第11号

エンパワーメント・アカウンタビリティ・キャパシティ−開発援助の分析のひとつの試み−
滝沢三郎

滝沢三郎
(国連工業開発機関UNIDO監査課長)

 1948年生まれ。埼玉大学教養学部卒,東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了,カリフォルニア大学バークレー経営大学院修了。法務省入省の後,国連パレスチナ難民救済事業機関ヨルダン本部上席監査官,レバノン地域事務所財務課長,ウィーン本部財務企画官等を経て91年より現職。米国公認会計士協会(AICPA),国際開発学会等に所属。米国公認会計土(CPA).米国内部監査士(CIA)。

 主な論文は,「開発援助とアカウンタビリテイ」『現代東アジア論(東大出版会),"Audit Planning and Risk Assessment"(第25回国連・開発銀行監査部長会報告書,1994年5月,ローマ)などがある。

I はじめに

 冷戦の終結と旧共産圏の崩壊とともに開発援助に対する援助国(ドナー)の態度は大きく変わりつつある。冷戦時代の援助には,東西両陣営が途上国を自分の陣営に引き付けるための戦略的側面が大きく,援助受け取り国(ホスト)が援助資金をどう使うかは二次的なことだった。今日,旧ソ連や東欧諸国は援助国から被援助国に転落し,中東やアフリカで援助需要が増える一方,西側援助国の多くは財政難などから援助額を減らし始め,日本の援助資金も伸び悩んでいる。これを背景に,主要ドナーは開発援助のあり方を根本的に見直している。このような動きの中で開発援助にかかる「アカウンタビリテイ」(Accountability)が関心をあびるようになった。過去数年,OECDの開発援助委員会(DAC)は開発援助の重点としてホストの民主化の促進を強調し,国民に「アカウンタブル」な政府の必要性を強調している(注1)。世界銀行は最近『統治』(Governance)のあり方が持続的成長に大きくかかわるとの認識にたち,その重要な要素としてアカウンタビリティを強調している(注2)。国連も1990年以来,開発援助にかかるアカウンタビリティの統一基準作りのための努力を行っている。しかしながら,開発援助の文脈で論じられるアカウンタビリティの概念は多義的かつ曖昧であり,その多くが会計,監査の問題に限定され,アカウンタビリティの概念が本来もつより広い機能が発揮されていないように見受けられる。本稿はアカウンタビリティを「エンパワーメント」,「キャパシティ」の概念と結びつけることにより,開発援助を巡る論議に新しい見地を提供する試みである。

II 分析枠組み:開発援助におけるアカウンタビリティの定義

(1)アカウンタビリティの定義

 アカウンタビリティの概念は,その日本語固有の訳語がないことにも表れているように,日本ではなじみの薄い概念である。欧米ではアカウンタビリティは日常用語で卓上予定表にすら使われているが,開発援助におけるアカウンタビリティとは何かを正面から扱った文献は少ない。また論者によりその定義は異なったり,もしくは漠然と定義のないまま使われている。アカウンタビリティの定義の例を欧米の文献からあげてみると,

「政策の立案と実行に責任ある者が,その行為につき選挙人(納税者,従業員,顧客など)に対して説明する義務」(注3)

「公的資源を委託された者が,その運用について報告し,委任された財政的・管理的・プログラム責任について答える義務」(注4)

「資源を管理する義務を有する者が,その資源をどの様に使用したかにつき,また結果の達成につき上級の権威に報告する義務」(注5)

「公務員の行為の責任を問うこと」(注6)

「個人ないし組織の業績について責任を問うこと」(注7)

「与えられた責任について答える義務」(注8)

 上記の定義から最大公約数的なものを探せば,資金や物資を管理する者が,その義務を果たした方法について公的に説明する義務とするUSAID(米国国際開発庁)のそれになるだろう。卑近な例をあげれば,ある者(本人−Principal−P)から千円の金を渡されて特定の店からセブンスターを買ってきて欲しいと頼まれた者(代理人−Agent−A)は,そのタバコを買って,どこから買ったかを報告するとともに領収書,釣り銭と共にタバコをPに渡せばアカウンタビリティを果たしたことになる。この取引から独立した監査人がそのタバコ,領収書,釣り銭をチェックすればAのアカウンタビリティはさらに強まる。しかしながら,この二者間の関係だけでは開発援助におけるアカウンタビリティを研究する枠組みとしては不十分である。開発援助の特質を反映したアカウンタビリティの定義をする必要がある。

(2)開発援助とアカウンタビリティ−エンパワーメントとの関係

 PとAの間には,責任の移転とともに,それを実行するための権限および資源の移転がある。上記の例では,Aはタバコを買ってBに渡す責任を委任されるとともに,それを実施するために必要な権限(代理権)と資源(千円)の委譲を受ける。この権限・資源の移転には通常条件が伴う。たとえば「ハイライトを買う」とか,「一番安いタバコを買う」,「近くの店で買う」などである。アカウンタビリティの理解のためには,PからAにどのような責任・権限・資源の移転があり,どのような条件が課されたかを明らかにすることが重要である。Aがいかなる責任・権限・条件のもとで行動すべきか,Aに何が期待されているかが明確でなければ,Aのアカウンタビリティを問いようがない。先例では,仮にPがAに何も指示せずに千円を渡したら,Aはその使い道について説明する義務はなく,勝手に使ってかまわない。

 責任・権限・資源を一定の条件のもとにPからAに移転するプロセスを「エンパワーメント」(empowerment)と定義しよう。簡単に言うとエンパワーメントはPがAに「力をつけること」である(注9)。この過程は単なる権限・資源の委譲だけでなく,責任の付与,情報の提供,教育,訓練などを含んでおり,これらを総称してエンパワーメント条件(Terms of Empowerment)と呼ぼう。エンパワーメントがあった場合にのみ,AはPに説明,報告する義務(アカウンタビリテイ)を負う。アカウンタビリティはエンパワーメントの対概念であり,エンパワーメントなきところアカウンタビリティもない。

 開発援助におけるアカウンタビリティの関係には本人P,代理人Aの他に,援助の受益者(Beneficiary−B)の三者が関わる。開発援助の基本目的が,途上国の国民市民など受益者Bの自立能力を改善することにあるとすれば,Bの存在を無視した関係は不完全である。上の例ではPがAにタバコを買ってBに渡して欲しいという場合がこれにあてはまる。実際の援助はもちろんタバコを買って持っていくより複雑だが,論理は同じである。BはAを経由してPから援助を受けることにより自立する「力をつける」ことができる,つまりエンパワーされる。反面でBはAに対し,究極的にはPに対し.アカウンタビリティを負う。この関係を図式化すると図1のようになる。P,A,Bの関係は分析的モデルであるとともに,規範的モデルでもあることに注意したい。

図1 本人、代理人、受益者の関係

 開発援助ではAとBの関係も重要である。簡単なようで基本的な問題はAが誰かということである。Aはドナーの政府や実施機関である場合が多いが,被援助国(ホスト)の政府またはNGOである場合もある。Aがホストの政府であれば,PとAは国際的な委任関係・代理関係に入り,またAは二重の代理人の役割を引き受けることになる。つまり援助の過程でのドナーPの代理人の役割と,ホストの国内政治過程での国民Bの代表・代理人としての役割である。AがBを適法に代表・代理しない場合(独裁政権など),誰をAとして選ぶかの問題がでてくる。これについてはのちに触れる。

