第8号

組織間関係としての会計検査
田辺 国昭

田辺 国昭
(東京大学助教授)(会計検査院特別研究官)

 1962年生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学法学部助手,東北大学法学部助教授を経て,93年より現職。この間,92年より会計検査院特別研究官に就任。日本行政学会,日本政治学会等に所属。

 主な論文等は,「生活保護政策の構造」「戦後日本のストライキ—55年体制における労使紛争,その政治学的接近」など。

 1 はじめに

 会計検査の研究は,日本の行政学にとって欠落した一章である。

 確かに,アメリカ合衆国のGAOやイギリスのNAO等の日本の会計検査院に対応するような諸外国の行政機関で営まれる政策評価の動向をサーベイした研究は,いくつか存在する。これらの研究において,検査機関の活動が,個々の会計経理が予算や法令に従って適切に処理されているかを問う「合規性」検査から,個々の事業が効率的に執行されているかを問う「経済性・効率性」検査へ,さらには政策そのものの効果を問う「有効性」検査へと移行しつつあるという趨勢が描かれ,それぞれの検査基準における検査手法及び評価手法が紹介されてきた。そこでは評価の基準と評価手法との展開及び両者の対応関係に主眼がおかれ,この趨勢の中に日本の会計検査を位置づけ,その方向性を見い出そうとする研究が中心的であったといえる。

 しかしながら,現に日本の会計検査院が営んでいる会計検査という活動から出発し,その過程や構造を分析した研究は,実務家の手になるものを除いては皆無ともいえる状況である。そのため,評価の基準や手法が,組織の過程や構造といった要素と結びつけられることがなく,機能を成り立たせる制度的な基盤を欠いた議論となっている。このミクロ的な評価手法とマクロ的な行政組織とが交差する領域は,行政管理の側から出発する研究者にとっても政策分析の側から出発する研究者にとってもいつかは立ち向かわなければならない領域である。流れていくだろう先に視点を据えて,そこから遠くに微かに漂う組織の姿を見つけ,早くこちらへと手招きするよりも,組織のおかれた流れとその舵取りとに目を凝らし,その進路を見据えることが今日の会計検査の研究に必要なことのように思われる。

 このような現に活動中の会計検査を把握するために有効な視座として,第一に,組織内の意思決定の構造の分析,第二に,会計検査院と検査対象機関との組織間関係の分析の二つを挙げることができるのではないか。というのも,組織内と組織間との二つの構造の特性とこの二つの構造の結びつきの特異性が,会計検査院の活動を枠づけ,その組織文化を育んできたように思われるからである。

 2 会計検査院の意思決定過程の特徴

 第一の会計検査院の意思決定過程については,他の省庁における意思決定過程と対比した場合に,その特徴を浮かび上がらせることができる。日本の中央省庁における意思決定の過程は,いわゆる「稟議制」の問題として論じられてきた。この決定様式の中に取扱いを異にするいくつかの方式が存在するが,その基本的な特徴は調整型の決定過程となっているという点に求められるのではないか。特に,組織の決定の中でも中核的な対象となる法令案や要綱といった決定に関しては,典型的な意思決定の過程は,以下のようになる(注1)。

 第一に,事案を所管する主管課が,局の総務課長や審議官・局長,さらに官房の関係する課長・官房長・事務次官等の全体的な意向を確認した上で原案に当たるものを作成する。

 第二に,このような主管課による原案作成の後に,組織の階統方向に沿った垂直的な意見調整及び並列する階統に位置する部署との水平的な意見調整を行う。

 第三に,関係者間の合意が成立すると,主管課は,合意された大枠をもとに,文書にし,決裁ヘと回す。

 ここでは,課内における政策のアイディアと手法とを組み合わせていく原案作成の過程と課外の垂直的または水平的な調整とが並行する形で進行する。決定内容の生成とその決定に対する組織内部の支持調達とは,この決定過程においては不可分な形で結びついている。

 これに対して会計検査院における意思決定の過程は,対面構造を保持した審級方式という点で,他の省庁とはその特徴を異にしている。もちろん,決定過程において総務課が情報経路の一つの結節点となっており,官房系統組織の関与が意思決定において重要な役割を演じていること,また会議を通じて集団的な意思決定が営まれること等では,他の省庁と同一の特徴を有している。しかし,その組織内の決定過程に他の省庁と異なるいくつかの特徴を抽出することができる。

 第一に,会計検査院において組織の決定の中心となる対象は,毎年の決算検査報告に載せる内容をめぐる事項である。前年の12月上旬に始まる検査のガイドラインの作成,3月の検査計画案の決定,それ以降の書面検査と実地検査の施行,相手方への照会と回答の受け取りといった一連の会計検査の過程は,この決算検査報告へ向けて進行し,決算検査報告となってまとまることによって結実する。それゆえ,照会を発し,回答を得て相手側との折衝を経た後の,局委員会,調整委員会から,総長審議,検査官会議へと至る組織内の公的な過程が,組織内決定の中核に位置する。

