第7号

農業政策システムの再編と会計検査
矢坂 雅充

矢坂 雅充
(東京大学助教授)(会計検査院特別研究官)

 1956年東京都生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得。東京大学経済学部助手を経て,88年から現職。経済学博士。農業経済学専攻。日本農業経済学会,日本協同組合学会等に所属。主著は「牛乳の需給調整と流通構造の変化」,「信連と農協の機能調整問題」,「北海道における米生産と流通」など。

 本稿のもとになった実態調査にさいして多くの方々にお世話になった。多忙ななかにありながら,基本的な質問に快く答えて下さったことに改めて感謝したい。また会計検査院審議室研究班の諸氏,とりわけ吉江 勉氏からは実態調査や日頃の議論をつうじて多くの示唆を得ることができた。心より感謝申し上げる。

 Ⅰ はじめに

 農業政策の再検討の必要性が繰り返し指摘されて久しい。高度経済成長を経て,日本農業の空洞化や生産性向上のテンポの遅さによって,日本農業の存立基盤に赤信号が灯っている。加工食品・外食の増大に象徴されるように消費者の食生活は急速に変貌した。農地や農業技術などの農業生産をめぐる環境条件も大きく変化してきたからである。いよいよ農業政策の抜本的な転換はもはや避けて通れない状況にある。

 逆にいえば,これらの農業環境の急速な変化にもかかわらず,農業政策の基本的な方向を転換しえないことになれば,日本の農業・農村の危機的状況はいっそう深刻になるばかりでなく,農業保護に対する社会のコンセンサスを失うことになる。

 農業政策を見直す場合の焦点は,新旧の農業政策の再編成ということになろう。従来の農業政策の枠組みを,日本農業が直面している現代的課題に合わせて改革し,いっぽう新たに重要な課題として登場してきた問題に対応しうるシステムを構築することである。いま少し敷衍しておこう。

 まず既存の農業保護のあり方に対する見直しである。農地法,農協法,食糧管理法,土地改良法といった日本の農業構造を規定してきた諸制度や,その指針として位置づけられてきた農業基本法など,戦後の農業政策の基本的な枠組みとして機能してきた政策体系の改革の方向性を提示しなければならない最終段階にさしかかっている。さきに発表された「新しい食料・農業・農村政策」(新農政)は,まさに21世紀に向けた農業政策の新たな指針を示すことを目的としていた。農家の高齢化やガットのウルグアイ・ラウンド農産物貿易交渉を控え,いまや農業改革のために残されている時間は限られている。農政システムの改革は待ったなしの状況におかれている。

 つぎに,農業政策の新たな分野への拡張や周辺的な分野における政策の重点化,いわば農業政策の外延化への対応である。端的にいえば,それは農業生産に直接かかわる補助政策偏重の農業政策から,農産物流通・消費や地域経済振興に関する補助・規制政策を積極的に取り込んだ農業政策への転換であるといってよい。

 むろん,これまでも農村政策は地主・小作問題や農家の生活改善などを農業政策の大きな柱としてきた。ここでいう農業政策の「外延化」は農村の非農業従事者,さらには消費者一般をも対象としなければならなくなっている点で,いわゆる伝統的な農村政策とは大きく異なる。

 このような政策対象の拡大を,たんなる農林水産省の事業拡大志向の結果として理解するだけでは不十分であろう。農村住民のほとんどが農業に従事しなくなりつつある状況では,農業地域の生産条件は農村の生活環境や兼業農家の地域農業への参画のあり方によって大きく左右される。また,豊富で多様な農産物が海外から大量に輸入されるようになり,農産物・食品が国内に溢れている状況では,生産面に偏った政策システムは限られた機能しかもちえない。いうまでもなく国内の農業生産が農産物・食品市場をカヴァーしきれないからである。国民経済に占める農業の比重が低下した国では,自然・社会環境の維持,農産物流通市場,食品産業,食品の安全性など,消費者の生活に密接にかかわる政策がより重視されることになる。農業政策はいまや環境や消費者といった「茫漠」とした対象を取り込まなければならなくなっており,農業補助そのものも多様な手段を必要としている。

 そこで本稿では,転換期にある農業政策システム改革の課題をいくつかの事例に即して説明し,それらをふまえて,会計検査に期待される農業政策評価の視点についてふれることにしたい。

