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第16号

新しいオークションの理論と実践
川又邦雄,馬場弓子

川又邦雄

 1963年 慶應義塾大学経済学部卒業。72年 ミネソタ州立大学Ph.D.取得。79年 慶應義塾大学経済学部教授,現在に至る。82年 プリンストン大学客員研究員。現在,Econometric society,理論・計量経済学会会員。主著 『市場機構と経済厚生』創文社,(1991)。

馬場弓子

 1989年 慶應義塾大学経済学部卒業。97年 スタンフォード大学経済学部Ph.D取得。

(1) はじめに 

 書画や骨董品の競売(セリ)から道路工事や海底油田の発掘権の入札など,オークションは,個々の参加者の付け値を考慮することによって財の配分を公正かつ効率的に行うために様々な場面で異なった形態で行われる。とりわけ供給者と需要者の間に情報の非対称性が存在したり独占的弊害が生じる心配がある場合には,それは市場メカニズムに代わる機構として有用である。最近では各国の民営化と市場解放の動きの中でその重要性はとみに増し,コンピューターや通信産業などにもオークションが拡がりつつある。またそれとともに新たな問題も生じている。

 本稿では,オークションの歴史とその理論の発展について概観しながら,最近の諸外国のオークションの実態について考察するとともに,あわせて政府によるオークションのあり方について検討したい。なお第6節および第7節には理論的説明が含まれている箇所があるが,他の部分とは独立に読むことができる。

(2) オークションの目的と形態 

 オークションは,ある財・サービスをもっとも高く評価する個人,あるいはもっとも技術的に優れた企業に公正な方法で割り当てることを目的とする。その際,個人の評価について競売者は十分な情報をもっていないことが多いので,それを引き出すことが効率的配分を行うための前提となる。とりわけ,買手が彼について知らされていないことを自分の戦略(表明する価格)に選びうる場合にはそれは有用となる。また,競売者に一定の収入をもたらすことがオークション成立のための要件とされる。政府・公共団体が行うオークションと民間主体が行うオークションとは,効率性と収益性のウエイトを多少異にするが,以下で述べる形態でのオークションは一定の状況の下ではどれも効率性の要件を満たすことが知られている(以下の(6)参照)。公平さはいずれの場合にも重んじられなければならない。美術品等の競売を公開で人々の面前で行うのは,入札者がどのように決まるかの情報を開示することで公平性と公明性を保ちうるからだという考えがある。

 ここではまず基本となるケースとして,非分割財(たとえば絵画や骨董品)の単独の所有者が多数の潜在的購入者のだれかにそれを販売する場合を考察する。供給者は購入者がその財をどれだけ高く評価するかを知らないために,それに価格をつけて売ると,需給の不一致や収益が低くなるなどの不都合が生じる場合が多い。そこでオークションにかけて人々の選好を顕示させるという方法を選ぶのである。同様の問題は非分割財(ある定まった道路や鉄道などの建設)の単独の需要者が多数の潜在的供給者の一人に仕事を請け負わせる場合にも生じる。その場合には入札(tender)という言葉も用いられる。以下では便宜上,どちらか一方の場合についてだけ説明することがある。

 ヴィクリイ(Vickrey(1961))はオークションのルールに関する4つの形態を考察した。その一つであるイングリッシュ(英国型)・オークション(English auction)においては,全員の前で,買手がセリを行い上方への修正のみを許すとしてつけ値を上げていく。そしてある価格の下でだれも上方へ値を修正する者がいなくなったとき,最後に残った1人にその価格で財を購入させるのである。つぎはダッチ(オランダ型)・オークション(Dutch auction)とよばれるもので,イングリッシュ・オークションとは反対に,十分に高い値から始めて,最初に購入を申し込んだ個人がその値で財を入手する。第三は第2価格入札方式(the second-price-sealed-bid auction)あるいはクラーク=グローブス=ヴィクリィ・オークション(CGV auction)とよばれるもので,潜在的な買手全員が他人のつけ値を知らされずに希望購入価格を記入する。そしてそれらを公開し,もっとも高いつけ値をした個人に,2番目に高い価格で購入させるのがルールである。この方法はオークションが公開あるいは非公開で進行するという違いがあるとはいえ,だれがどの値で入手するかのルールは第1の方法とまったく同一である。第四は第1価格(最高価格)入札方式(the first-price-sealed-bid auction)で,第三の方法と違ってもっとも高い買値をつけた個人がその価格で財を購入するルールである。この方法ではオークションの進行によって参加者に情報が伝えられることがないのが普通であるので,その限りでは(2人以上が同じ価格をつける場合を無視すれば)第二の方法とどのような価格を提示するかという戦略の面ではまったく同等である。イングリッシュ・オークションでは進行につれて情報が開示されていくことが多い。その意味で入札が静学的なオークションであるのに対し,この方式による競売は動学的なオークションである。生鮮食品や耐久性のない財をいくつも取引する場合には,時間的制約から口頭によるオークション(セリ)が好まれる。また入札のプロセスが公明で決めやすいことから絵画等の取引にもイングリッシュ・オークションが用いられることが多い。後に説明するように,競売者の期待収益の大きさもこの選択に関連している。また公共事業のように巨額で費用の計算等に時間を要する対象について,あるいは相手の行動を見ての結託行動を回避したい場合には入札が好まれる。しかし高値落札する危険とそれにともなう後悔(winner's curse)は公開の場合の方が緩和されるという。