 第二に,決定の内容が,法令や要綱の作成のようにアイディアと手法とを枠づけていくことではなく,修正などの補正はあるものの,原則的には課から提示された案件を報告書に記載するか否かという形の2値的なものに限定される。

 第三に,これらの決定過程は,課から提示された案件に関して,その立論に問題がないか,内容上に不備な点がないか,さらには記述の上で更なる検討を必要としていないかという点に関する質疑が行われ,これに対する弁明という形で進行する。それゆえ,他の省庁での決定過程でみられるような議論を通じての利益調整と支持調達という作業ではなく,さまざまな視点からする立論の正統化という点に作業の中心的な機能がおかれている。

 第四に,これらの攻撃と弁明という対面的な役割が,覆審制度という大きな例外を除いては,一般に垂直的な組織階統に沿った形で分担される。その点で,決定過程における各参与者の役割は,他の中央省庁の組織と比較した場合に,極めて分化したものとなっている。また,水平的な調整が決定過程において占める比重も,他の省庁と比較した場合,一般に少ないといえる。

 以上のような垂直方向に役割分化した対面構造をもつ審級型の決定過程が組織の中核に位置することによって,会計検査院の組織文化が育まれ,その長い組織の歴史と相俟って,組織成員の行動を規律づけている。

 この組織文化から「報告書主義」とでもいえるような行動様式がここに生じる。すなわち,できるだけ多くの不当事項を発見して,これを決算検査報告に載せることが自己の最大の職務であるとし,またこの規範が調査官の活動の評価基準となっている。

 このような組織内部の意思決定の構造分析が,会計検査を捉える際に必要となる第一の視座であるとするなら,これと補完的に作用するのが,検査対象機関との組織間関係の分析である。この組織内の構造と組織間の構造とは,一方の構造の特性が他方を制約づけるとともにその機能を担保するという点で,相補的な位置にある。次節以降では,この組織間関係を一つの軸として,会計検査を位置づけ,検査対象機関に対して行った意識調査のデータ解析を行うことにより,その構造を浮き彫りにしたい。

 3 組織間関係の構成軸

 会計検査院は,自らを取り巻く他の組織との関わりなくして機能することも成長することもできない。他の省庁との関わりは,会計検査にともなう宿命であり,その行動の前提でもある。

 このような会計検査院と検査対象機関との間の組織間関係は以下の四つの次元によって捉えることができるように思える(注2)。

(1)組織ドメインに対する合意

 第一は,組織ドメインに対する合意の度合いである。

 組織ドメインとは,組織がその活動を通じて,相互作用を営む特定の環境領域のことである。この組織ドメインは,単にその活動の成果が,政策効果といった形で既に社会において顕在化しているもののみならず,滞在的な状態に留まっているものも含む(注3)。現在の活動の領域を示すのみならず,組織の将来的な活動の展開方向やそのポテンシャルに応じて,組織が目指すべき領域やその活動範囲を示すものである。このように,組織ドメインとは,単に組織が現に行っている活動領域を意味するのみならず,将来的な活動の展開を行おうとする領域も意味している。この組織ドメインを明らかにするということは,現にどのような活動を行っており,今後どのような活動を行おうとしているのか,という問いに答えることであり,組織のアイデンティティを明らかにすることでもある。

 この組織ドメインは,三つの軸から構成されていると考えることができる。

 第一は,組織の活動の対象者に関する軸である。どのような集団を中心的な対象として組織の活動を構成していくのかを規定するものである。会計検査院の場合,この対象集団の外延自体は法令で規定されており,大きく変化することはない。しかし,どういった行政を中心的な検査対象とするのか,例えば,ハードな行政からソフトな行政ヘの重点の移行といったものは,重点をおく会計検査対象の変化をもたらす。

 第二は,組織の機能に関する軸である。この軸は,どのような組織の機能を中心として,自己の組織を捉え,社会との相互作用を営むかを規定するものである。会計検査における合規性から経済性・効率性へ,さらには有効性への検査基準の拡大は,このような組織の機能の変化を促す。また,会計検査院を会計責任を通じた行政の統制の中心に位置するものと認識するのか,または予算執行に関する情報を国会や国民に提示したり,検査の結果を予算編成へとフィードバックすることで予算の効率的な配分に寄与すると認識するのかによって,組織の将来的な活動の方向は異なるであろう。

 第三は,組織の能力及び技術に関する軸である。組織が,自己の中核となる技術は何であり,どのような能力を中心として組織活動を行っていくかを規定する軸である。会計検査院の場合,会計法令に関する知識は当然のことながらその中核にある。しかしながら,会計検査基準が合規性から経済性・効率性さらに有効性へと拡大するにつれて,その研修体系にみられるように,会計検査に必要な知識も変化せざるを得ない。