 まず第Ⅱ節では,従来の農業政策の代表例として,牛乳の価格政策と土地改良事業をとりあげる。制度の硬直性の背後で進みつつある農業政策の混乱や,農業政策の短期的・単視眼的視点からの脱却の必要性が検討される。第Ⅲ節では,新たに広がりをみせている農業政策の事例として,農産物・食品の安全基準をとりあげる。農業政策の枠を越えて展開している消費者政策が直面している,省庁および公・民組織を統合した政策システムのあり方について考える。第Ⅳ節では,第三者的な立場にある会計検査院にもとめられている農業政策にたいするモニター機能とその意義について検討する(注1)。

 Ⅱ 農業政策システムの再検討

 1 牛乳の価格支持政策

 牛乳の価格支持政策は畜産物価格安定法(昭和36年)を前史として,昭和41年に施行された加工原料乳生産者補給金暫定措置法(以下,「不足払い法」と呼ぶ)にもとづいて行われている。暫定措置法が4半世紀ものあいだ,酪農の基本的な制度として存続してきたことになる。

 このように暫定措置法がさほど大きな法改正論議も起こらないまま今日にいたったのは,さしあたりつぎのような条件に恵まれたためであるといってよい。すなわち,牛乳・乳製品はコメとは異なって需要が拡大してきた作目であった,酪農のいちじるしい経営規模拡大にともなって生産性向上のテンポが速かった,その結果として,乳製品の過剰在庫や内外価格差もコメほどには大きくならなかったことである。

 また,制度自体の統制的性格も食管制度よりはかなり軽微である。それは加工原料乳価格のみが政策的に支持され,飲用牛乳は自由市場流通であることや,乳製品の価格支持が畜産振興事業団の市場介入という間接的手法にもとづいてなされることからも理解されよう。

 しかしさらに立ち入ってみれば,制度の内容もかなり変化してきたことがわかる。そのときどきの酪農・乳業の経済実態に合わせるために,制度の弾力的な運用と,それを部分的に補完する補助的な制度の活用がきわめて重要な役割を担ってきた。形式的には不足払い制度を尊重しつつ,現実経済の動きに対応するために,制度の運用には相当の変更が積み重ねられてきたのである。

 生乳需給はミルクサイクルともいわれる需給変動を示しながら,昭50年代はじめまでの不足基調から,その後,今日にいたるまでの過剰基調へと移ってきた。こうした市場の変化に対して,不足払い制度は生乳増産のための生産基盤の維持・市場価格の政策誘導から,生乳の需給調整を円滑にはかるための生産システムへと転換することがもとめられた。

 さらに,この制度が想定している国内市場の海外市場からの遮断という状況が大きく揺らぎはじめた。昭和50年代初頭より,海外からのココア・油脂調製品やナチュラルチーズなどの乳製品輸入増大が顕著になった。不足払い制度も徐々にしかも着実に浸透してきた酪農の国際化への対応を避けられなくなってきた。昭和60年代以降の急速な円高がこのような傾向をいっそうおし進めたことはいうまでもない。

 では不足払い制度は,これらの経済実態の変化にどのように対応してきたのであろうか。それらはおおまかにいえば,次のように整理することができる。

(1) 政策目標の不鮮明化

 不足払い制度は加工向け原料乳の直接的な価格支持以外に,補給金交付数量枠(限度数量)の設定や乳製品の市場介入操作によって,間接的に生乳・乳製品価格形成に影響を及ぼす。

 ただし実際には,このようなシステムが条文どおり確実に実施されてきたわけではない。生乳不足期には限度数量を超過して出荷された生乳にたいしても,補給金とは別の名目で補給金相当額が生産者に交付されてきた。このような青天井の生産体制のもとで発生した過剰乳製品は,乳製品市況が好転するまでの間,政府介入在庫として保管されてきた。いっぽう一転して,生乳過剰期には限度数量超過乳にたいする補給金交付は停止され,しかも政府の乳製品価格支持を目的とする乳製品市場への介入(乳製品の市場買入れ)は事実上いっさい発動されなくなる。不足払い制度の機能は生乳・乳製品価格の高位安定システムから,市場実勢に合わせた価格変動システムへとなし崩し的に傾斜してきた。

 昭和40年代末から50年代はじめの畜産危機による生乳の逼迫と,その後の反動として現れた急激な過剰生産という異常な事態のなかで,不足払い制度は実質的な機能を変化させている。しかしそれは制度の本質的な問題として議論されることはなかった。緊急措置として酪農生産者や乳業メーカーに受け入れられたからではない。すぐ後にみるように,不足払い制度の周辺にさまざまな制度がつけ加えられて,それらが酪農の価格政策としての役割を相当程度代替するようになったからである。計画生産という量的規制による需給調整対策といった,まったく逆のベクトルの処方箋を容認あるいは指導するという便法が同時にとられたことと無縁ではない。