 以上のオークションの形態には,いくつかの条件が付け加わることがある。たとえば売手が予定価格(最低入札価格)を設けたり,買手の契約不履行に対して罰金を課したり,参加のための料金を徴集すること,あるいは値上げ(値下げ)の巾の最小値を定めたり,専門の取引仲介者によってオークションを行わせるなどがそれである。また政府による公共調達では入札に参加する企業を指名することがある。これらの条件によってオークションの性格が大きく変更をうけることはいうまでもない。

(3) オークションの歴史

 オークションの歴史は紀元前の古代バビロンにまで遡れるという(注1)。最古の文献は,ヘロドトスの『歴史』の中に見られる。紀元前500年頃にバビロニア人の間で,結婚相手(妻)を得るためのオークションが,どの村でも一年に一度行われていたという記述がある。

 ローマ時代の文献によれば,当時すでにオークションに関する言葉があったことが知られる。オークションの語源は,増加を意味するラテン語のオクチオ(autio)と考えられている。家財の競売もローマ人が始めたといわれている。戦利品や捕虜が市場で競売されたこともあり,ローマ商人たちはチャンスを逃さないように軍隊に同行していた。差し押さえ物件としての不動産のオークションによる処分方法についての記録もある。債務者はすべての財産を譲渡すれば逮捕を免れた。史上最大のオークションも,ローマ帝国全盛期に行われた。ギボンの『ローマ帝国衰亡史』の記載のように,混乱と殺害のつづく中,193年に全ローマ帝国の皇帝の地位が近衛隊によって競売に出されたのである。最大の領地を申し出たデイデイウス・ユリアヌスはへつらう者が立ち去った後自省の念に駆られ,さらには身の危険を感じるまでになった。「カベアート・エンプトール」(買手に危険を負担させよ)のルールにしたがって,最高額を申し出た彼は,今日高値入札者の負担を表現するように,「勝者ののろい」(winner's curse)を全身をもって体験したのである。

 東洋に目をやると,7世紀の中国では,死亡した僧侶の所有物はオークションで処理されたという記録がある。しかしその後オークションについての資料はほとんどなく,歴史をたどるとしても次は16世紀後半までの空白がある。

 英国では,最初のオークションが1595年に行われたとされている。そして,17世紀後半にはそれが一般に行われることになり,18世紀には貿易,商業が盛んになりインドに新たな貿易ルートが拓かれたこともあって,ついにはカリブ諸島と南北アメリカへと発展していく。この時代の貿易で最も利益が大きかったのは奴隷貿易だった。18世紀後半になるとヨーロッパでオークションが急成長してきた。ロンドンを拠点にしてクリスティ社とサザビィ社が設立され,美術品を中心に家具,宝石のオークションを行った。両社は現在に至るまでオークションの世界をリードしている(注2)。

 米国では,合衆国独立当時より資本財や在庫品を現金化するためにオークションが用いられていた。黒人奴隷をアフリカから連れだしたのは,イギリス人やフランス人だった。奴隷と交換するために彼らは工業製品をアフリカに輸出し,奴隷をアメリカに輸出し,この奴隷労働でつくり出された砂糖や綿花を本国に輸入するという「三角貿易」によって商工業を発展させたのである。1650年にヴァージニアにわずか300人程度の黒人しかいなかったのに,1721年には半数を黒人労働者が占めている。奴隷の競売は1859〜1860年にピークを迎えた。

(4) 民間と政府のオークション 

 現在,各国のオークションで扱われる品目には,美術品,農産物,中古自動車,政府債券,道路工事,油田の発掘権,会社や土地,そして衛星放送の周波数帯や電力自由化の権利などがある。クリスティ社とサザビィ社だけでも1991〜1995年の間に世界の主要都市で両者合計で8000回のオークションを開催している。最近話題になったところでは,クリスティ社が1100人を集めて1997年6月25日にニューヨークで開催したダイアナ・ドレス・オークションがあり,売上総額は79点で3,258,750ドル(約3億7,000万円)ということである。わが国でも近年,東京周辺の公有地をオークションで売却しているし,米国ではCSXとノースフォーク・サザン(Northfolk Southern)会社が最大の鉄道会社コンレール(Conrail)の譲渡をめぐって,セリを行った。