 このような組織の活動領域の変化によって,組織とその対象との相互作用のあり方が変化するとともに,逆に対象との相互作用の変化は,組織ドメインの再定義を引き起こす。一般に,日本の省庁は他の国に比べて,その所管に関しては明示的に分割されており,固定化されているため,対象自体の変化を引き起こすことは少ない。むしろ,組織の機能を再定義することによって社会環境の変化に対応してきたということがいえる。しかしながら,逆に,一旦,所管に関する争いが生じた場合には,その対立は激烈なものになりがちである(注4)。

 このような省庁間対立は,双方の活動領域に対する了解が欠如している場合に,引き起こされる。これは,自己の組織ドメインを再定義したにも関わらず,その新しいドメインを他の組織が受容しないという場合であり,組織ドメインに関する合意が欠落している場合である。安定的な組織間関係の継続のためには,相互の組織ドメインに関する合意が確立していることが必要である。会計検査院の場合,この組織ドメインに関する対立は,例えば,肩越し検査をめぐる検査対象機関との対立にみることができるが,その主要な次元は機能に関するものであり,検査の基準,特に意見表示や改善処置要求にからむ有効性の基準をめぐって生じがちである。会計検査院の適切な役割とその活動範囲はいかなるものであるかに関して,検査対象機関との間にどの程度の合意が形成されているかが,両者の行動に影響し,その組織間関係を規定づける。

(2)組織活動に対する評価

 組織間関係の次元を構成する第二の次元は,相手の組織活動に対する評価である。検査対象機関側が,会計検査院の活動に対して,公平や公正といった見地からどのような評価を加えているのかに関する次元である。

 このような組織活動に対する評価は,実際に接触する人に帰属させる個別的な評価と組織全体ヘと帰属させる一般的な評価とに区分することができる。組織の名声が確立している状態は,この後者の組織へと帰属する評価が安定して高い場合であり,個別的な評価が部分的に低下することがあっても,すぐに影響を受けるわけではない。このような組織の名声は,二つの効果を生じさせる。第一は,相手側の組織の行動に対する安定した期待を保持することができる。第二に,個々の対立が生じた場合でも,このような名声が確立している場合には,一種の信頼感の下に,この対立を協調的に解決することが可能になる。

(3)組織間コンフリクトの形態

 第三の次元は,組織間に生じるコンフリクトの形態である。検査対象機関との間で事案をめぐって対立が生じる場合に,これがどのような形を取るのか,その対立が類型的なものであるのか,さらには両者の組織の中核となる価値にとってどのような影響をもつのかといったことが,組織間関係の実質を与える。

 会計検査院と検査対象機関との間では役割分化が明確なために,他の省庁間コンフリクトの典型的な形態である役割競合という形を取らない。むしろ,指摘する側と指摘される側との役割の対称性ゆえに,コンフリクトの存在を前提に,そのコンフリクトをどのような形で拡大させずに処理するのかという点にかかっている。どのような情報を共有することを許すのか,またどのような論理の土俵を共有し,どこまでを論証されたものとして認知するのかをめぐって,コミュニケーションが営まれ,双方の組織戦略が激突する。

(4)組織間調整の方式

 第四は,組織間の調整の方式である。組織間でコンフリクトが生じた場合に,これを制御可能な状態に留めるために,何らかの形の調整が必要となる。これらの調整が,定形的な制度化された方式によるのか,さらには個別的に処理されるのかといった点が,組織間関係を捉える一つの軸となる。

 以上の四つの次元は,一つの次元で組織間関係の安定化に寄与する場合は,他の次元に関しても安定化の方向へ作用することが予想される。逆に,多くの次元が関係の不安定化を惹起するようなものである場合には,残りの次元に関しても,関係の不安定化へと作用するであろう。このような組織ドメインに関する合意,相手の活動に対する評価,組織間コンフリクトの形態,組織間の調整方式の四つの次元の相互作用によって,組織間関係は一種の均衡状態へと至る。

 しかしながら,双方の組織環境の変化によって,従来の均衡のレベルが突き崩され,関係が不安定化する場合が生じる。このような場合は,新しい組織間の均衡の模索期であると捉えることができる。

 4 データ解析

 以下では,1991年1月に行った会計検査の検査対象機関を対象とするアンケート調査をもとにして,会計検査にともなう組織間関係に関する実証分析を試みる。全体の調査では,国の機関のみならず,特殊法人や都道府県,市町村も調査対象に含んでいたが,以下の分析では,同一の標本抽出確率を仮定することのできる中央省庁にその対象を限定して分析を進める。この調査では中央省庁に対して郵送配布・郵送返却の方式で予算規模等を参照にして各組織ごとの配布数を決め,その中から無作為に抽出した機関の長に対して,調査表を配布した。有効回答数は221であり,有効回答率は55.2%であった(注5)。このようにして得られたサンプルを対象として,ここでは分析を行った。

