第1号 創刊の辞

創刊の辞
秋本 勝彦

秋本 勝彦
(会計検査院事務総長)

 政府会計検査 (Government audit) は、一つの独立した学問領域としては未だ確立されておらず、また、少なくとも我が国にはその理論的研究を専門的に行っている大学、研究機関等は存在しない。従って会計検査院とアカデミズムの世界との組織的な交流もいままでは殆どなかったように思われる。

 しかしながら、近年における行財政改革の推進、さらには税制改革等にも触発された納税者意識の高揚に伴い、会計検査院の財政監督機能に対する関心や期待がとみに高まっているように感じられる。そこで会計検査院では、国の行財政活動の内容が益々複雑化、専門化する現状を踏まえ、より効率的、効果的な検査活動のあり方についての検討を行うため、昭和61年4月から、外部の学者・実務専門家を招いて「会計検査問題研究会」を開催し、検査手法の開発についての研究を行っており、さらに63年9月には、公会計の監査に携わる諸機関との意見交換を行うことを目的として第1回「公会計監査フォーラム」を開催したところである。

 そして、この度、この「研究会」や「フォーラム」等の経験及び成果を踏まえ、政府会計検査に止まらず、広く地方自治体、特殊法人、公企業等の会計とその監査・監督について、理論及び実務両面からの調査・研究の進展がはかられることを期待して「会計検査研究」を発刊することとした。

 今後、本号に始まる「会計検査研究」が財政監督活動に関心を有する財政学、会計学、行政学、公共経済学、政策科学等関連諸分野の多くの学識者及び行政実務者のご理解を得て、実務と学術研究の相互交流の場として成長していくことを念願するものである。

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