 最近,経済の民有化が進むにつれて,公共部門の工事の発注やサービスの購入についてオークションが行われることが多くなった。例えば,139カ国の政府によって所有され,ワシントンDCに本部のあるITSO(International Telecommunication Satellite Organization)の民営化がその一例であり,いかなる方法でオークションを行うべきかについて活発な議論がなされている。

 メキシコ政府は3つの鉄道幹線の民営化を計るための準備として,短い鉄道(Ferrocarril Chihuahua-Pacifico)を最低入札価格を設定して第一価格入札によるオークションにかけた。しかし,ただの一社のみが応募し,それが政府の希望価格に達しないためにオークションは失敗に終わった。現在メキシコ政府は,それをもう一度オークションにかけるか,3つの鉄道会社のひとつに付随させてオークションにかけるかを検討中である。

 スペクトラム・オークションすなわち放送セルラー電話のための周波数帯の分割をめぐるオークションは,民営化にあたってオークションの有用性を端的に示し,話題をあつめた。オーストラリア,ニュージーランドおよびアメリカにおける放送権のオークションの経験は,そのデザインのありかたがいかに重要であるかを端的に示している。

 最初に放送権のオークションを行ったのはニュージーランドであって,1990年にラジオ・テレビ・セルラー電話(携帯電話)の周波数帯分割の競売を行った。それらは別個に予定価格(最低入札価格)の制限なしの第2価格入札で行われた。しかし,申し込みの最高価格が10万NZドルであったのに対し,第2価格は6NZドルにしかならなかった。また,同一のライセンスの価格が場所によって数倍近くにもなった(McMillan(1994))。オーストラリアは1993年に衛星放送のサービスに関して最高価格入札を実行した。ただし,契約不履行の場合の罰金はなしとしたために,最高および第2価格提示者は落札しなかった。そして1年後に権利を売って利益を収めてしまったのである。

 このような経験をもとに,FCC(Federal Communications Commission)はMilgrom-Wilsonの提案によってイングリッシュ・オークションによる何ラウンドかの同時入札を採択した。ただし,辞退した場合には罰金が課され,各ラウンドでの上げ巾は一定額を越えねばならないとした。このオークションは大成功で勝利者は誰も辞退することなく,同質のライセンスはどこでもほぼ同一の価格で売られ,政府も約617億ドルの収益を収めることができた。それにつづいてFCCは,1995年にMTA(Medical Technological Association)のオークションを,また97年にセルラー電話のオークションを行った。これらはいずれも大成功のうちに終わった(Milgrom(1997)参照)。

 日本国有鉄道清算事業団は今年8月21日にJR東海株式会社700,000株の公開競争入札を行った。50株またはその整数倍で30,000株を限度に入札ができる。予定価格(非公開)以上の単価の入札のうち,高価な入札をした者から順次,それぞれの入札価格で70万株に達するまでの者が落札者になる。落札株式数が入札株式数に達しない場合は,8月26日に売出価格が発表される一般投資家を対象としたJR東海株式売出800,000株に追加されることになっている。

(5) 談合とオークションの問題点

 競売において談合とは,ディーラーが協定して上場品につき落札する者を決めておき,目当ての品を低い値で落札し利益を得ることである。このような協定は,競争を減退させ,値を下げることが目的であるので,その商品に関心のあるすべてのディーラーがこの談合仲間に入っていることが談合を成功させる条件となる。仮に強力なライバルがいて高値までセリ上がった場合には,予定外の高値でも競り上げ,相手に競争意欲を失わせることもある。こうして入手した品は談合に加わった者のなかでもう一度オークションを行うなどして所有者を決めるのである。

 入札での談合も同様で,公共事業等の受注者を決めるにあたって,あらかじめ同業者で相談し落札者あるいは落札価格を決め,かたちばかりの入札を行い利益を得ることをいう。談合はそれに参加していないものを公正な競争から排除し,経済的な腐敗を生みだす。さらには,発注者,受注者間の癒着の温床となることもある。正しい経済的競争が行われず市場の原理が働かないために,あるいはリベートの授受のために国民が損害を被るのである。

 談合の歴史は古く,その例は枚挙にいとまがない(注3)(注4)。美術品の取引においては,かっての競売人たちの多くはディーラーの経験をもち,競売を自分で仕切り,売りたい商品は素人に不当表示し儲け,買いたい商品はディーラー間に談合を謀って素早く落札し,その後落札値通りには支払わないことがあった。絵画の競売は専門的見解の分かれることが多い。ロンドンの競売場でさえ競売後カタログの記載内容に文句をつけた顧客に対し,競売会社はそれが裁判沙汰にならないように経済力をもって説得することがある。絵画競売においては同じ無署名の絵画であっても,権威者によりある巨匠の真筆とされるかそうでないかで評価額に大きな相違が見られる。