 まず,はじめに調査において質問項目の中に含まれる組織ドメインに関する合意の度合い,相手の組織の活動の評価,組織間コンクリフトの三つの次元に関して,これを規定する要因を抽出する。次に,この三つの次元の相互的な連関を探る。最後に,これらの組織間関係のあり方が「有効性」評価に与える影響について分析を行う。

 (1) 組織間関係を規定する外在的な要因

a.組織の活動領域に関する合意

 会計検査院と検査対象機関との組織ドメインに関する合意は,主として機能に関わる次元,すなわち,会計検査院がどのような基準で会計検査に取り組むのかに関わるものである。このような合意の度合いを測定するため,(1)決算の表示において予算執行の状況を正確に表現すること,(2)会計経理を予算や法令等に従って適切に処理すること,(3)個々の事業を経済的・効率的に実施すること,(4)事業全体が所期の目的を達成し効果を上げること,(5)事業が国民のために本当に必要かどうかをチェックすること,(6)その他,の六つの項目について,自己の責任に関して,今までの会計検査院の検査の観点に関して,及び今後の会計検査に関して,それぞれその順位を記入してもらった。

 自己の会計責任に関して,従来の会計検査の視点に関して,今後の会計検査に期待する視点の三つに関して,回答結果はさまざまな順位づけを示している。この各視点の各項目に関して,順位の平均を計算し,この平均順位に基づいて各項目を順位づけした標準的な回答パターンは,以下の表1に表される。

表1 各視点の標準回答パターン

 この表1にみられるように,従来の会計検査が合規性と経済性を中心として営まれていたという認識を示しているのに対し,将来の会計検査においては,経済性と有効性の基準を強調することが期待されているといえよう。自己の会計責任に関しては,この中間の回答が標準的なパターンとして抽出されている。

 しかしながら,この標準的回答パターンと各人の回答パターンとの乖離の度合いをみるため,各項目についてその標準的回答パターンの順位と各人の回答順位との差を2乗した値を全項目について加え,この2乗誤差の平均を取って比較した。自己の会計責任に関する平均の2乗誤差の値は9.86,従来の会計検査の視点に関する平均2乗誤差は5.90,将来の会計検査に期待する視点の値は11.87となった。これより,現在の会計検査の視点に関してはその検査対象機関の行政官の認識が比較的収束しているのに対して,将来の会計検査に期待する視点に関しては認識が拡散しており,さまざまな方向を向いているということがいえる。自己の会計検査に関する視点のばらつきの度合いは,この現在と将来との収束と分散の傾向の中間に位置する。

 組織ドメインに関する合意が形成されているか否かは,この自己の会計責任の視点,今までの会計検査院の視点,将来の会計検査院の視点,の三つの間で,基準の優先順位に違いが生じているか否かによって測定することができる。ここでは,この三つの視点をそれぞれ対比した三つの組み合わせに関して,各々の項目の順位の差を2乗したものを全項目について足し合わせた数値を計算し,これを各組の活動領域に関する合意の度合いを示す値として用いた。組織ドメインに対する合意が成立している場合には,この値は0に近づく。逆に,組織ドメインに関する合意が成立していない場合には,この値は大きくなる。例えば,自己の会計責任の観点と今までの会計検査の観点との間で,まったく順位が逆転している場合には,会計検査院の活動領域に対する合意がまったく成立していないことになり,この値は最大値を取ることになる。

 (1)自己の会計責任における優先順位と今までの会計検査における優先順位,(2)自己の会計責任の順位と将来の会計検査院に希望する検査基準の間での相対順位,(3)現在の会計検査の基準と検査対象機関の人が認識する優先順位と将来に会計検査院に期待する順位,の三つの組の基準の優先順位の乖離を示す値の平均は,それぞれ(1)9.45,(2)9.85,(3)13.15であった。すなわち,この中で,会計検査院の現在の基準の優先順位の認識と将来に希望する基準の優先順位との乖離が一番大きく,次に自己の会計責任の視点と将来の会計検査の視点が続く。自己の会計責任の視点と現在の会計検査の視点との間の乖離は,最も小さい。

 この視点の乖離の要因は,以下の図1から図3に示すことができる。

図1 自己の会計責任と現在の会計検査の視点/図2 自己の会計責任と将来の会計検査の視点/図3 現在と将来の会計検査の視点

 これらの図では,各項目について前者の視点において後者の視点よりも優先順位が高くなっている者の比率から,逆に低くなっている者の比率を差し引いた値を示している。

 第一に,自己の会計責任と現在の会計検査の視点との間では,現在の会計検査がより正確性,経済性,合規性といった基準へ傾きがちなのに対して,検査対象機関の担当者の会計責任の視点は,相対的に有効性や政策の必要性という基準へと傾いていると認識されている。

 第二に,自己の会計責任と将来の会計検査に期待する視点との間では,検査対象機関の担当者の会計責任が,合規性や正確性に傾斜しているのに対して,将来の会計検査に期待する視点においては,より必要性,有効性,経済性が強調されることを望んでいる。

