定する。私法説によれば,故意・重過失のいずれについても責任を問うことになる。

   次に,国の予算執行職員等以外の職員については規定がない。田中・前掲は民法上の損害賠償責任の追及について肯定するが,「特定の者の国庫に対する弁償責任について故意又は重大な過失を要件としていることとの均衡及び軽過失についてまで責任を負わせることは行政を停廃させるおそれがあること等を考慮すると,解釈上,故意又は重大な過失のある場合に限定すべきであろう。」とする。杉村・小熊・谷川・前掲は,前述のとおり,民法の類推適用と弁償責任制度との均衡を考慮すべきであると述べ,その他の職員については「職務外」のときに不法行為が成立するとだけ述べている。柴崎・前田・前掲には直接の記述がないが,予算執行職員等の場合と同じく,故意の場合にのみ責任追及できるとするものと思われる。富田・前掲は,根拠は明らかでないが,国有財産に関する民法上の責任追及を故意又は重過失のある場合に限定する。槙・前掲は,「公務員なるが故に,民法と異なる重大な過失とする理由はないと考えられる。」として軽過失を含めて責任を問うべきものとする。私法説もこれと同じ結論になる。

   なお,地方公共団体の問題について論じている阿部論文の立場からは,国家賠償法の規定をその論拠としていることからみて,国の職員の場合についても同様の結論に至るものと思われる。

(5) 国における実務上の取扱い

 国における損害賠償責任追及の実務的取扱いが上記学説のうちのいずれの立場に従っているかについては必ずしも明確ではないが,その債権管理の実際をみると,予算執行職員等については,例えば,郵便局の貯金保険業務に従事する出納職員が客から預かった郵便貯金や保険料を不法に領得した場合,弁償命令が発せられながら不法行為に基づく損害賠償債権として債権管理がなされている場合があることからみて,これらの職員が故意に国に損害を与えた場合については弁償責任に基づく債権と不法行為に基づく損害賠償債権とは競合するものとして取り扱われているとみられる。

 また,予算執行職員等以外の職員については,例えば,郵便事務に従事する職員が客から預かった郵便貯金や保険料を不法に領得した場合や登記事務に従事する職員が登記申請書に貼付する収入印紙に消印せずこれを不法に領得した場合,不法行為に基づく損害賠償債権として債権管理がなされているから,故意の場合に民法上の責任追及がなされていることは確かである。しかし,過失については,一般的に責任は追及されていないと思われ,例えば,国の工事の積算ミスに関する会計検査院の不当事項としての指摘のなかで,積算担当職員の責任が問われていないものがみられる。

(6) 小括

 以上のように,国及び地方の公務員の責任に関しては諸説があるが,集約してみた場合,最近の傾向としては,地方予算執行職員等の場合を除き,その民法上の損害賠償責任の追及を肯定する一方で,弁償・賠償責任制度や国家賠償法の規定との均衡,行政を停廃させるおそれ等を考慮して主観的要件を厳格に解してゆこうとする方向にあることがうかがえる。

 実際問題としては,少なくとも各省各庁等において違法・不当な予算執行等がなされた場合に,予算執行職員等に対し,弁償・賠償責任追及の主観的要件(重過失)が満たされないときでも軽過失をもって常にその民法上の損害賠償責任の追及が可能であるとか,また,一般の関係職員に対し,弁償・賠償責任制度における主観的要件としても国家賠償法上の求償権行使に必要な主観的要件としても掲げられていない軽過失をもって,常にその民法上の損害賠償責任の追及が可能であると考えるのは合理的でないであろう。民法上の損害賠償責任の追及については肯定してよいとしても,その要件は他の制度との均衡を計りつつ決せられるべきもので,故意又は故意に近い過失(重過失)の場合に限って責任を問うべきものと考える。

 しかし,いずれにせよ公務員の個人的な責任追及に関わる問題であり,しかも,思わぬ責任を問われて巨額の財産的負担を負う可能性もあり得ることからすれば,このような重要な問題については,制度的・立法的に明確にする必要があろう。