 価格についての談合はカルテルと同じように考えられる。工事請負業者・納品業者が相談して,あらかじめ落札価格を決めてしまい利益を得る。このような談合は同一業者がくり返しオークションに参加するような工事の入札のような場合にはとりわけ重要な問題を発生しやすい。

 「1995,96両年度に都道府県が発注した公共事業のうち90%以上が談合によって落札されたと推定できる」という報告が市民オンブズマン会議によってなされた(97年7月21日朝日新聞)。談合の立証は難しく,状況証拠からの判断(14234件分)であるが,次のようなことが推測された。

1.発注者が決める落札の予定上限を上回るなどして複数回入札が行われた時,一位の業者が変わらなかった割合は97.7%にもなり,「一位不動の原則」と名付けられた。

2.談合の目的は,予定価格を下回りすぎると利益が薄いので,予定価格ぎりぎりで落札することにある。予定価格は公表されないが,偶然の消し忘れや公表されているものから推測すると,落札価格は予定価格の99.2%と「上限張り付き」が明らかになった。

3.談合のないケースも僅かながらあり,この場合最低制限価格付近を争う自由な競争で入札が行われた結果,最低価格を割り込んで失格する業者が出た。これはとりもなおさず競争が行われていることの証拠となりうる。

 首都高速道路公団が発注する料金所の建設をめぐり1992年ごろから建設会社12社による談合も報じられている。この場合には,公団職員が工事の予定価格を漏らすなど,談合を誘発する行為があったとみられており,6月30日に,公正取引委員会は独占禁止法違反で排除勧告をした。さらには,化学用機器の納入に関してメーカー3社(昨年度9割のシェア)が談合し,あらかじめ受注予定社を決めていて,違う業者が落札した場合の罰則まで設けていた例など枚挙にいとまがない。

 政府が工事等の発注を行う場合には,もっとも費用条件で優位にある企業に入札させるという効率性のためのインセンティブが失われることが指摘される。またわが国では一般競争入札ではなく指名入札が行われることが多く,その基準や理由が不明瞭で発注者の裁量による場合が多い。さらに予定価格(最低入札価格)の設定の仕方によって落札価格を高めたり,談合を生む温床となりかねない。

 なお公共調達において入札者をあらかじめ制限すること(指名入札)に談合ではないが,入札の結果に対して大きな影響をもち不正を生むことになる。また建設工事のように,価格だけでなく品質(財質や期日)が問題になる場合には低い価格で入札して手抜き工事を行うなどのモラルハザードの問題を生じる。

 このような入札で談合の可能性については様々な研究がある。イングリッシュ・オークションよりCGVオークションの方が談合に対しより頑強であることが理論的に立証されている(Milgrom(1987))。また一度限りの入札でも参加者が少数で顔見知りの場合に生じやすいことが予想される。これに対して売手は最低入札価格を高めることによってそれに対処することができる。

(6) オークションについての基本的性質

 オークションは当事者が対象物に関してもつ評価によって二つの典型的な状況を区別しておくことが有益である。一つは競売されている財に対して各個人が他の個人と独立の個人的価値(independent private value, IPV)をもつ場合であって,一人がある値を表明ないし提示してもそれは他の個人の評価にはなんら影響しない。第二のケースは競売されている財が一つの客観的な一般的価値(common value, CV)をもつがだれもそれを正確には知らない場合である。ただし各個人は個別情報を持っていてそれらは互いに相関をもっているとする。したがって競売者がどの程度その価値を知りうるかが問題となる。第一のケースの例としては,個人の鑑賞用の絵画や,中古設備の競売,また企業の技術が異なる場合の建設工事の入札などがあげられる。これに対して,政府証券競売や鉱山の採掘権の入札は第2のケースの好例である。もちろんこの中間のケースとして個人的価値がまったく同一ではないがある程度の関連をもつケースも存在しうる。

表1

 ここでは非分割財(たとえば絵画や骨董品)の単独の所有者が多数の潜在的購入者のだれかにそれを競売によって販売する場合を考察する。上の表で,2行目に書かれた数値は各個人の真の評価額を表しており,それは他の個人の表明する金額とは独立に定まっているとしよう。

 すべての個人が仮に2行目に書かれた真の評価額を提示する(セリを行う際に表明する)とすれば,ダッチ・オークションでは個人Aが最高価格(上の例では10)を表明し,その価格で落札することになる。第一(最高)価格入札制でも同じく個人Aが10で落札する。つぎにイングリッシュ・オークションでは9の値で個人AとBだけが残り,それよりわずか高い値で(例えば9.01)で個人Aが落札する。第2価格入札では個人Aが9の価格で入札することになる。