 第三に,現在の会計検査の視点と将来の会計検査に期待する視点との間では,現在の視点が,大きく合規性と正確性に傾き,やや経済性へと傾いていると認識する一方で,政策の必要性や有効性の基準の拡大を期待する者が多い。

 以上の点から,検査対象機関の人々の認識としては,現在の会計検査が,正確性や合規性へと傾斜し過ぎており,将来的には,有効性や必要性といった基準の比重が増大することを期待しているという認識を示しているといえる。また自己の会計責任の遂行に関しては,現に会計検査院が用いる基準の体系と将来的に希望する基準体系との中間の基準を採用しており,将来的に会計検査に期待する諸基準間の優先順位へ向けて先取りした行動をしているということになる。

 次に,このような組織ドメインの合意に影響する要因を探るため,(1)自己の会計責任における優先順位と今までの会計検査における優先順位,(2)自己の会計責任の順位と将来会計検査院に希望する検査基準の間での相対順位,(3)現在の会計検査の基準と検査対象機関の人が認識する優先順位と将来に会計検査院に期待する順位,以上の三つの順位列につき先に述べた方法で値を計算し,これを従属変数として,回帰分析を行った。独立変数としては,(1)実地検査への立ち会いの回数,(2)立ち会いを経験した際の担当,(3)照会文書を受けたか否か,(4)実地検査の頻度に関する意見,(5)会計検査において重視する機能,(6)内部的な事後評価の有無,さらにフェイスとなる変数,(7)所属部署,(8)役職,(9)現在の担当,(10)年齢を用いた。

 分析の結果は,表2に示したとおりである。

表2 組織ドメインの合意を規定する要因

 第一に,実地検査の頻度が多すぎると考える者に対しては,会計検査院のドメインに対する合意を調達することができていない。これは,実地検査の頻度が多すぎると考える者は,現在の会計検査の視点が正確性や合規性に傾斜し過ぎであると認識するとともに,将来の会計検査院の取るべき視点として有効性や正確性を強調する傾向があるためである。

 第二に,局長や部長といった組織の上部に位置する人々と,逆に係長といった組織の下位に位置する人々は,自己の遂行する会計責任と将来的な会計検査に対する期待とが乖離してないのに対して,組織の中間に位置する課長補佐は,これらの人々に比べると自己の会計責任の視点と将来的に期待する会計検査の視点との間に距離をおいている。

 第三に,検査対象機関において事業を執行する立場にある者は,現在の会計検査の視点とあるべき会計検査の視点との間の乖離が大きい。この事業執行に携わる人々と会計検査院との間において,会計検査院の組織ドメインに対する合意は最も欠如している。逆に検査対象機関内部において,会計経理または監査を担当する者は,この実態と期待との間の乖離は縮小する。これは,会計や監査を担当する者との間では,機能的な同一性によって視点の共有が図られているのに対して,事業の執行者との間ではこのような機構が作用しないためと考えられる。

b.組織活動に対する評価

 会計検査活動を評価する軸には,さまざまなものが考えられる。ここでは,(1)受検機会の公平性,(2)会計検査の調査官の判断及び評価についての公平性,(3)調査官との意見交換の有効性,(4)会計検査院の一般的な機能の現状,に関する検査対象機関の行政官の認識を分析したい。

 (1)の受検機会と(2)の調査官の判断に関しては,それぞれ「あなたは,検査の受検機会は公平だとお考えですか」及び「あなたは,調査官の判断評価について公平・公正だとお考えですか」と質問し,4点評価に分からないという項目をつけ加えたもので回答してもらった。(3)の意見交換の有効性に関しても,「検査を受け調査官と意見を交換したりすることは,次年度以降の事業を進める上で有効だとお考えですか」と質問し,同様の4点評価で回答してもらった。(4)の一般的な機能の評価に関しては,「あなたは,会計検査院が果たすべき機能は,現状で十分に果たされているとお考えですか」という形で質問し,3点評価にわからないという項目をつけたもので回答してもらった。結果の分布は,以下の表3から表5までに示されるとおりである。概ね,その活動に対して高い評価を得ているということがいえよう。

表3から表5 会計検査活動に対する評価(1)から(3)

 以上の四つの評価軸に関して,それぞれの質問項目に対して分からないと回答した者を除いたものをサンプルとして,それぞれ評価軸に対する回答を従属変数とし,組織ドメインの合意の分析に用いたのと同様の変数を独立変数として,回帰分析を行い,会計検査院の活動の評価を規定する外部的な要因を抽出した。結果は以下の表6のとおりである。