 4 公費支出の違法性と会計検査

(1) 総説

 裁判例においては,地方公共団体における接待について,一般論としては外来者を接待し,その経費を公費から支弁することは可能との立場を採る。

 そのなかで,最高裁が9月5日判決において,接待費用に関する公費支出を違法と認定したことは,会計検査院の立場からも関心が持たれるところである。相応の接待の必要性は一般にも認められているところと思われるが,接待が相応のものであるか否かについては,さまざまな要素が絡み合っているためケースバイケースで捉えなければならず,したがって,その適否については社会通念上儀礼の範囲内であるかどうかというあいまいな判断基準しかなく,その具体化が困難であったため,従来の決算検査報告においても,接待費用に関する公費支出の適否の問題を直接に指摘することは容易でなかったといってよいからである(注)。

 ところで,この社会通念なるものによる判断を行う際の判断要素を具体化してみると,①職務執行との関連性,②接待を必要とする事情,③接待の相手方,④接待の内容(特に,費用の総額,芸妓の同席の有無,経済的利益の供与の有無等)等であるものと考えられる(石津廣司「自治体における接待費支出について」地方財務第385号173頁以下参照)。本判決においても概ねこれと同様な基準により,宴会による接待が行われるに至った経緯,本件宴会に要した費用の総額,また,これに相当高額な芸妓花代が含まれていること,さらには二次会の費用も公費から支出していることを指摘している。したがって,この事案の具体的事実から社会通念という判断基準について,一つの尺度となり得るものを示したようにも思われる。

(注) このことは,従来の会計検査に問題があったということを意味するものではない。会計検査は厳正に行われており,その直接・間接の抑制効果は多大である。

(2) 9月5日判決と10月3日判決の対比

 しかしながら,最高裁判所は,9月5日判決の上告人である高須輪中水防事務組合の幹部が,建設省関係者を招いて行ったほぼ同じような接待の費用を同水防事務組合の公費から支出したことの違法性が争われた事案について,同じ第三小法廷において,ほとんど時を移さずして合法判断を示しているのである(平成元年10月3日判決・昭和61年行ツ91号・判例時報1341号70頁)。そこで,この判決(以下「10月3日判決」という。)をみてみることにしよう。

 10月3日判決の事実関係は,同判決によれば,

① 本件接待が行われた昭和54年当時,高須輪中水防事務組合では,長良川河口堰事業に関連して建設省等の関係官庁との連絡を密にする必要があった

② 本件接待は,訴外組合の管理者である被上告人ほか組合幹部7名において,建設省関係機関の係官4名が右事業の実施に関連して訴外組合の水防区域内の堤防等を巡視した際,それに引き続き地元の料亭で,右係官の労をねぎらいながら酒食を共にしたというものであって,その費用の総額は,料理飲食料等で20万2,871円である

と認定されている。

 しかし,この判決においては,本件接待の経緯,趣旨,態様ないし費用等については上記事実関係のとおりに簡潔に触れただけで(ここでは,費用の中に芸妓花代が含まれていることには,何も触れない),そのあと特に9月5日判決におけるような適法性ないし違法性の判断基準を示すことなく,「接待に至る経緯,その態様・内容等に照らすと・・・接待が・・・社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものとまでは断じ難いといわなければならない。」と判断し,「右費用に充てるために被上告人が訴外組合の公金を支出したことを違法とまではいえず,これと同旨の原審の判断は,正当として是認することができる。」と結論づける。