 つぎに各個人が真の評価額を表明するとは限らないとする。この場合でも第2価格入札制度においては,各個人にとって正しい評価額を表明することが,支配戦略であること−つまり他の個人の戦略いかんにかかわらず最適な戦略であること−はつぎのようにして知られる。いま他の個人の表明額が表の第3行のように与えられていたとして,個人Bがvを表明するとしよう。この場合のように他の個人の最高の表明額が彼の真の評価額より高い場合には,個人Bが他の個人の最高表明額12より高い値を表明すれば落札できるが,彼は真の評価額9より高い12を支払うことになって損失をこうむる。したがって彼は入札に負けるのが最適で,真の値を表明すればその目的を達成できる。また第4行のように他の個人の最高表明額8が彼の真の評価額9より小さい場合には,入札に勝てば(その限りではどのような価格を表明しても)第2価格で落札できて9−8=1だけの期待利得を得ることができる。落札できなければ利得はゼロであるから落札するのが最適である。このようにいずれの場合にも真の評価額を表明するのが最高の利得をもたらす。別の言い方をすれば,落札価格は彼の表明額とは無関係であり,真の評価額を表明することによって,勝つべきときに勝ち負けるべきときに負けることができるのである。

 個人がダッチ・オークションあるいは最高価格入札でどのような価格を提示するかはより微妙である。彼は他の個人の提示額についても何らかの推測ができるとして,自分が勝つという条件下での2番目の価格の期待値(したがって真の評価額を下まわる値)を提示するであろう。そのような考察に基づいて彼は利得の期待値を最大にするような戦略(提示額)を選ぶのである。また各人のそのような行動に基づいてオークションの勝者と落札値が決定されることになる(Vickrey(1961,62)他本節末の文献参照)。

 上の例のように,イングリッシュ・オークションと第2価格入札においては各人が真の選好を表明することになり,したがって各回の付け値の上昇巾(上の例では9が9.01になること)を無視すれば,同じ均衡値をもたらす。また各個人の評価額が他の個人から独立であり,他の個人の選好を知る機会がない場合には,ダッチ・オークションと第1価格入札はまったく同じ均衡値(落札価格)をもたらす。

 このようにオークションのルールにより人々がセリを行う際の戦略(表明する金額)は異なりうるが,一定の条件(単一の財を同一タイプの個人が取引する場合など)の下では,上の4つのオークションは同額の収入を売手にもたらすことが知られている(Myerson(1981))。これを収入等価定理(revenue equivalence theorem)という。さらに,上の4つのオークションのいずれにおいても落札する者はその財をもっとも高く評価する個人(もっとも技術的に優れた企業)である。この意味でオークションは効率的な配分をもたらすのである。

 上の例では各個人が他の個人と独立の個人的価値をもつとしたが(競売に出されている財が一つの客観的な一般的価値をもつ場合などのように),各人が個別情報を持っていてそれらは互いに相関をもっている場合,あるいは危険回避的個人の場合には状況は変わってくる。また同種類の財が同時に販売される場合にも結論は多少修正されうる。また,人々のもつ情報に片寄りがある場合や,個人の予算制約が問題となる場合にも上の結論は変わってくる。これらの問題のいくつかについては以下に言及する。

 なお,オークション理論のサーベイ論文としては,Engelbrecht-Wiggans (1980), Milgrom (1985, 1987), Wilson (1992), McAfee and McMillan (1987a), Smith (1987)等を参照せよ。

(7) 新しい理論の展開とさまざまなオークションの比較

(a) 複数個の財オークションと配分についてのオークション

 オークションの古典的な文献であるVickrey(1961,62)は同一の財が複数ある場合を分析し,4つの普及しているオークション(イングリッシュ,ダッチ,第1価格,第2価格オークション)の均衡戦略を特徴づけた。Milgrom(1997)はそれを非同一財の場合に拡張した。これらの文献は全て入札者のたかだか一単位しか需要せず,また,数学的単純化のため入札者のタイプが一次元の変数(選好や費用の特性を示すパラメター)で表されることを仮定している。Levin(1996)は後者の仮定をゆるめ,補完財の最適オークションを分析した。またWilson(1979)は1つの財を何人かに分割する仕方を定めるオークションを考えそれが全体を一括してオークションよりずっと価格が低くなりうることを例示した。また入札者の選好とつけ値がオークションの結果に与える影響が対称的である時,財を一括して売ることで標準的オークションが最大の収入をもたらすオークションとなることを示した。