表6 組織活動に対する評価を規定する要因

 第一に,会計や経理を担当する行政官が,一般に会計検査の受検の機会は公平であると回答する傾向があるのに対して,逆に事業の実施を担当する行政官は,受検の機会は不公平であるという認識を示す傾向がみられる。そして,このような不公平感は,実地検査の頻度が多すぎるという認識に発している。また,組織内部で監査を担当していた行政官は,会計検査の一般的な機能に対して好意的な評価を下す傾向がある。これは,会計という行政の機能を中心とした共同体の中に組み込まれているのか否かによって会計検査活動に対する評価が規定されることを示している。このような機能的な共同体の中に属する場合には,会計検査の活動に対する評価は一般に高くなるのに対して,この共同体の規範や行動倫理を共有しない場合には,その評価は低くなる。

 第二に,実地検査への立ち合いの経験が多くなればなるほど,会計検査を行う調査官の判断・評価が不公平・不公正であると評価する傾向にある。言葉と身体言語をともなう現場でのやりとりの経験が,会計検査の調査官の判断に対しては否定的な方向へと作用しているのである。ただし,接触の増大が否定的な評価を生むという作用は,調査官の判断に対する評価の局面に留まり,会計検査一般の機能に対する評価にまで及ぶわけではない。

 第三に,在任中に会計検査院から照会文書を受けた経験がある場合,受検機会の公平性,調査官の判断の公平性,会計検査院の一般的な機能といった側面での会計検査活動に対する評価は,低下する傾向にある。

c.組織間コンフリクト

 「あなたは,検査の際に,過去に調査官と意見の相違が生じたことがありますか」との質問は,組織間コンフリフトの有無を尋ねる質問と捉えることができる。この質問に関しては,約半数の49.2%の人が意見の相違があったと回答している。さらに,この意見の相違があった人を対象に,意見の相違の内容を質問したところ,以下の表7のような回答の分布を得た。検査対象機関が中央省庁の場合,会計処理,予定価格の積算といった点に加えて,事業の有効性に関しても意見の相違が比較的多く生じていることが分かる。

表7 意見の相違の内容

 組織間コンフリクトに影響する要因を抽出するため,意見の相達の有無についての回答をロジスティック変換して従属変数とし,先の分析と同様の独立変数を用いて,最尤法でロジスティック回帰分析を行った。結果は,以下の表8のとおりである。

表8 組織間コンフリクトを規定する要因

 第一に,照会を受けた経験がある場合には,意見の対立が生じたとの認識を示す傾向が高い。

 第二に,年齢が高くなるにつれて,調査官と意見の相違が生じる可能性が高くなる。これは,年齢が高くなるにつれて会計検査を経験する回数が多くなることによる部分と,会計検査の実際の調査の中心となる調査官の年齢と検査を受ける行政官の年齢とのギャップの拡大がある程度,コンフリクトの認識を左右していることによると考えることができる。

 第三に,しかしながら全体として,分析に用いた独立変数の会計検査院との組織間コンフリクトの説明力は高いとはいえず,この組織間コンフリクトが,組織ドメインに対する合意や組織活動に対する評価といった主観的な認知よりも,客観的な事件としての色彩が強く,組織の要因に支配されるようなバイアスから離れた偶発的な側面をもっていることをうかがわせる。

 (2) 三つの次元の相互関連

 組織ドメインに対する合意,組織活動に対する評価,組織間コンフリクトの三つの次元を組み合わせることによって表9のような会計検査院と検査対象機関との組織間関係の類型を形成することができる。

表9 会計検査院と検査対象機関の組織間関係の類型
表10 組織ドメインの合意・組織活動の評価・組織間コンフリクトの関連

 第一は,組織ドメインに対する合意が形成されており,会計検査院の活動に対する検査対象機関側の評価が高く,また意見の相違に示されるような組織間コンフリクトが生じていない場合である。このような組織間関係の三つの軸が各々安定的な傾向を示す場合は,協調的な均衡状態と呼ぶことができる。この類型に位置する場合には,両組織の関係が安定的に推移していると考えることができる。全体の23%がこの類型に属している。

 第二は,三つの軸の内の一つの軸に関して対立的な状態にある場合である。この場合は,他の二つの軸に関しては協調的均衡と同じ位置を占め組織間関係としては協調的な色彩が強いが,一つの軸が均衡状態からはずれているという点で不均衡な状態として位置づけられる。全体の33%が,この類型に位置している。

 第三は,逆に,三つの軸の内の一つの軸のみが協調的な状態に位置し,他の二つの軸に関しては,対立的な状態にある場合である。この場合は,全体の関係は対立的な色彩が強いが,全体の次元が対立的な位置にはないという点で,不均衡状態として捉えられる。全体の31%をこの類型が構成する。

第四は,組織ドメインに対する合意が形成されておらず,会計検査院の活動に対する評価も低く,組織間コンフリクトも生じているという状態であり,三つの軸すべてに関して,対立的な様相を示す場合である。この場合は,三つの軸が,同一の方向を向いているという点で,均衡状態にあると捉えることができる。全体の13%が,この類型に属している。