 開発援助においてはエンパワーメントの側面を確認するのが特に重要である。国内の政治・経済過程では誰が誰にエンパワーされたか,後者が前者にどのようなアカウンタビリティを負うかは比較的はっきりしており,アカウンタビリティを果たさなかった者に対する法的,政治的,社会的制裁手段もある。企業については企業会計基準,国については会計法などがある。ところが,開発援助の分野では,誰が誰に対して何について責任を負い,権限を持ち,アカウンタブルかがはっきりしていない。アカウンタビリティを果たさなかった場合の制裁などを定めた法的枠組みもない。現状では開発援助は自発的に行われるもので,その意味で一回かぎりのものである。それぞれの援助案件につき権限・責任とアカウンタビリティが個々に定められなければならない。

 以上のような認識の下に,本稿では開発援助におけるアカウンタビリティを次のように定義する。

『援助供与者(P)から開発責任を負わされ,それを実施するための権限・資源・条件を委ねられた者(A)が.開発責任の履行,権限の行使,資源の消費を与えられた条件に従って行ったか否かについてPに報告・説明する義務』

(3)開発援助における工ンパワーメント・アカウンタビリティの態様

 開発援助におけるPは究極的にはドナー国の国民であるが,政府が(国民の委任を受けて)Pとして機能することが多い。Aは主としてドナーの政府の援助実施機関であるが,ホストの政府やNGOの場合もある。Pは単に資金や物資,技術をAに提供するだけではない。Aが開発責任を負うとき,PからAにそのための力(power)が移転されなくてはならない。援助条件の実施に関しては,PからAへの資金や物資・技術の移転だけでなく,PとAは開発目標と達成されるべき結果について合意し,Aの実施すべき責任の確定(たとえばローカルコスト負担),必要な権限の委譲,従うべき条件の指定(たとえば契約条件)がおこなわれるほかPからガイダンスや訓練,情報の提供などがなされる。エンパワーメントの度合いが強いほど,Aは援助資金を管理・運用し,器材物質の購入や専門家の雇用,建設工事などを自分の制度・職員・手続きで行い,Aによる開発過程の「所有」の度合いが強くなる。このプロセスを通して,Aは開発問題を解決する能力(copacity)をつけることができる。

 Aのアカウンタビリティは,Pからどのようなエンパワーメントがされたか,どのようなアカウンタビリティ要求が合意されたかによる。通常は,資金の移転に関しては財務・会計報告,案件にかかる責任の実施と権限の行使については事業報告や監査報告の提出などがある。さらにプロジェクトの成果についての評価報告もある。いわゆる3E監査(Economy,Efficiency,Effectiveness)で,援助案件の効果(Effectiveness)が問われるときには,誰がAか(被援助国か,援助国か,両者か),Aにどのような権限・資源が委ねられたかをまず明らかにしなければならない。開発援助の効果に対する責任とそのための権限・資源がPから与えられていなければ,Aは案件の効果に対するアカウンタビリティはない。援助案件の成果はホスト,ドナーの努力の他,国際経済環境など,両者のコントロール外の要素もあるから,この点を明確にしておくことが大切である。

 開発援助におけるエンパワーメントとアカウンタビリティ関係は図2にあるように,大きくいって3つのチャンネルといくつかの「段階」に分解できる。3つのルートは二国政府間援助(政府対政府),多国間援助(国際機関),そして最近重要性を増してきたNGOを通した援助チャンネルである。それぞれのチャンネルには2ないし4つの段階がある。NGOチャンネルでは援助国市民とNGOの関係とNGOと受入れ国市民の関係だけがある。二国間チャンネルには援助国の国民(議会)と政府の関係,援助国の政府と被援助国政府との国際的関係、受入れ国の政府と受益者との関係の3つである。多国間援助機関チャンネルは,市民−援助国政府−多国間機関−被援助国政府−市民の4段階となって最も長いチャンネルとなる。

 開発援助の文脈では,援助資金の流れの方向を反映して,ホストの中でのエンパワーメント・アカウンタビリティの方向がドナー国内のそれとは逆になることに注意すべきだろう。通常のホストの国内資源の使用についてはホストの政府はホスト市民に対してアカウンタビリティを負う。しかし,開発援助においては資源は外国のドナーから提供される。ホスト国の政府はドナーの代理人Aとしてホスト国の市民・受益者Bをエンパワーする。このプロセスの最終目的は最終受益者Bのキャパシティビルディング(能力の向上)である。援助の最終受益者Bもエンパワーされた限りにおいてアカウンタビリティを負うと考えられるから,アカウンタビリティの方向は逆にBからホスト政府へ,そこからドナー政府を経由して市民に至る。こうしてエンパワーメント・アカウンタビリティの国際的なプロセス・サイクルが完成する。

図2 開発援助におけるエンパワーメントとアカウンタビリティの関係

 開発援助の3つのチャンネルはいわば競合関係にある。援助の主なチャンネルは伝統的に二国間援助であり,それを多国間援助が補ってきた。援助のチャンネルに関連して注意すべきは,それぞれのチャンネルは単一ではないことである。DAC加盟の主要な二国間援助機関だけで20,主要国際機関もそのぐらいある。NGOに至っては数千の位に上る。多数の援助機関が150に上る発展途上国に競って援助をしているおり,しかも二国間援助機関や多国間援助機関からNGOへの資金供与をする場合などもあるから,開発援助は途方もなく複雑なプロセスとなる。後述するように援助の調整問題がでてくる所以である。各チャンネルの中で,エンパワーメント・アカウンタビリティのプロセスが効果的に機能することもあればしないこともある。最近は多国間,とくに国連システムを経由した援助が減り,NGOなど非政府ルートが大きくなりつつあるが,そのひとつの理由は,多国間ルートのエンパワーメント・アカウンタビリティプロセスが機能不全を起こしているせいと思われる。長すぎる援助チャンネルは,その維持のためだけで多大の資源を消費するという問題もある。

 エンパワーメント・アカウンタビリティのプロセスは上述の2ないし4つの段階だけでなく,よりミクロなレベルにもある。政府の中では監督機関P(例えば外務省)と実施機関A(例えばJICA)の間にも存在するし,さらに実施機関の中ではマネジメントPとスタッフAの間にもその関係がある。開発援助に関わる者の全員がPとAの二重の役割を果たす。つまり全員が誰か(究極的には援助国市民)からエンパワーされて,その者にアカウンタビリティを負うAであり,同時にPとして誰か(究極的には被援助国受益者B)をエンパワーし,その者からアカウンタビリティを求める関係にある。開発援助の過程はこのエンパワーメント・アカウンタビリティの関係が無数に重なりあいつつ,最終受益者のエンパワーメントに向かっていくものと考えられる。これを二国間関係にとって図式化すれば図3のようになる。