 両判決の事実関係を整理して対比すれば,次のとおりである。

両判決

(3) 公費支出の違法性に関する判断基準

 この両判決の判断の相違については,確かに「最高裁は,両事案の間に儀礼の範囲の限界線を引いた・・・」(日本経済新聞:1989年10月4日朝刊)ということであるとしても,その限界線とは何であるのか,やや分かりにくい印象を与えている感があるのは否めないところであろう。何故なら,そもそも酒宴を設けての接待などというものが公務の遂行上必要であるのかどうか,また,芸妓花代などどいうものが果して公費支出に馴染む性質のものであるのかどうかというような素朴な感覚でみるときには,両事案はともに接待のための酒宴を設けたものであり,公費から芸妓花代を支出した点でも全く同様のはずだからである。それだけに,本判決については,あるいは主として金額(総額もしくは一人当たりに要した接待費用)の多寡であるとか,二次会(及びその公費負担)の有無という点における相違が結論を左右したものなのか,というような理解を生じたとしても,無理からぬところであるといえよう。10月3日判決の翌日の新聞報道等では,このような意味で若干の疑問ないし困惑を表明している記事が目だっていたように思われるし,また,法律専門誌においてさえ,「芸者付き・二次会付きで一人当たり22,000円の宴会は違法であるが,芸者付き・手土産付きで一人当たり18,000円の宴会は合法」(法学セミナー:1989年12月号6頁「セミナーの眼」)との書き出しで両判決の紹介がなされた程である。

 しかし,9月5日判決と10月3日判決とは,ほぼ同じような事案について同時期に出された同じ第三小法廷判決である以上,両判決の結論における相違は,相当の論拠に基づいた判断の結果であるように思われる。そこで,これらをさらに比較検討してみることにしよう。

 まず,9月5日判決においても,また,10月3日判決においても,ともに当該接待が社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものであるかどうかを問題とするものであるから,この「社会通念上儀礼の範囲内かどうか」ということが,接待費用に関する公費支出の違法性判断基準とされていることが分かる。

 そして,この「社会通念上儀礼の範囲内かどうか」については,いずれの判決も,その接待に至る経緯,接待の内容・態様等をその判断要素として考慮している。にもかかわらず,両判決の結論は分かれるから,これだけでは,直接的には,違法か合法かの具体的な判断基準は示されていないともいえる。

 しかし,10月3日判決においては,その接待に至る経緯,接待の内容・態様等を考慮しつつ,至って簡単に「社会通念上儀礼の範囲を逸脱したものとまでは断じ難いといわなければならない」と判断してしまっているのに対し,9月5日判決においては,その接待に至る経緯,接待の内容・態様等を考慮した結果,「これを客観的にみて,・・・宴会による接待それ自体をその主たる目的とするものとみられてもやむをえない態様・内容のもの」と断じているのであって,このことの故に,「社会通念上儀礼の範囲を逸脱」しているものと判断しているのである。

 すなわち,9月5日判決において,「・・・訴外組合がその事務を遂行する過程で,社交儀礼の範囲にとどまる程度の接待を行ったという態様・内容のものであるとはいい難(い)」との結論が導き出されていることの背景には,本件接待に関し,県知事等の出席者は,接待の宴席が設営された料亭に午後5時に集合したもので,当日はそれ以前の時間に設営側との間における公務的接触の事実はなく,また,仮に上告人主張のように,その後2時間に亘り説明・折衝等があったとしても,所詮4名の芸妓まで呼んでいるような宴席の場におけるものであるに過ぎないこと,さらに,この接待の宴席が終了した後のいわゆる二次会における飲食費用も公費から支出されているが,この二次会には県知事等は出席しておらず,宴席終了後に岐阜県下級職員がバーに流れ込んだ際の費用を負担したものであって,これは,文字どおり公費による私的飲食の費用負担であるともいえること,等の事情があり,これらがその接待の趣旨・目的について客観的・外形的に判断する際の具体的な判断要素として用いられ,考慮されているものと思われる。

 したがって,9月5日判決は,いわゆる過剰接待を問題としているものというよりも,当該接待と職務行為との関連性,及び当該接待あるいは接待費用に係る公費支出を必要とする事情等に着目したものとみることができる。換言すれば,職務行為との関連性の程度,あるいは接待を必要とする事情の有無等の視点から,上記判断要素を考量した客観的・外形的判断をした場合に,当該接待の設営の趣旨が明らかではないような場合には,そのような趣旨不明のものに対する公費支出は違法となる,という判断基準を設定したものなのではないだろうか。