(b) 遂次的オークションと価格の下落

 Ashenfelter(1989)は,同一のロットが連続してオークションにかけられるとき,価格が下落していくことをワインの例で指摘した。この結果は同一の財が複数ある時,価格の期待値が一定に保たれる(価格はマルティンゲールとなる)という予想に反するものである。Ashenfelterは,この理由を入札者が危険回避的で平均値が同じでも確実な価格で購入できることを好むからだとし,このことはMcAfeeとVincent(1993)によって理論的に示された。Vanderporter(1992)はテキサス州のコンドミニアムのオークションについて価格の下落を指摘し,これを不動産のオークションに特有のプールして競売する方法のためとした。一方BlackとMeza(1993)は「買い手のオプション」のためとした。「買い手のオプション」とは初めのオークションの勝者が更なる財を同じ価格で買う権利を有するというものである。この権利は初めの財の価値を増加させ,価格の下落を導く。GaleとHaush(1994)は2人2財の場合において,確率的におなじ財のモデルを分析し,BernhardtとScoones(1994)はこれをn人m財に拡張し,共に価格の下落を示した。直感的には次のように説明される。まず,単一財の場合に単調増加な対称均衡戦略が存在することに注意しておこう。何回かの入札の機会がある場合,入札者は後のオークションで勝った場合の機会費用を差し引くので,単一財の場合より低い価格で入札をする。確率的には同一の財では機会費用は第一期の実現したタイプには依存しない。従って,確率的に同一の財の場合も単調増加な対称均衡戦略が存在し,期待価格の下落が導かれる。入札者の財の評価が内生的に決まり,他の入札者のタイプと負の相関を持つ場合には,価格の公表を伴う遂次的オークションでの期待価格は下落する(スーパーマルティンゲールになる)。また,非同一財のオークションで売り手が売却の順序を決める権利を持つ時,より価値のある財を先に売却するのが有利になるので,その理由からも期待価格が下落することになる。

(c) タイプの異なる個人の入札−周波数のオークションを中心にして

 ここでは複数の財をオークションにかける場合の,効率性の問題に焦点をあてよう。すでに述べたように4つの標準的なオークション(イングリッシュ,ダッチ,最高価格,第2価格オークション)全てが単一財,同一タイプの入札者の場合,どれも競売者の収入を最大にするオークションとなることがMyerson(1981)により示されている。非同一の入札者においては必ずしもそうでない。1994年のスペクトラム・オークションの成功以来,数々の研究の進展があった。KrishnaとRosenthal(1996),RosenthalとWang(1996)はMTA(Meical Technology Association)広帯域のPCS(Personal Communications Services)オークションの特徴をつかもうとした。このオークションではアメリカ全土を51のブロックに分け,それぞれに30Mhzの免許が2つ割り当てられた。入札者は異なるブロックの免許を補完財,同一のブロックの免許を代替財とみなす。実際のオークション方法は全国的狭帯域のオークションの場合とよく似ているが,ここでは同一のブロックの2つの免許を共に得ることはできないという点が異なる。KrishnaとRosenthal(1996)は2種類の入札者を仮定した。「グローバル」入札者と呼ばれる地理的非同一性を補完の要因とみなす入札者と,「ローカル」入札者と呼ばれる限定された地域のみに関心を示す入札者との2つである。前者は,独立的個人価値(IPV)の仮定の共に同時第2価格入札と,遂次的第2価格入札の均衡戦略を特徴づけた。後者は,一般的価値(CV)仮定の下で同様のモデルを分析し,第一価格入札を考察した。Branco(1995)はKrishnaとRosenthal(1996)の特別の場合における最適オークションを考察し,効率性と最適性(収入最大化)の両立のための条件を示した。しかし,KrishnaとRosenthal(1996)のモデルそのものを考察した場合,効率性と最適性は両立しえない。さらに,AusubelとCramton(1995)はIPVと相関のある場合両方について平坦,右下がりの需要関数の2つの場合について,最高価格入札,第2価格入札を分析し,入札者の非同質性が非効率の原因となりうることを示した。この場合の非効率とは,より高い価値を持ち,より多くの財を需要する入札者がより低い価値をもち,より少ない財を需要する入札者に敗れることをいう。より多くの財を需要する入札者は"ピボット"入札者(その需要計画が取引価格で決定するような入札者)になりやすいので,需要を過小申告する誘因が一層強く働くのである。