図3 ホスト国におけるエンパワーメントとアカウンタビリティの関係

(4)エンパワーメント・アカウンタビリテイ・キャパシティモデル

 エンパワーメントとアカウンタビリティのプロセスはその強度で分析できる。二国間援助の場合,ドナーによってホストをエンパワーする程度は異なる。案件形成,物資購入やコンサルタントの雇用に際してホストイニシアチブを取らせ,自分は脇役に回るドナーはエンパワーメントの程度が高い。反面、案件形成から実施,評価にいたるまで自国の機関やコンサルタントを使うドナー国はエンパワーメントの度合いが低い。アカウンタビリティについても同様に分析できる。ドナーによっては案件の各局面でホストから財務報告や進捗状況報告を求めるのみならず,自国の会計検査職員を送り込んでアカウンタビリティの確保に努めることがある。しかし,他のドナーは,ホストに移転された援助資金については相手側の国内問題として,案件の実施状況,結果,効果については敢えて問わない。この違いを横軸にエンパワーメントの程度,縦軸にアカウンタビリティ要求の程度をとって表わすと図4のようになる。

図4 ドナー分類概念図

 アカウンタビリティとエンパワーメントがコインの両側の関係にあるとする前提に立つならば,理想的なドナーのポジションはエンパワーメントの度合いとアカウンタビリティ要求がバランスする対角線上であろう。ホストのキャパシティビルヂングの見地からは,弱いエンパワーメントと弱いアカウンタビリティ要求を表わす左下方のポジションは望ましくないと一般には言えよう。しかし,後述するように.ホストにとってどのポジションが良いかは,ホスト国がどこに位置するかによる。

 以上の分析は,ホスト国についても行うことができる。すなわちホストの内部的エンパワーメント・アカウンタビリティ能力(キャパシティ)である。内部的エンパワーメント能力は,ドナーから資源と責任・権限を移転されたホストが,それらを効果的・効率的に管理・使用する能力,エンパワーされ得る能力である。例えば,ホストが中央官庁の責任体制を定め,調整官庁をおき,投資計画をたて,実施機関に必要な権限を委譲し,予算をくみ,人員を配置し,事業を監督し,資金を支払い,会計記録を保持する等の能力である。いい換えれば援助資源の管理能力,開発マネジメント能力,援助吸収能力である。財務管理能力は特に大切である。大半の途上国はこの能力が低いが,中には,行政組織が形の上でそろって,各省庁の責任が明確にされ,権限の委譲が進んでいる国がないわけではない。

 ホストのアカウンタビリティ能力は,ホストがドナーのアカウンタビリティ要求を満たす能力,援助資源の管理・使用・効果についてドナーにきちんと報告できる能力である。一般的にはホストのアカウンタビリティ能力は弱いと言えるが.その程度は国により異なる。中には,バングラデシュ,エチオピアなどアカウンタビリティの能力が比較的発達しているLDC(開発途上国)もある。

 横軸に内部的エンパワーメント能力,縦軸にはアカウンタビリティ能力をとってホストのプロフフィールを描けば図5のようになる(ドナーとの相対的位置を示すため,図を逆転してある。)ここで図4と図5を重ねて図6を作る。図6はドナーとホストのさまざまな位置関係を仮定したものである。

図5 ホスト分類概念図
図6 エンパワーメント・アカウンタビリティ・キャパシティから見たホストとドナーの双関図

 H1とD3の場合,ホストのキャパシティとドナーの授権・アカウンタビリティ要求が離れ過ぎていて,ホストのキャパシティの限界を超えてしまい,「キャパシティギャップ」が存在する。この場合の危険性は,ホストが資源の効率的,効果的な使用が出来ず,援助資金の不正使用が起きたり,またその使用についてのアカウンタビリティもドナーに果たせないことであろう。この場合,ドナーの国内的アカウンタビリティも満たされない。H5とD4は逆の「キャパシティギャップ」の例である。ここではホストが潜在的,未使用のキャパシティがあるのに,ドナーがエンパワーメントせず,自国の援助機関を通じて援助を行ったり,ホストが提供できるアカウンタビリティ情報を求めない場合である。これは,トラックを使用している農家に行ってリヤカーの使い方を教えるようなもので,援助はホストのキャパシティビルディングに役立たない。

 好ましいドナーとホストの相互ポジションはD4とH1のような位置関係であろう。この場合,ドナーはホストの右上に位置して,ホストの現状の能力を超えるエンパワーを行い,またその能力以上のアカウンタビリティ要求を課すが,過度な授権・要求はしない。この相互的ポジションをドナーが相当期間保持することで次第にホストのキャパシティが向上し,ホストは右上方に移行していくことができる。

 このエンパワーメント・キャパシティ・アカウンタビリティモデルは,いろいろな場合,局面に応用できる。借款,無償援助,技術協力などの援助のタイプによって異なるプロフィールができるだろうし,農業,工業など特定のセクターによっても変わるだろう。またある実施機関の内部のマネジメントの分析にも使える。このモデルを「操作化」して,ドナーとホストの相対的位置を推定することができれば,ドナーは,ホストのポジションに応じて自分のポジションを変えることも可能であろう。たとえば国際競争入札ができるホストには調達実施の権限の一部ないし全部を委譲することなどである。

III ホストの内部工ンパワーメント・アカウンタビリティ能力

 ここで開発援助の主役であるホスト国の内部的なエンパワーメント・アカウンタビリティにかかる現状を外観してみよう。150を超えるホストの開発マネジメント能力には国によって違いがあるが,国連の報告は次のような指摘をしている(注10)。

(1)内部的エンパワーメント能力の欠如

 多くの開発途上国では責任・権限の委譲といったマネジメントにかかる観念がない。官僚は能力よりも地縁,血縁やコネで任命されるため,彼等の忠誠は任命した者(ときとして独裁的)に向けられ,国民には向かない。官僚や特定の利益集団がその地位を利用して利益をうけることが蔓延しており,汚職力がおこり易い,開発援助が,その本来の受益者である市民・受益者Bにまでまわらない。国民が政治に参加し,その要求,希望が行政に反映されるシステムが欠けている。「良い統治」(Good Governance)が存在しない。国民にアカウンタブルでない政府が,ドナーの代理にAとして責任ある開発援助事業を実施できるかという問題は援助につきものである。

 官僚機構は肥大しているが,援助資金を一元的に監督する部局がなく,開発政策,開発計画がない。中央銀行,大蔵省,実施官庁,調整官庁,会計検査院の相互調整がない。行政組織のあらゆる部門,階層で管理・技術能力,専門能力が不足して行政管理体制が不備であり,開発計画実施に際し上位,下位機関の間の監督支援体制や報告制度が整備されていない(注11)。責任と権限の体制が不明確で透明性を欠くプロセスのなかで,援助資金の濫用,悪用が起きやすい。援助資金を受け取った途上国政府機関やNGOによる使途不明金が絶えない。

 公的機関の会計制度が未発展のため,開発政策,開発計画の策定のもととなる資料が不十分である。途上国には所得分配にかかる資料さえ作成されていない国が80もある(注12)。会計システムが未発達なため,評価に必要な予算およびその執行状況を示す資料が収集できない。援助受入れ実績,債務累計などをまとめる政府部局がなかったり政府投資計画がないなど行政能力,援助吸収能力が十分でない(注13)。

(2)弱体なアカウンタビリティ能力

 大半のホストの内部的アカウンタビリティ能力は低い。アカウンタビリティの観念が薄く,国民の間にも官僚のアカウンタビリティを求める意識が低い。予算制度・会計制度・資金管理制度が未発達なため,アカウンタビリティの基礎となる情報の補足,報告能力が低い。会計基準がなかったり,複雑で時代遅れの会計制度のため,援助資金の流れが掴めず,開発事業の内容が不明である。会計,決算が手作業なため,正確でタイムリーな情報が得られない(注14)。米国のアフリカヘの食糧援助では,1億ドル以上の見返り資金の使途が不明の上,1億1千万ドルの見返り資金の回収が遅れているためプロジェクトの実施に支障がでているなどの例がある。一般的にサブサハラアフリカ諸国では会計能力が低く,援助資金の乱用,悪用がみられる(注15)。