 組織間関係を構成するドメインに対する合意,組織活動の評価,組織間コンフリクトの三つの次元は相互に連関し,ドメインに対する合意が成立し,組織活動の評価が高く,組織間コンフリクトが生じていないような協調的な組織間関係の状態か,または,逆にドメインに対する合意が欠如し,組織活動に対する評価が低く,組織間コンフリクトが生じる対立的組織間関係の状態へと収束する傾向があると考えられる。この収束傾向の存在は,上記の表10のような対数線形モデルによる分析によって裏づけることができる。表10の推定値及びその有意水準に示されるように,交互作用のパラメターの内,組織ドメインの合意と組織間コンフリクトの交互作用は1.8%の有意水準で,組織ドメインの合意と組織活動に対する評価の交互作用は8.9%の有意水準で,さらに組織活動に対する評価と組織間コンフリクトに関する交互作用は12.8%の有意水準で有意である。これより,組織間関係を支えるこれらの三つの軸が相互に連関しており,協調的か対立的かどちらかの組織間関係の均衡状態へと収束する傾向が存在していることが分かる。

 (3) 組織間関係と「有効性」検査

 以上に述べた組織ドメインに対する合意,組織活動の評価,組織間コンフリクトの三つの次元から構成される組織間関係が,「有効性」の検査に対する認識に与える影響をここでは分析する。ここで「有効性」検査というのは,事業が所期の目標を達成し,効果を上げているかを各種の評価手法を用いてチェックすることであり,従来の「会計」中心の検査から「政策」中心の検査へと一歩踏み出す方向を意味する。

 (1)「客観的・中立的な評価が期待できるのでさらに充実すべきである」,(2)「合規性や経済性・効率性の検査が最も重要であるので現状程度でよい」,(3)「有効性の測定には技術的方法論の面で難しい面があり疑問が残る」,(4)「有効性の検査は行政内部に任せるべきである」,(5)「有効性の検査には賛成だが目的自体の評価はすべきではない」,の五つの項目に関して,各々この考え方に賛成するか否かの回答を求めた。回答の分布は以下の表11のとおりである。「有効性」検査に対する意見がかなり分散していることをこの回答の分布は示している。

表11 「有効性」検査に対する考え

 この五つの項目に対する賛成と反対との反応を被説明変数とし,組織ドメインに対する合意の有無,組織活動の評価の高低,組織間コンフリクトの有無をカテゴリカルな説明変数として,分析を行った。結果は,以下の表12から表17までに示すとおりである。

表12 「客観的・中立的な評価が期待できるのでさらに充実すべきである」という意見に組織間関係が与える影響/表 13 「合規制や経済性・効率性の検査が最も重要であるので現状程度でよい」という意見に組織間関係が与える影響/表 14 「有効性の測定には技術的方法論の面で難しい面があり疑問が残る」との意見に組織間関係が与える影響/表 15 「有効性の検査は行政内部に任せるべきである」との意見に組織間関係が与える影響
/表 16 「有効性の検査には賛成だが目的自体の評価はすべきでない」という意見に組織間関係が与える影響について/表 17 組織間関係と有効性検査についての認識

 第一に,組織ドメインに対する合意が存在する場合には,「有効性」検査に対しては否定的であり,「客観的・中立的な評価が期待できるのでさらに充実すべきである」という意見に賛成する者が少なくなり,逆に「合規性や経済性・効率性の検査が最も重要であるので現状程度でよい」という意見に賛成する者が増大する。

 第二に,会計検査院の組織活動を高く評価する場合には,「合規性や経済性・効率性の検査が最も重要であるので現状程度でよい」という意見に対する賛成と「有効性の検査には賛成だが目的自体の評価はすべきでない」という意見に対する賛成とが増大する。

 第三に,組織間にコンフリクトが存在する場合には,「有効性の検査は行政内部に任せるべきである」という意見に賛成する者が増大する傾向がある。

 以上を要約すると,組織間関係が協調的均衡にある場合には,「有効性」検査に対しては慎重であるが,組織ドメインに関する合意が崩壊するにつれて「有効性」検査へは肯定的な反応を示す。しかし,他の二つの次元が対立的均衡へと移行するにつれ,すなわち組織活動に対する評価が低下し,組織コンフリクトが拡大するにつれて,再び「有効性」検査に対する懐疑的な姿勢が支配的になる。

 5 結論

 以上,会計検査という活動を捉える視座として,組織内の意思決定過程と組織間関係の二つを設定し,後者を中心として分析枠組みを提示し,これを意識調査のデータと照らし合わせてきた。

 これまでの分析から得られた結果とその含意は,以下の3点に集約することができる。

 第一は,会計検査をめぐる組織間関係の規定構造に関してである。

 本論文では,組織間関係を(1)組織ドメインに対する合意,(2)組織活動に対する評価,(3)組織間コンフリクト,(4)組織間調整,の四つの次元から構成されるものとし,組織間調整を除いた三つの次元に影響する要因とこの三つの次元の相互連関とを分析した。その規定構造は以下の図4に示すことができる。