(d) 多次元のタイプ価格と質の同時入札

 ここまでは,価格についてのオークション一次元のタイプで表されるようなモデルを扱ったが,多次元のタイプも現実的な観点から重要である。ここでもまた,FCCスペクトラムオークションがこの問題の重要性に光を投げかけた。FCCスペクトラムの他にも,防衛契約や建設工事の政府調達の契約が多次元タイプの例として挙げられる。Che(1993)は,入札者が価格と質(技質的な特性や引渡しの期日)の両方について入札するような国防総省(DoD)の調達先選定に関するデザイン競争を考察した。ただし彼のモデルは,さまざまな特性を得点をつけてまとめることにより一次元のタイプに帰することができる。ナイーブな得点規則によれば,最高,第2価格入札は共に最善の質を保証することができるが,精巧な得点規則では歪みが生ずることが示された。後に入札者が総費用関数において異なり,費用と質の両方に入札するような契約のモデルも考察された。そのモデルもまた,一次元のタイプに帰することができ,精巧な得点規則は質の申告の歪みをもたらすことが示された。2つのタイプしか存在しない時,精巧な規則によれば一層の余剰をもたらすという意味で最適な質が別のタイプより低い質をもたらす時,品質の過大申告が起こる。

 最適オークションの設計にあたっては,経済学の他の部分,とりわけシグナリングとスクリーニングの理論が多次元タイプを処理する技術を発達させた。最適税制,独占者による非線形の価格設定を含む多くの重要な問題もこの分野で分析されてきた。スクリーニングはいくつかのカテゴリーに分けられる。一つの興味深いケースは一種類の手段と複数の属性をもつ問題で,もう一つの興味深いケースはその反対に一種類の属性と複数の手段をもつ問題である。(Laffont,Maskin,Rochet(1987),Matthews Moore(1987),さらなる発展についてはArmstrong(1996)を見よ。)。

 KrishnaとPerry(1997)は,各人が準線型の効用関数をもつ場合についてヴィクリィオークションが効率的オークションの中では売手の期待収入を最大にすることを示した。また最近の研究では,補完財を排除すれば,ワルラスの一般均衡モデルでの取引価格よりイングリッシュ・オークションの価格が低いこと等も判明している。

(e) オークションの参加者数

 オークション参加者の人数は知らされることも,そうでないこともある。理論および実証研究(McAfee and McMillan (1987b), Dyer, Kagel and Levin (1989))によれば,所得が増すにつれて危険回避度が低下する場合には,入札者は,人数が既知の場合の第2価格入札の方を第1価格入札より好み,それより人数が知られない場合の第1価格入札を好むことが知られる。また競売者が危険回避的であるならば彼の選好はその逆となることが知られている。

 Milgrom and Weber(1982)は参加者の数を一定として,人々の役割が対称的でその評価にある種の正の同調性(affliation)がある場合にはイングリッシュ・オークションは第2価格入札より高い期待価格をもたらすこと,そして,また参加者が危険中立ならば第2価格入札は第1価格入札より高い期待価格をもたらすことを示した。また上のすべてのオークションにおいて危険中立的な競売者は自分のもつ私的情報を公開することによって期待収益を増しうることが示される。これらの結果は一般価値をもつ財を取引する場合にも拡張されることが知られている。

 オークション参加者のセリ(値づけ)の仕方に関する実証研究にはSmith(1982,1987),Plott(1982)やRoth(1988)がある。Smith(1987)の研究によれば,独立な個人的価値をもつ場合,単一財のオークションの場合,イングリッシュ・オークション,第2価格入札は平均としてほぼ同様の価格をもたらすこと,およびダッチ・オークションと第1価格入札ははるかに高い価格と低い効率性をもたらすことが分った。この差は,危険回避の態度が人によって異なることがその原因であるとされた。Harrison(1989)とPlott(1982)は別の意見を提示している。

(8) その他の取引制度との比較と残された問題

 オークションに代わるよく使われる資源配分には行政的裁量による割当て,くじ,先着順の割当て,公示価格での販売などがある。行政による調達方法では政治家や官僚がどの財を誰に割り当てるかを完全に決定する。潜在的買い手の立場からいえばすべての決定は自分達の知らない所で行われることになり,不公平の印象を受けることになりやすい。さらに,効率的配分も政府の期待収益最大化も保証されない。例えば,輸出や輸入免許は任意の方法で割り当てられることがよくある。

 FCCはかつてくじによりランダムにセルラー電話の免許を割り当てていた。公平ではあるが,この方法でも効率的配分や政府の期待収益最大化は望めない。先着順の割当ては,江戸時代の日本で,新田開発のために中央・地方政府により用いられた。事前に誰も排除されないという意味では公平だが,ここでもまた,効率的配分や政府の期待収益最大化は保証されない。規格化された商品の多くは小売り商店で公示価格で売られているし,個人の消費用の不動産や家賃も公示価格により販売される。Wang(1993)はオークションと公示価格販売を比べ,実施費用が高くなく限界収入曲線が十分急である限りオークションの方が効率や収入の面で優れていることを示した。