 ホストにはバングラディシュ,エチオピアなど,開発予算は大半が外国からの援助という場合や,ソマリアのようにGNPの半分以上が外国援助という国がある。このような国の場合,援助は無償援助や技術協力が多いが,その援助が国家予算や会計に含まれていない場合が大半である。その理由は,政府の予算会計システムが未発達で信頼できないため,ドナーが独自の事業会計システムを作り,調達からコンサルタントの雇用まで自分で行ってしまったり,NGOチャンネルを使うからである。ホストの政府会計システムをバイパスした援助形式は,ドナーの国内的アカウンタビリティは保証するが,ホスト政府から援助資源管理能力を奪う。そのような援助はホストの制度組織作りには役立たず,エンパワーメントの効力をそぐことになる。

 ホストの会計検査院はしばしば監査に必要な情報を入手できない。援助プロジェクト合意書に監査条項がなく,会計検査院が関与できない。多くの会計検査院は監査能力が低い。会計監査規準がなく,検査人の監査能力も低いため報告が信頼できない。会計検査院は国内事業の監査で手一杯で,援助資金の監査まで手が回らない。監査報告が何年も遅れたり,監査報告が秘密扱いされて入手できないこともある。会計,監査にかかる教育が不十分で,公認会計士など会計専門職が育たないことがある。アフリカの18の国では全国をとっても50人以下の会計専門家しかいない(注16)。公務員の低い給与による他部署への流出も大さな原因となっている。世界銀行のコンディショナリティに公務員数削減と賃上げがある所以である。

IV ドナープロフィール

 このようなホストの内部的エンパワーメント・アカウンタビリティ能力の欠如から,援助資金が目的のために効率的・効果的に使われたことをドナーが確認するのは難しい。このような現状を前に主要ドナーはいかなる対策をとっているかをつぎにみてみよう。

(1)アメリカとカナダ

 アメリカとカナダのアプローチは比較的弱いエンパワーメントと強いアカウンタビリティ要求で特徴づけられる。アメリカのODAの額,援助先,形態は議会が決定する。USAID(米国国際開発庁)は国務省を通して議会からエンパワーされ,授肋を実施する。USAIDの内部では海外事務所へのエンパワーメントが進んでおり,海外事務所への権限委譲と分権的実施体制がしかれている。海外事務所はプロジェクトの承認,交渉,実施について権限を持ち,たとえば所長は2000万ドル(20億円)までのプロジェクトにつき決裁ができる。65の海外事務所に働く職員の数は現地雇用を含め8000人を超す(注17)。平均120人であり,数人の日本の在外公館とはケタが違う。

 エンパワーメント・アカウンタビリティの問題が尖鋭に現れるのが調達である。USAIDは過去において,ホスト国による調達が制度的能力を増進するとの考えから,それを好んだ。USAIDの海外事務所は,ホストの調達実施能力(公示,交渉,承認,監理,支払い方法,監査,会計報告)が十分とみなした場合には,ホストによる調達を認めることがある。その場合,ホストは調達契約の公示,交渉,承認の権限等を与えられる。商品援助の場合,ホストは自国の業者を含め,業者を選定できる。支払いはUSAIDからホストまたは業者に直接行われる。ホストによる実施はUSAIDの海外事務所の事業額の56%を占める(注18)が,同時に多くの問題が指摘されている。GAOやUSAIDの監察長官(Inspector General−IG)の報告は,ホストが調達能力に欠けること,ローカルコストの負担を怠ること,援助終了後のプロジェクトの持続性がないことなどを指摘している。特に見返り資金については回収の遅れ,目的外使用,政府資金と混ざってしまうことなどが批判されている。このような問題を背景にUSAIDは近年,ホスト国による調達実施を避けている(注19)。

 見返り資金の管理,使用法についてUSAIDは厳格なルールを適用している。議会は見返り資金の濫用・誤用を強く警戒し,そのための法律も制定した。商品輸入援助の例を取れば,次年度予算請求に際して海外事務所は過去3年間の見返り資金につきその出所と使用先,また予定された使用先を明らかにしなければならない。ホストは,見返り資金が他の政府資金と混ざるのを防ぎ,その追跡を可能にするための銀行別勘定と手続きを設けなければならない。海外事務所はその手続きが十分か否かを審査するとともに,見返り資金の適正使用をチェックするため必要に応じて現地検査もおこなう。見返り資金の一部をその手続き改善のために使うことも認められる。プロジェクト援助では,プロジェクトの承認,交渉,実施の権限をもつ海外事務所長が,そのモニタリング,報告,評価についてアカウンタビリティを負う。経済支援援助の場合,調達はホスト国が行うが,調達基準はアメリカのものを使う。ホスト国は詳細な会計記録を保持する義務があるほか,USAID事務所も記録を保持する(注20)。

 アメリカの開発援助にかかるアカウンタビリティ要求は強力である。USAIDは2万5千ドル以上の全ての援助協定,プロジェクト文書,契約に監査条項を入れ,その費用も事業予算に盛り込む。監査は,GAOのほか,USAIDのIG,USAID海外事務所が契約する現地監査法人,場合によってはホスト国の会計検査院が行う。ちなみに,GAOは1991年以来20近いUSAIDに関する批判的な監査報告を議会に提出し,これは最近のUSAIDの機構改革に大きな影響を与えた。IGは,会計報告の正確性についての意見のほか,法律や規則の順守や内部統制体制の妥当性にかかる意見を出す。IGは年間約80の監査報告を作成するほか,米国やホスト国の会計事務所によって行われる約500の監査報告の審査を行う。USAIDのIGは援助にかかる不正汚職も調査するが,1993年上半期の"実績"は,261件の調査案件の内,6件の有罪確定,7件の懲戒処分,7億5千万円の回収となっている。所属先別では27%が業者,17%が一般政府職員,9%が外交職員,8%がNGO,7%が外国政府職員となっている(注21)。契約監査法人は独立性,能力など一定の基準を満足した場合のみ認められ,GAOやIGの監査規準にのっとって監査を行う。ホストの会計検査院も同じである。

 USAIDはエンパワーメントの前提としてのホストの能力評価を重視し,1984年,1990年にホストの詳細な能力評価が行なわれた。評価はプロジェクト実施方法,財務管理,内部統制組織を中心としたアカウンタビリティ環境,脆弱性評価を含む。見返り資金,ローカルコスト能力評価は特に重視される。評価によってホスト国は3段階に分けられ,援助プログラムの方式が決められる。USAIDはホストの開発マネジメント能力,とくに財務管理能力向上のための技術協力を広範囲に渡って行ってきた。1987年にプライスウォーター監査法人が協力形態をレヴューし,直接介入方式,財務管理直接支援方式(最も一般的),マネジメント改善方式,『囲い込み』方式を分類している(注22)。