 こうして不足払い制度の機能のかなりの部分は実質的に死に体と化し,生乳・乳製品の価格政策システムはきわめて錯綜したものとなった。そして全体としてどのような施策目標が設定され,どのように機能しているかが不鮮明になっている。政府がそのときどきの生乳市場の動向と財政状態などに応じて,不足払い制度の運用を変更することは,よくいえば柔軟な対応であり,悪くいえば便宜的で,全体としてのシステムを不安定にする。その結果,生産者・乳業は近視眼的なばば抜きゲームを繰り返し,政府にたいして自らの利益に合致する「便法」を次々に要求することになるのである。これらの便宜的な処方箋の積み重ねに政策が終始して,生乳・乳製品市場にたいする政策介入のスタンスにたいする基本的な議論ができなくなっているところに,不足払い制度の危機がある。

(2) 政策システムの錯綜化

 さきにふれたように,価格による需給調整政策の発動と同時期,昭和54年度に生産者団体による計画生産が,農林水産省の支援のもとで発足した。政策価格の大幅な引き下げは酪農家への打撃が大きく,政治的・社会的に困難であったからである。生産者団体が独自に行った需給予測にもとづいて,生乳生産数量枠が酪農家(農協)に配分され,生乳の生産抑制,牛乳・乳製品価格の下落防止がはかられることになった。こうして過剰局面においては,計画生産は牛乳・乳製品の価格水準を左右する根幹的な政策となっている。

 また,輸入代替による生乳過剰処理対策として,国産ナチュラルチーズ生産の振興対策が講じられている。昭和62年度よりチーズは不足払い制度・計画生産の対象外とされた。従来のチーズ向け原料乳の政策価格(乳業メーカーへの販売価格である基準取引価格)以下での取引が開始されることとなった。平成4年度の取引価格は,ハードタイプがキログラム当たり39円,ソフトタイプが同じく52円である。酪農家には政府助成金によって設けられた基金から,同じくキログラム当たり10.1円のチーズ奨励金が交付される。国産ナチュラルチーズ向けという特定用途に限ってではあるが,輸入ナチュラルチーズに対抗しうる乳価水準で,毎年20万トン強の生乳が取引きされている。

 取引乳価を市場価格水準に引き下げ,生産者には別途奨励金(補給金)を交付して所得を補償するという方式が,部分的に日本の酪農に採用されたことになる。それはEC加盟前のイギリスや現在のアメリカの農業補助の大きな柱となっている不足払い制度に近い価格支持政策である。

 以上からわかるように,政府は不足払い制度の機能不全を補うかのように,次々にそれとは異なる考え方の制度を導入してきた。その結果,牛乳・乳製品の価格政策にはさまざまなシステムが並存し,ますます政策目標は不明確になっている。

(3) 生産者自己負担による価格政策

 政策システムの錯綜化は,別な視点からみると,生産者の需給調整にたいする自己責任・自己負担の導入,価格政策の肩代りと結びついていることがわかる。戦時経済にみられたような統制的な方法による酪農経営のコントロールが困難であることはいうまでもない。いっぽう市場メカニズムをつうじた価格引下げや,奨励金交付などの経済的なインセンティブによる転廃業・飼養頭数削減促進策の導入も政治的・経済的リスクのために容易ではない。そこで,政府は酪農経営の政策誘導を,農協などの生産者団体の自主的な政策——といっても政府との連携のもとで実施する対策——に依存するようになっている。

 たとえば,さきにみた計画生産がその典型である。政府が直接生産調整にかかわるより,農協が自主的に生産調整を実施するという方法が選択された。酪農家の経営実態に詳しい農協が生産調整の実施主体となることで,個別農家の事情を斟酌した弾力的な調整が可能となる。またコメの生産調整で蒙ったような多額の財政負担リスクを避けることもできるからである。こうして計画生産は生産者団体の対策でありながら,酪農政策の柱となっていくのである。