 これまでの考察を総合すればオークションの利点は以下のようになる。オークションは個人情報をより効率的に使い,効率的配分を達成する潜在性をもち,多くの場合,政府の期待収益の最大化をもたらす。加えて事前に財の配分のルールが全ての潜在的買い手に公表され,望めば誰もが参加でき,入札できるので公平である。また政府がその意図をオークションのルールに盛り込むことができるので,オークションには融通性もある。

 FCCはMTA広帯域のオークションで3つの免許をパイオニアへの優先権と選定し,残りの免許とは異なる支払い方法を適用した。これは技術の発展に貢献した者に報いるためである。FCCはまた,地域,狭帯域のオークションで6つのブロックのうち2つで,少数民族や女性の所有する企業に40%の入札価格割り引きの優遇措置を与えた。さらに,FCCは予算制約を緩和するために企業連合を組むことを認めた。

 ここではFCCオークションがオークションの理論の発展にどのような役割りを果たしたかなどを主眼としたので,オークションの実験,二重オークションを含む多くの重要な問題に触れることができなかった。これらについてはWilson(1992)のサーベイを参照されたい。FCCオークションに関連する分野に限定しても,財が補完的あるいは代替的である時,入札者が予算制約に直面している時,入札者が事前に非対称である時などに,どのように効率的配分を達成するかについてはいまだ未解決の問題が残されている。その他公共事業の入札においても契約にない低品質の財やサーヴィスを提供するというモラル・ハザードの問題がある。それらの問題点に注意し,適切な監視を怠らないという必要はあるが,それぞれの目的に応じ新しい形態のオークションを考案し,実践してみることがわが国で今ほど望まれる時期はあるまい。諸外国のさまざまなオークションの実践例と詳しい理論研究の成果は,そのための十分なデータを提出するものといえよう。

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注1 オークションの歴史については,Cassady(1967)とLearmount(1985)およびそこに挙げられた文献を参照されたい。

注2 17世紀のイングランドでは,裁判所の命令で差し押さえ品のオークションが行われていた。『サミュエル・ピープスの日記』の中に,「キャンドル方式」で二隻の船を競売したという記述がある。これはこのイングリッシュ・オークション一形態で1インチ長さのろうそくを灯し,炎が消える直前に最高額を付けた者が購入者になるとするルールである。17世紀末のイングランドでは「キャンドル方式」が大変人気があったのは確からしいが,時間がかかること,落札するのに経験が必要であること,最終購入者の確定が難しいことなどの問題点があったため18世紀の100年間で人気を失った。

注3 オークションでの不正,ディーラーによる談合行為は,ローマ時代のオークションやデロス島の奴隷市場でもしばしばみられた。イギリスでは1927年にオークション法(セリ協約法)が制定され1928年1月1日に施行された。同法は,ディーラーの談合や「不正競売」を規制しようとするものであった。1927年法は,この談合の不法性を規制したが,以前よりその活動がずっと用心深く組織されたため1969年に修正法が制定されるまで1度しか適用されたことがなかったという。

注4 わが国における談合の事例については例えば武田(1994)を見よ。最近では,全国の自治体が発注する水道メーターをめぐる談合が話題になった。東京都発注の水道メーターの指名業者25社が1997年2月に公正取引委員会から刑事告発された。効果はてきめんで,その後の入札ではすべての自治体で落札価格は前年を下まわり,談合がなければ3割安は当たり前という結果になった。

  川崎市にいたっては,メーター単価約8,900円から2,990円にと三分の一になった。落札した会社は「工場や従業員を遊ばせておくわけにもいかないので,どうしても落札したかった」と,採算度外視の理由を説明している。落札できなかった他の中小企業は「異常な価格だ」「こんな競争が続けば,中小企業はつぶれてしまい,結局大手だけしか残れない」と肩を落としている。談合を「必要悪」だと主張する人の言い分である。

  それでは適正な価格はいくらなのか。横浜市の4月の発注を落札した従業員5人の会社は,落札価格5,200円を「赤字を出さずにやっていける価格」という。この価格は1月の7,550円の3割引になっている。

  上の水道メーターの談合事件は,新たな問題をひきずっている。7月18日付朝日新聞夕刊によると,東京都発注の水道メーター談合事件では指名業者24社が9月3日まで指名停止処分を受けている。ところが,在庫不足を補うために7月23日に行われる入札に,処分を受けている大手業者の代理店を兼ねる商社が参加するという。談合を誘発しやすいと指摘された従来の指名競争入札を,今回から制限付き一般競争入札にした結果である。公募した業者の中から,営業実績や資本金などで資格審査をし,13社が入札業者と決められた。入札当日まで業者名は公表されないのだが,業界関係者によるとこの中に指名停止処分中の業者の代理店や取引関係にある商社が含まれているという。これらの商社が落札すれば,処分中の業者が生産を受け持つことになり,実効性のない処分だと指摘されている。

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