 USAIDは昨年就任した新長官のもと,援助政策の抜本的見直しと組織改革をすすめ,その一環として,USAID内における「エンパワーメント・アカウンタビリティ」体制の確立,さらに16の海外事務所へのさらなる権限委譲を試験的に行っている。その延長線上にホスト国のエンパワーメントの重要性が再び強調されている(注23)。

 カナダはその援助の大半をカナダのパートナー,実施機関を通して行う。ホストに権限が委譲されてその組織や制度が使われることは少なく,ホストは援助の「対象」にとどまる。ここには権限・責任の委譲を通したホストのエンパワーメントはない。したがってアカウンタビリティも国内的アカウンタビリティだけが問題になる。この点後に述べる日本と似ている。しかし国内的アカウンタビリティの確保のための努力は積極的に行われ,CIDA(カナダ国際開発庁)はプロジェクト終了時にプロジェクトの監理,効率,効果について徹底した監査をする。民間会計事務所が特別監査をすることもあるし,CIDAから資金援肋を受けるNGOも監査の対象になる。

 カナダ議会は最近はCIDAに対して援助事業の「結果」についてもアカウンタビリティを問う姿勢をとっている。従来CIDAは事業の成功はCIDAだけでなくホストの努力,さらには国際政治経済環境なども影響する以上,CIDAのアカウンタビリティは限られているという立場をとっていたが,会計検査院が最近CIDAは結果に対するアカウンタビリティがあるとする立場を取り,これに議会が同調したものである。CIDAは議会によりエンパワーされた以上の対議会アカウンタビリティを要求されているともいえる。

 アメリカとカナダのプロフィールが比較的弱いエンパワーメントと強いアカウンタビリティ要求である主な理由は,連邦政府の開発援助に対する国民の合意がかならずしもなく,また伝統的に議会が行政に優位に立ち,USAIDやCIDAへの監督や干渉が強いことであろう。国内に社会経済問題が山積しているなかで巨額の海外援助をすることへの不満は強い。実施機関がホストをエンパワーしたくても,その結果起き得る様々な問題をGAOや議会などに追求されるのを恐れて,それを避けてしまう。またアメリカの場合,政権が変わるたび大幅な援助政策の変更があり,一貫性を欠く欠点がある。共和党支配の議会のもとで,海外援助は減らされるのは必至ということで,USAIDは政策の洗い直し,援助案件の精選に懸命である。開発援助に対する国民的支持がなく,議会に対する実施機関の国内的アカウンタビリティの義務が強過ぎる場合には,対外的エンパワーメントが妨げられるという図式が浮かんでくる。

(2)スカンジナビア諸国

 デンマーク,ノルウェー,スウェーデンなどスカンジナビア諸国の援助の特徴は,アメリカやカナダと対照的に,強いエンパワーメントと弱いアカウンタビリティ要求である。これら諸国のグラントエレメントは高く,またLDCが援助の対象国になっているが,これら諸国は援助実施の際,ホストの制度・組織を利用し,それに頼る。援助資源はホストの組織にゆだねられ,プロジェクトの実施・監理・会計・監査・調達などにはホストの制度組織が使われる。デンマークの場合,その援助の大半がLDCに行われるが,デンマーク開発庁(DANIDA)は案件発掘,実施,モニタリング,そして報告は原則としてホストの責任であるという政策をとる。実際にはドナーとジョイントでなされる場合が多いが,ホストの調達組織や制度は原則としてそのまま受け入れられる。事実,ホストの組織制度を経て流れるDANIDAの援助資金は増えている。反面でDANIDAのアカウンタビリティ要求は低く,プロジェクト援助で求められるものは,ホストの会計システムによった事業収支報告書,器材目録,事業完成後の報告などにすぎない。見返り資金の回収や使用に関してはアカウンタビリティが求められない。援助協定にはホスト政府が守るべき監査規準は定められていないし,ホストがアカウンタビリティ基準を満たしたか否かについてのモニタリングはない。したがって各ホスト国のアカウンタビリティ基準準拠の程度は把握されていないし,守らなかった場合の罰則もない。DANIDAは援助供与に際しての事前のアカウンタビリティ能力アセスメントも行わない(注24)。

 SIDA(スエーデン国際開発庁)やNORAD(ノルウェー開発庁)も多かれ少なかれ事情は同じで,強いエンパワーメントと弱いアカウンタビリティの特徴を持つ。一般には強いエンパワーメントがみられる場合,アカウンタビリティ要求も高いと予想されようが,これら諸国のアカウンタビリティ要求はむしろ低いという興味深い事実がある。援助の対象国がエンパワーメントとアカウンタビリティのキャパシティにおいて劣るLDCであることを考えると,スカンジナビア諸国はかなりのリスクを犯しながら援助を行っているといえる。

 このようなスタンスの理由としては,一つにはこれらの国では過去GNPのかなりの割合を開発援助のために使うことについて国民的合意があったことがある。DAC(開発援助委員会)のODA/GNP比率を満たしているのはスカンジナビア諸国だけである。高度な社会保障制度が発達し,それを途上国にも広めようとの寛大な意図があった。また,ホストが自分の力で開発マネジメントをすることこそがキャパシティビルディングを助け,持続的成長につながるとの哲学もある。失敗をも許す寛容な態度である。この社会的合意を反映して,政府の援助方針に対して議会は寛容であり,その監視・干渉は弱かった。財政的にもそれが可能であった。同時に比較的小さな国ゆえ,援助実施活動を自国の組識,人員で全て行うことが実務上難しいという消極的な理由もあろう。しかし,過去2,3年,スカンジナビア諸国は,経済停滞,財政困難,援助資金の停滞,さらに過去の援助の成果に対する疑問から,援助についてのアカウンタビリティ,特に結果に対するアカウンタビリティ要求を急速に強めており,そのプロフィールは変わりつつある。国連など多国間援助機関に対する姿勢も厳しくなっている。図6で例示するとD2が上の方向に移動するケースである。

(3)世界銀行

 世銀事務局は理事会からエンパワーメントされ,後者にアカウンタビリティを負う。世銀と借入国(人)の間のエンパワーメント条件は両者の間の交渉で決められる。借入国はその条件に従って案件形成と実施に責任をもち,借入金返済の義務を負う。世銀は事前評価と事後評価に責任を持つ。借入国が意思決定に関与できる度合いは,案件のタイプと借入国の経験と能力による。世銀は借入国に対して幅広い条件を課している。プロジェクトやカントリーリスクの審査は厳しく,貸し付け契約は,プロジェクトの形成・調達・支出・財務管理・事業報告についての詳細な規定を設けている。コンサルタント雇用・調達・支払いの方法についてはそれぞれ別個のガイドラインが設けられている。ガイドラインが守られない場合は貸付金の支払いが遅れることがある。世銀は最近はナショナル・オーナーシップ,すなわち借入国がプロジェクトを所有し,世銀はそれを助けるにすぎないということを強調している。これは後述のUNDP(国連開発計画)のナショナル・エクスキューションと同じく,エンパワーメントの強調である。しかし,世銀のエンパワーメントの程度はいわゆる「コンディショナリティ」によって大幅に制約されている。「コンディショナリティ」は,借入国が借款を受ける代わりに経済構造の調整等をする法律的義務だから,それが厳格であればあるほど,途上国の自由裁量,意思決定の範囲はごく限られてしまい,エンパワーメントが阻害されることになる。