図4 会計検査の組織間関係の規定構造

 組織間関係に影響を与える要因の(1)は,組織間の接触の形態である。実地検査をどの程度経験したか,さらには照会を受けたことがあるか否かといった点によって,組織間関係の認識が異なる。

 (2)は,検査対象機関において担当する職務によって,組織間関係の認識が規定されている。会計や監査といった会計検査院と同質の機能を組織において担う行政官は,その価値志向を同一とするため協調的な関係を形成する。

 (3)は,組織ドメインに対する合意,組織行動に対する評価,組織間コンフリクトという三つの次元は,一つの次元が協調的な方向へ向かえば他の次元もその方向へと移行する傾向があり,逆に一つが対立的な方向へ向かえば他の次元に関しても対立的な方向へと均衡が移行するという意味で,相互連関している。それゆえ,協調的な均衡と対立的な均衡とへ二極分化する力が,組織間関係に作用している。

 第二は,組織内の意思決定過程と組織間関係との対応についてである。

 会計検査院における意思決定過程は,対面構造を保持した審級性によって特徴づけられる。このような意思決定過程が組織の中心に位置することによって,批判的論理構築性を内面化した自己抑制的な組織文化と高いモラールが形成され,維持されている。

 この組織文化は同時に,協調的な組織間関係によっても支えられている。会計の正確性や支出行為の合規性を中心とした基準が拡散しがちな組織間関係を安定的なものに留め,この基準に照らしあわせた会計検査活動は高い評価を獲得している。そして,この協調的な組織間関係の形態から逸脱した行動を取る場合には,組織間関係の不安定化をもたらす。このようなフィードバックの存在によって,この協調的な組織間関係において承認された基準と行動評価は,先に述べたような組織文化の再生産へと寄与しているのである。

 第三は,「有効性」検査の二面性である。先の分析で示したように,将来の会計検査に期待する視点は,従来の正確性や合規性を中心とした検査から,経済性と有効性とを中軸にすえた検査へとその優先順位を移行させている。しかしながら,このような期待が検査対象機関の側から寄せられているにせよ,この期待は未だ方向性の定まったものではなく,広く共有されたものとはなっていない。そのため「有効性」検査への傾斜は,会計検査院と検査対象機関の間での組織ドメインに対する合意を掘り崩しかねない。そして,このような組織ドメインに関する合意の低下は,先の分析で示したように,組織間関係を規定する他の二つの次元も対立的な方向へと移行させる。組織ドメインの合意の崩壊が,組織活動に対する評価が低下し,組織間コンフリクトが頻発する方向へと作用する。「有効性」基準の強調は,会計検査院と検査対象機関との組織間関係を対立的な均衡状態ヘと収束させる危険をはらんでいるのである。検査の視点を硬直化させたままで流動する行政への応答性を低下させるのか,それとも有効性基準へと検査の視点を拡大させることによって組織間関係の悪化を招くのか,「有効性」検査にともなうディレンマは,ダモクレスの剣のように会計検査の組織基盤を指し示している。

 会計検査を組織内の意思決定過程と組織間関係とから捉えようとする以上のような視座は,会計検査活動をそれが生起するネットワークの中に位置づけ,また特定の評価基準や評価手続きが成立する制度基盤を照射しようとするものである。「客観的な」政策評価,「公正な」政策評価は,この組織内及び組織間のネットワークの上でのコミュニケーション活動を通じて初めて成り立つ。「客観性」や「公平性」は,他者と無関係に評価手法の中へ客体化され宿っているものではない。それは,相互的なコミュニケーションの中から生み出され,認知されていく価値である。会計検査という組織間活動を支える場の論理を明らかにし,そこに生起する価値構造を明らかにすることは,政策評価にともなう過剰な期待と不信とを除去し,現実的な基盤の上にこの活動を捉えていくためにも不可欠な作業である。場の論理を離れた政策評価の物神崇拝こそ,政策評価の最大の障害なのである。

[注]

1)日本の中央省庁の意思決定方式に関しては,西尾勝,『行政学』,有斐閣,1993,「第16章 日本の中央省庁の意思決定方式」を参照。

2)以下の組織間関係の分析枠組みに関しては,J. Kenneth Benson, "The Interorganizational Network as a Political Economy", Administrative Science Quarterly, Vol.20,(June1975), pp.229-249.を参照した。

3)組織のドメインについては,民間企業が対象であるが,榊原清則,『企業ドメインの戦略論:構想の大きな会社とは』,中央公論社,(1992)が明快な説明を与えている。以下のドメインの三つの次元の説明は,本書に負うところが多い。

4)この指摘は,大嶽秀夫,『現代日本の政治権力経済権力』,三一書房,(1979),196−197頁による。

5)詳しい調査の設計とその集計に関しては,財団法人日本システム開発研究所,『パブリック・アカウンタビリティと会計検査に関する調査研究報告書』(1991)を参照。このような貴重なデータの利用を許可していただいた審議室研究班の皆様に,お礼申し上げます。

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