④ 第三者行為事故に係る年金の支給と損害賠償との調整に関する事務について

  • 〈事項等〉
    意見を表示し又は処置を要求した事項(厚生労働省、日本年金機構)
  • 〈検査の観点〉
    主に合規性の観点から検査を行ったもの

厚生労働省は、各種年金を給付しており、これらに係る事務の一部を日本年金機構(以下「機構」という。)に委任又は委託している。このうち、年金給付の原因である被保険者の障害又は死亡が第三者の行為によって生じたものであって、当該損害を被った被保険者等に対して第三者が損害賠償の義務を負う場合(以下「第三者行為事故」という。)については、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)等に基づき、被保険者等が第三者から損害賠償を受けたときには、国はその損害賠償額を限度として年金の支給停止ができることとされている。また、年金の支給停止期間を定めるためには、損害賠償金の総額及びその内訳(慰謝料等)並びに医療費、葬祭料等の実支出額(以下「医療費等実支出額」という。)を把握する必要がある。そして、機構は、病死等の場合を除く全ての受給権者に対して、年金の申請時に、第三者行為事故状況届の提出を求めた上で、第三者行為事故の可能性があると判断したものについては、損害賠償金の総額及びその内訳が確認できる資料並びに医療費等実支出額の領収証書(以下、これらを合わせて「確認書類」という。)の提出を求めることとされている。また、機構は、受給権者に対して確認書類の提出を勧奨するために、照会、再照会、督促及び最終督促を行うこととされ、最終督促に応じなかった場合には年金の支給停止(以下「職権による支給停止」という。)を行うことができることとされている。さらに、機構は、受給権者に代わり損害保険会社等から確認書類の提供を受けることに同意する文書(以下「同意書」という。)を受給権者から得た上で、損害保険会社等に対して確認書類の提出を依頼することができることとされている。しかし、機構において、督促等の手続に長期間を要しており、損害賠償金の受領状況等を把握できていないため、年金の支給と損害賠償との調整が行われていない事態及び受給権者から同意書を取得できていないため、損害保険会社等に確認書類の提出を求めることができず、損害賠償金の総額やその内訳を把握できていなかったり、損害賠償金の受領状況は把握できているものの、医療費等実支出額を把握できていなかったりしているため、年金の支給と第三者からの損害賠償との調整を行うことができていない事態が見受けられた。したがって、第三者行為事故に係る損害について、督促等の手続に長期間を要している事案について、速やかに次の段階の手続をとるとともに、次のとおり処置を講ずるなどの要がある。

  1. ア 機構において、再照会、督促、最終督促及び職権による支給停止について具体的な手続を事務処理要領に定めるとともに、当該事務処理要領に基づき、再照会等を適切に行うよう担当部局に周知徹底すること
  2. イ 機構において、受給権者から同意書を第三者行為事故状況届と併せて提出させるなど、年金の支給開始前に同意書を取得する手続を整備することなどについて検討すること
  3. ウ 機構において、損害賠償金の受領が明らかになっているにもかかわらず、医療費等実支出額について受給権者が回答しない場合には、一旦医療費等実支出額がないものとして支給停止期間を設定して、年金の支給と第三者からの損害賠償との調整を行うなどの手続を整備することについて検討すること
  4. エ 厚生労働省において、機構における第三者行為事故に係る年金の支給停止等の事務が適切に実施されるよう、アからウまでについて、機構に対して必要な指導監督を行うこと
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