 世銀のアカウンタビリティ要求は高い。世銀のローンは多様な形を取り,アカウンタビリティもそれぞれによって異なるが,借入国は,一般に認められた会計原則,会計規準,方針に従わなければならない。この義務は借入国の会計システムが妥当であれば,そのシステムによって作成された財務諸表の提出をもって満たされる。借入国は,財務管理体制を整え,事業全般にかかる帳簿保持と提出が義務づけられるほか,現地での調査,監査に応じなければならない。プロジェクトは年1回は独立した監査人による監査,現地視察を受け,また借入国の記録もチェックされる。世銀の借款の条件の一つとして,借り手が借款について監査を実施することが要求される。監査は独立した経験のある監査人がしなければならず,その実行は世銀本部のコンピューターシステムによって厳格に監視される。監査人の雇用についての詳細なガイドラインもある。世銀は借入国のアカウンタビリティ能力の個別評価は行わず,貸付契約が一般的に,資金が効率的,効果的に使われるようにと定めるだけである。しかし,世銀は借入国のアカウンタビリティの制度的基盤を強化するためのプロジェクトを実施している。タンザニア,インドネシア,ボリビア,マダガスカルなどで,政府財務管理システム,監査規準の立法,企業会計制度の導入,会計職業団体の育成などのプロジェクトが実施されてきた。

 反響を呼んだ1992年の「ワッペンハウス報告」は,借入国側の問題としてその能力不足からくるプロジェクトの停滞,見返り資金の不足,貧弱なプロジェクト監理,欠陥のある調達システム,監査条項の不順守などを問題としてあげている(注25)。世銀側の問題としては,ローンの量を増やすことに重点がおかれすぎたことが批判された。この報告書の発表以来,世銀は大幅な内部改革に着手した。そのひとつが行内のアカウンタビリティ体制の強化である。また,世銀は対外的アカウンタビリティを確保する手段のひとつとして,ごく最近,「検査官」制度を発足させた。この制度のもと,世銀が内部の規則に違反したため被害を被ったと信ずる者は,直接「検査官」に調査を請求できる。また世銀の透明度を高めるために「情報公開基準」が設けられ,プロジェクト文書を含め,各種情報が外部からも入手できるようになった(注26)。さらに借入国の会計・監査規準の立法化を推し進める必要があるとの認識のもとに,財務報告・監査作業部会が行内に設立され,借入国の財務的アカウンタビリティ能力の定期的評価がされることになった。

(4)UNDP

 UNDP(国連開発計画)は,国連システムによる途上国への技術援助の中心機関として1965年に設立されて以来,一貰してナショナルエクスキューション(National Excution−NEX)を推し進めてきた。NEXはホスト自身が,開発にかかる経済計画技術援助プロジェクトの形成から実施,財務・事業管理,さらに評価に至る全てについて責任を負う体制である。これはホストを最大限にエンパワーしようとする政策にほかならない。背景には,従来UNDPの援助体制では,プロジェクトの形成・実施・監査においては,ホストとUNDPそして技術援助を実施する国連専門機関が三巴になっていて,相互の責任とアカウンタビリティが曖昧になっていたことへの反省がある。とくに技術援助がドナー主導で,ホストのエンパワーメントがなかったことへの自覚がある。援助がドナー主導型の場合,プロジェクトはホストのものという所有意識は薄く,ホストのコミットメントの低さを招き,結果的に途上国が持続的な開発を自力でできる能力は伸びない。NEXの背景には,ホスト側に開発は自分の責任という意識があってこそ,援助事業へのコミットメントも強まり,行政能力(キャパシティ)の向上ができるとの認識がある(注27)。日本の援助で従来いわれてきた「自助努力」の強調である。

 しかし,発展途上国はプロジェクトの管理能力や運営能力(内部的エンパワーメント能力)がごく低い。その国にプロジェクトの実施を任せた場合,アカウンタビリティが確保できるかという当然の問題がでてくる。コミットメントとキャパシティの低い国でエンパワーメントを行う場合のジレンマである。UNDPはアカウンタビリティ上のリスクを犯してNEXを選んだ。NEXはいくつかの国連決議により国連機関全体の方針となっており(注28),UNDPはNEXの一層の推進をはかっている。このためUNDPはNEX実務マニュアルの作成,現地でのワークショップ開催などの努力を重ねている。現在,UNDPのプロジェクトの約70%がNEXである。

 NEXのもとでプロジェクト実施するホストは.プロジェクトの成功にかかる最終責任を引き受け,UNDPから実施機関(Excuting Agency)や協力機関(Implementing Agency)の選択をはじめ,全権限を与えられる(ちなみに従来は実施機関や協力機関はUNDPが国連専門機関の中から一方的に選んでいたが,これがなくなり,専門機関はUNDPからの「下請け」プロジェクトが激減して財政難に直面しているところが多い)。反面でホストはUNDPにアカウンタビリティを負い,資金使用状況を追跡できる内部統制,会計システムを備え,四半期ごとにUNDPに支出状況を報告しなければならない。プロジェクトの完了時には完了時報告書が作成されるほか,各種の評価が実施される。監査もホストが行うが,ホストによる監査は当事国の会計検査院またはその指名する会計事務所がUNDPの監査規準,手続さにより実施し,少なくとも80%の援助資金が監査されなければならない。UNDPは各国からの監査報告をレヴューし,アカウンタビリティが確保されているかどうか監視をしている。キャパシティの低い国においてエンパワーする場合のアカウンタビリティがどうなるかは興味あることだが,UNDPは昨年暮れからNEXの総合的評価を行っており,その結果は本年3月に予定されている。また国連の合同監査団もNEXの評価を最近行った(注29)。合同監査団はNEXの正当性を認めつつも,ホストの多くがプログラムやプロジェクトの形成から実施に至る能力を欠いている,と指摘している。

(5)日本

 日本の開発援助は150を超す途上国に対して110億ドル以上となり,世界一の規模である。このような大規模なODAにもかかわらず,日本では援助にかかるエンパワーメント・アカウンタビリティの枠組みが明瞭でない。援助については1992年制定のODA大綱があるが,これは行政府を拘束する法律ではない。援助協定は国会の審議,承認を必要とせず,行政府の裁量で決められる。ODAに限らず,日本の政策形成の実質権限は国会でなく行政府にあり,国会が行政府をエンパワーするというより,行政府が自らをエンパワーする傾向がある。政府は国会に対してアカウンタブルであるという意識は低い。

 日本の援助ではホストをエンパワーメントする度合いが低く,アカウンタビリティ要求も弱い。援助の実施は原則として日本の実施機関と業者によって行われ,ホストに権限が委ねられることはほとんどない。プロジェクト方式無償援助の場合,ホストが案件形成に原則として責任があるが,要請案件についてはJICAが調査実施,コンサルタント選定,調査チーム派遣,事前評価などを行う。資器材,設備や役務の調達にかかる実施契約は,ホスト国が日本の業者との間で結ぶが,その契約は日本政府の認証を必要とする。支払いも日本の銀行がホスト政府に代わり業者に直接支払う。ホストがとるべき措置は用地確保,ローカルコストの負担,援助に従事する日本の個人,法人への免税処置などに止まる。ローカルコストの負担を義務づけることでホストのコミットメントを確保するという考えがあるが,ホストはローカルコストを,援助を受けるための代償としか考えないことがある。