 ちなみに,市川市長接待費住民訴訟の61年判決による破棄差戻後の第二次上告審判決(昭和63年11月25日最高裁第二小法廷判決・判例時報1298号109頁)は,市川市が千葉県の幹部職員を招いた宴席の接待に係る市長交際費の支出について合法と判断しているが,この事案においては,県幹部側は現地調査を行った後に宴会に臨んでおり,また,その席に芸妓は呼ばれていなかったのである。

(4) 会計検査における違法・不当の判断との関係

 過去の決算検査報告においても,会計検査院が同様の客観的・外形的判断に基づいて指摘をしている例がみられない訳ではない。例えば,昭和58年度の決算検査報告において,農林水産省所管の補助事業である集団育成事業に関し,事業のあり方の是非の検討も含めて抜本的な見直しを行う要がある旨の農林水産大臣に対する意見表示を会計検査院法第36条の規定に基づき行っている例があるが(注1),そのなかで,事業費の大部分が役員等の手当,会食費になっていて,事業効果が極めて疑わしいものが多数あった旨が指摘されている(注2)。ここで指摘された会食費は,会食それ自体を主たる目的とするものとみられてもやむを得ない態様・内容のものであったと思われ,その意味では上記接待費用に関する公費支出に対する最高裁の違法判断との間に共通性のある指摘であったといえよう。

 前述のとおり,国の予算執行上の問題については,国民がその違法性をとらえて訴訟を提起することは困難である。そこで,独立機関である会計検査院による検査が重要な役割を果たすことになる。会計検査院は検査結果を毎年度の決算検査報告に指摘事項として掲記しているが,掲記の基準が必ずしも裁判所による違法性の判断基準と一致するものではないということは,会計検査院と裁判所とが機能,目的を異にし,それぞれ独自の判断があり得ることからみて,むしろ当然のことであるともいえるであろう。

 しかし,接待行政・接待費用に関する公費支出の問題について判例が示した社会通念という判断基準は,抽象的には会計検査上の判断基準と共通であるといえよう。会計検査院の検査報告における指摘事項は,慎重且つ厳正な審議を経て,ほとんどの人が妥当性を欠き糾弾に値すると認めるであろう事態に限定して掲記されているのであって,まさしく社会通念を判断の拠り所として違法・不当を判定しているということができるからである。上記の会計検査院の意見表示が9月5日判決と共通性のある指摘となったのも,判断の拠り所に共通するところがあったからであろう。

 もっとも,裁判所の判断は違法か合法かの二者択一であるのに対し,検査結果の指摘は,予算・法令に違反する違法な事態に限らず,違法とはいえないまでも不当といえる事態であれば指摘可能であるという差異があるから(会計検査院法第29条第3号参照),具体的にはその判断基準としての社会通念の範囲が必ずしも一致するとは限らない。また,今回の判決はほんの一例に過ぎないから,これをもって社会通念という判断基準が具体的な基準として既に判例上明確化されたものとも言い難い。したがって,この判決が直ちに直接的な会計検査の判断基準となるものではないのはもとよりである。

 しかし,社会通念という判断基準が公費支出に関する最高裁の違法判決という形において少しでも具体化され,客観性を持ったということは,同様の事態について訴訟を提起するか否かを判断しようとする場合に先例として役立つのと同様に,違法・不当な予算執行等に関し会計検査を行う立場にある者としても,今後の検査の一つの判断基準として大いに参考になるものと考える。

(注1) 会計検査院法第36条:会計検査院は,検査の結果,法令,制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは,主務官庁その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。

(注2) 「昭和58年度決算検査報告」98〜109頁参照。なお,この「事業目的があいまい」であり,当該補助事業の「あり方の是非の検討も含めて抜本的な見直しを行う要がある」旨の会計検査院の意見表示を契機として,当該補助金は廃止された。

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