 ノン・プロジェクト無償資金協力の場合,ホストが調達機関の選定の権利をもつが,調達機関は英国のクラウンエイジェントかUNDP,ないし日本の調達専門会社JICSに限られる。また調達はそれぞれの調達機関の規則に従って行われ,業者との契約も調達機関が行い,調達資金も日本の銀行から調達機関を通して業者に払われるから,ホストの調達における役割はごく限られている。

 エンパワーメントの程度が最も強いのは債務救済のための無償資金協力であり,この場合ホストが当該年度の債務を弁済していることが確認され,日本の銀行に口座を開設さえすれば,日本はこの口座に一括前払い方式で払い込む。ホストはその責任において業者との間で契約を締結し,口座に払い込まれた贈与資金を品目リストに従って使用した後,その用途について日本政府に報告する。ただし現金がホストに渡るわけではない。ノン・プロジェクト無償資金協力と債務救済のための無償資金協力の額は1993年度実績でそれぞれ261億円,265億円となって無償援助総額の約22%を占める。

 円借款の場合,案件形成はホストの責任であるが,実際には日本のコンサルタントなどがする場合が多く,またコンサルタントの選定はOECF(海外経済協力基金)の同意を必要とする。契約の準備,案件の実施もホスト政府の責任だが,両者ともOECFの各段階での同意を得なければならない。資器材や役務の調達は,借入国が国際競争入札で行うが,借入国の調達手続きは使われず,調達はOECFのガイドラインによって行われ,OECFがこれを確認する。銀行手続きはすべて日本政府が行い,ホスト国に実際に現金が渡ることはない。プロジェクトの全段階で日本側実施機関(JICA,OECF)が審査,同意を与えるシステムのため,ホストの役割は限られる。モニタリング,評価も日本が行う。このためホストの対日アカウンタビリティ上の問題は限られるが,ホストのプロジェクト実施能力・開発能力はつかないと言えよう。ただ,日本の援助では「キメ細かさ」がある。OECFは,実施段階できめ細かい助言勧告を行うことで事業のより効果的実施をめざす案件実施支援業務(SAPI),事業完成後に運営・維持上の改善をめざす援助効果促進業務(SAPS)を実施している。JICAも頻繁に調査団を送り込み,情勢把握に努める。1992年の事前調査団だけで1400件を数える。これはエンパワーメントの日本的な形といえるかもしれない。なお,日本はコンディショナリティの設定は二国間援助では難しいとして,世界銀行との協調融資などに限っている。

 弱いエンパワーメントとならんで,日本政府は相手国にアカウンタビリティを強く求めない。OECFは貸付けにあたり,計画の内容が適切であり,その達成の見込みがあるかどうかをチェックするが,いったん渡した援助資源の運用は相手国政府を「信用する」という立場を取り,それをどう使っているかを直接チェックはしない。見返り資金の使途については,ホストは見返り資金についての使途報告義務を負うが,見返り資金が基本的には先方政府の資金であるという立場から,それ以上のアカウンタビリティは求めない(注30)。建設された施設が適正に使用されるようにホストが確保する旨の適正使用条項は強制条項ではない。借款に関しては借り手は財務諸表を提出する義務はないし,監査報告提出の義務もない。日本の援助では資金管理の責任は相手国に渡らないから,ホストのアカウンタビリティは限られるという事情もある。また,JICAやOECFが人手不足で,ホスト国による実施を可能にするのに必要なモニタリングなどの体制が欠けていることもある。

 会計検査院のODA検査は強化されつつある。しかし,援助協定に監査条項がないため,会計検査院の検査権限は相手国に対して及ばない。検査は,あくまで日本の実施機関の検査で,ホストの機関の検査ではない。検査は日本の実施機関の職員等の立ち会いのもとに,相手国の協力が得られた範囲内で行われる。しかし,日本の援助はホストに決定権限を委譲せずエンパワーメントの要素が少ないから,ホストには日本に対して実質的なアカウンタビリティ義務がなく,その意味で援助契約に監査条項がなくても,ホストの対日アカウンタビリティの見地からは問題が起こらない。

 日本の弱いエンパワーメント,アカウンタビリティの理由であるが,まず援助関係者の一部には,援助は日本の善意の「贈り物」であり(Grantが贈与と訳されている),その使い方について尋ねたり口を出したりするのは失礼にあたる,という感覚がある。これは文化的なものであろう。また政府の基本的立場は「相手国の主権の尊重」であり,援助の使われ方に口を出すのは「内政干渉」であると考える。さらに日本の政治文化は伝統的に高度の中央集権的体制のうえに成り立っており,地方分権,下部機関やホストヘの「権限の委譲」という伝統,発想がない。OECFやJICAの海外事務所ですら権限の委譲を受けておらず,重要な決定はすべて東京で行われる。このことは最近のDAC対日審査1992/93でも指摘されている。このような組織文化のなかでは,援助の相手国への決定権限の委譲は考えられないであろう。また法的にもホストヘの権限の委譲が可能な体制になっていない。会計法,海外経済協力基金法,国際協力事業団法などはそれを予定していない。一般的に言って国内的にエンパワーメントが奨励される組織文化と法的体制があってこそ対外的エンパワーメントが可能となる。最後に,従来の日本の援助は,経済インフラ形成を通して途上国の経済基盤を直接強化することに重点がおかれ,インフラ整備をホストができない以上は日本が実施することは当然のことであったということもあろう。援助の狙いがアカウンタビリティのあり方を左右する例であろう。

 エンパワーメントなきところアカウンタビリティもない,とする本稿の見地からは日本のプロフィールは"論理的"である。また先に触れたように,エンパワーメント・アカウンタビリティはホストのキャパシティとの関連で考えられなければならないし,日本側の法的・人的・組織的制約は大きい。しかし,今後日本が本当に「自助努力」を助け,キャパシティビルディングをめざすなら,もっと強いエンパワーメント・アカウンタビリティの方向に進み,援助の「入れ物」,「器」をまず用意することを始めるべきであろう。

 以上,主要ドナーのプロフィールを概観した。それをまとめて相対的位置関係を表わせば図7のようになる。

図7 主要ドナーのエンパワメント・アカウンタビリティプロフィール

V 国連によるアカウンタビリティの国際的ハーモナイゼイションの試み

 ドナーが個々にアカウンタビリティ要求を強めるなかで,開発援助にかかるアカウンタビリティ基準の国際的調整の必要がでてきている。大半のホストのアカウンタビリティ能力が低い中で,多くのドナーがホストに課すアカウンタビリティ基準がそれぞれ異なると,ホストに不必要な負担がかかる。協調融資案件の場合では,各ドナーは援助申請,審査,資財調達,コンサルタント契約手続き,専門家派遣などにつき異なった手続きを採用し,またそれぞれが包括的,詳細で正確な報告を求める。LDCのなかには,何十ものドナーが援助をしている国があるが,自国の予算,会計,決算もうまくできない途上国にとり,多くのドナーに違う様式の報告を提出することはその能力を超える。この要求を満たすために,ホストは限られた資源を消費しなければならない。ホストの援助調整官庁の幹部は,大半をドナーのミッションの応接に追われている。援助国側のキャパシティを無視した,調整を欠いたアカウンタビリティ要求は,ホストの乏しい資源をドナーのアカウンタビリティをみたすためのみに動員する結果となり,開発努力の妨げになりかねない。

 もうひとつの問題は,ドナーがホスト政府の不十分,非効率,不適切なアカウンタビリティ体制を使うことを避け,自国のNGOを使ったり,ホストの業者に費用を直接支払うなどの場合に,その数値を途上国の政府に提供しないことである。この場合,援助総額が不明となり,援助国側の公表する援助総額と,途上国側の発表する援助総額は食い違うのみならず,ホストは自分の国のなかで行われている開発事業の全貌をつかめない。当然プロジェクトを「所有」することはできないし,開発責任を負うこともできない。途上国の会計検査院も知らされていないから監査のしようもない。

このようなアプローチは,ホストの政府の「力を奪う」こと(Disempowerment)に他ならず,ホスト政府のあり方を変える可能性もある。NGOなどを使った援助チャンネルヘの乗換えは,NGOのエンパワーメント・アカウンタビリティのあり方を慎重に検討してからなされる必要がある。

 この現状を打破すべく,国連は1990年以来,ドナーとホストの双方に受け入れられることのできる国際的アカウンタビリティ基準作りのためのプロジェクトを実施してきた。その結果は10か条の「開発援助の管理とアカウンタビリティにかかる原則」としてまとめられた(注31)。その主要な点をあげれば,

(1)ホストが開発援助の計画,実施について権限をもち,援助目標の実現と資源の使用につき最終的にアカウンタブルである。

(2)実施機関はホストに,ホスト政府はドナーにアカウンタブルである。

(3)ホスト国内で使われる援助資金は全てホストの会計に記録されるべきであり,ドナーが業者に直接支払いをする場合には,ホストに金額などを知らせるべきである。ホストは援助資金の受取り,支払い,会計,報告のための管理体制と手続きを備えるべきである。

(4)ホスト国の会計検査院は援助プロジェクトの監査により大きな役割を果たすべきである。

(5)ドナーからホストへの支払方法は「前払方式」によるべきであり,ドナーへの報告は「前払請求書」,「支払報告書」,「資金動態表」,「直接支払通知請求書」,「器材・備品報告書」に限り,かつ標準的報告様式を使うべきである。

 この原則はDACに参考として送付され,その支持を受けている。またこの原則が広くホスト国で活用される可能性を探るべく,マラウイ,タンザニア,ウガンダで現存パイロットプロジェクトが進行中である。

VI 結論

 開発授肋におけるアカウンタビリティの概念はエンパワーメントの概念と結び付いて初めて意味を持つ。エンパワーメントなきところアカウンタビリティもない。開発援助のアカウンタビリティは,ドナー国内,ドナーとホスト,そしてホストの国内でのエンパワーメント・アカウンタビリティ体制が整っていて初めて可能となる。とくにホストの内部のエンパワーメント・アカウンタビリティのキャパシティがなければ,結果的にドナーの国内的アカウンタビリティが満たされないだけでなく,援助の最終目的であるホストの自立的・持続的成長も期待できない。しかし,大半のホストのエンパワーメント・アカウンタビリティの能力は低い。とすれば開発援助の主たる目的はホストのキャパシティの増大に置かれるべきであろう。

 このためには,ドナーによるホストのエンパワーメントの程度とアカウンタビリティの要求度が,高過ぎても低過ぎても好ましくない。その程度はドナーとホストの総体的ポジションから決められるべきであろう。本稿では,アメリカ・カナダ,スカンジナビア諸国,マルチ援助機関,日本のプロフィールを明らかにした(図7)。また,いくつかのホストの詳細なプロフィールについて筆者の属する研究グループが調査中である。

 日本はカナダと並んで,ホスト国のエンパワーメントの度合いが最も低い国である。現状では日本の開発援助の主体は日本であり,援助のアカウンタビリティは日本国内の問題である。ホストの対日アカウンタビリティは限られたものになる。このアプローチのもとでは,援助事葉は実質的には「日本」の事業であり,ホストが援助の「対象」にとどまってしまう。これは今や開発関係者の間でコンセンサスとなっている「参加的開発」の動きにはなじまず,日本の唱える「自助努力」とも相いれない。こうしてみると,開発援助におけるアカウンタビリティを問うことは,開発援助のあり方とその本質を問うことに他ならないといえよう。

 (本稿は,平成6年度の国際開発高等教育機構(FASID)開発援助研究助成を受けて行われている研究の一部である。)

[脚注]

(注1)OECD, DAC Orientations on Participatory Development and Good Governance (1993), pp.15-17.

(注2)World Bank, Governance and Development, 1994, pp.12-21.

(注3)J.J.Glynn, Public Sector Financial Control and Accounting(Oxford. Blackwell Publishers. 1993), p.16.

(注4)ASOSAI, Tokyo Declaration on Public Accountability, (Accountability and Control of Public Enterprises), 1989.

(注5)USAID, Your Role in Accountability Process (Washington, 1989).

(注6)World Bank, op,cit. p.13.

(注7)Paul Samuel, Strengthening Public Accountability (World Bank Discussion Paper No.136, 1991).

(注8)Office of Auditor - General of Canada, A Guide for Auditing : Empowerment and Accountability, (Ottawa, Deloite & Toushe,1993), p.2.

(注9)David Clutterbout, The Power of Empowerment (Business Book Direct, 1994).

(注10)United Nations, Foreign Aid Accountability (Report of the 9th UN/INTOSAI Expert Meeting on Government Accounting)(UNDDSMS, 1982), pp.24-26.

(注11)外務省経済協力局,『経済協力評価報告書』(平成5年)p.30.

(注12)カタリナ・トマチェフスキー著,宮崎繁樹,久保田洋監訳『開発援助と人権』(国際書院1992),p.206.

(注13)外務省経済協力局,『経済協力評価報告書』(平成5年)p.111.

(注14)United Nations, op.cit.

(注15)USAID, Office of Inspector, General, Audit of the Accountability for Local Currency in Africa (Washington, 1987), p.4.

(注16)World Bank, Adjustment in Africa (Washington, 1994), p.120.

(注17)外務省経済協力局『主要先進国の無償援助』(国際開発ジャーナル社,1989),p.39.

(注18)USGAO, Foreign Assistance (Washington, 1991), p.8.

(注19)UNDDSMS, Aid Accountability Profile of the USA, (New York, 1992).

(注20)ibid, p.9.

(注21)USAID, Office of Inspector-General, Report to the Congress, 1993, p.4.

(注22)Price Waterhouse, Report on Improving Host Country Financial Management, (Washington, 1987).

(注23)USAID, Making a Difference for Development (Washington, 1994).

(注24)UNDDSMS, Aid Accountability Profile of Denmark, (New York, 1992).

(注25)World Bank, Report of the Portfolio Management Task Force (Wappenhouse Report), (Washington, 1992).

(注26)World Bank, Disclosure of World Bank Information, 1994.

(注27)秋月弘子「国連の開発援助システムの変容」『国際政治』103号(1993),p.105.

(注28)United Nations General Assembly Resolutions, Nos.47/199, 44/211, 32/197.

(注29)UN Joint Inspection Unit, National Excution of Projects, Geneva, 1994.

(注30)外務省監修,『経済協力参加への手引き』国際協力推進協会,1993,p.46.

(注31)UNDDSMS, Framework for Harmonized AID Management and Accountability (New York, 1993).

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