 しかも計画生産は恒久的なシステムとして定着するにつれて,単なる生産調整策にはとどまりえなくなる。次第にひとつの体系をもった需給調整対策へと機能を整備・拡大することが,農協組織内部からもとめられる。計画生産の目的が生産のコントロールをつうじた,乳価の下落防止と安定性確保にあるからである。具体的には生乳の一時的な過剰処理システム,乳製品の過剰在庫保有対策などが計画生産システムのなかに組み込まれてきた。農協組織はいわば第二の農林水産省としての役割をはたしつつあり,また政策構想・立案においても相当の影響力をもつようになってきたのである。

 このような農協への政策の依存は,理念なき酪農政策のひとつの帰結であるといってよい。無限定的に対処療法がなされた結果,政策立案者は二重化してしまった。さきにみた酪農政策の分裂状態を修復する動きを,政策当局・生産者団体に期待することはいっそう難しくなっている。

 また農協の政策代行的な事業の拡大は,酪農家の生産者組織への不信感を増長し,その組織的な基盤をゆるがすことになりかねない。計画生産の影響力が多様な政策システムのなかで相殺されてしまうからである。乳製品の輸入自由化が徐々に浸透しつつあり,生乳供給独占による生産者の手取り乳価水準の引上げ・維持を実現しうる状況にはない。そのことがさらに生産者の共同体的な相互監視・規制にもとづく計画生産を強化させることになる。酪農経営の格差が拡大し,共同性を重んじる人的関係が希薄になりつつある現在,自発的な計画生産も内部崩壊の可能性を強く孕んでいるのである。

 以上のような制度の形式的な硬直性と実質的な運用の変化,いわゆる建前と本音を使い分ける不鮮明な政策システムの形成は,日本の畜産政策ばかりでなく,食管制度や農地政策などの戦後農業政策を支えてきた多くの施策に同様に見受けられる(注2,3)。むしろそれは日本の行政システムに共通する問題であるといってよい。農業では多くの分野に制度・規制がはりめぐらされているために,こうした政策・行政システムの矛盾がより明確に現れているのである。

 2 土地改良事業

 土地改良事業は農業生産・生活環境に直接的にかかわる事業であり,農業政策のなかでも農業の特殊性が強く現れる。そこでここではO県の県営灌漑排水事業(U地区)をとりあげて,その計画と現在時点での事業評価のあり方から,農業補助事業評価の長期性・多面性・総合性がどのように配慮されているのか,簡単にみておくことにしよう。

(1) 事業の長期性

 土地改良事業は計画の策定から事業完了,事業効果の発現までにかなりの時間を要する。そのために事業計画と実績が乖離する可能性は高くなる。表1は事業地域の作物別延べ作付面積を,計画当初の実績(昭和52年),事業完了から10年後の予想(平成6年),現在の実績(平成4年)で比較したものである。事業計画の基礎となる作付体系は,当初実績のほぼ延長的拡大として描かれているのにたいして,実際にはさとうきびの微減,すいかなどのハウス栽培野菜の増大,牧草地のいちじるしい拡大といった予想外の作付体系へと変化してきたことがわかる。それは基盤整備によって作物選択の余地が拡大し,農業経営の担い手の高齢化や農産物の収益性の変化に,農家が弾力的に対応したことを示している。

 このように農業生産の環境整備事業は農業生産の長期的な変動のなかで評価されることになる。計画に即した営農活動より,改善された生産基盤・環境を有効に活用するための経営革新が決定的な意味をもつ。このことは事業計画の策定基準を単純な投資効率にもとめることの限界を示唆している。事業の効果はむしろその後の農産物市場の動向や,そのもとでの経営対応の適否によって左右されるからである。

表1 事業区域内の作付面積の推移

(2) 事業の経済的効果

 この事業の経済効果を事業計画にさいして検討された項目ごとに,計画と実績を比較したのが表2である。各効果項目の内容が抽象的であり,事業効果の算定方法に裁量の余地が残されていることを別にしても,それらを狭義の経済効果に限定することの意味が問われよう。農地の流動化進展による経営規模拡大と離農の促進,牧草栽培の拡大による粗放的・農地保全的農業へのシフトといった農業生産の態様変化を考慮した評価手法を開発していく必要がある。このような土地生産性の低下を含む農業生産の転換促進は,中山間地域などですでに顕在化しつつある農業の空洞化対策のモデルとなりうる。従来の方式では負の効果としてのみ評価されてしまうからである(注4)。農業のビジョンと結びつかない事業評価方法の採用は,かえって事業計画段階での「作文」を必然化させることになる。

表2 事業の経済効果

(3) 総合的な地域政策との関連

 さらに事業効果の評価は,土地改良事業が地域政策としてどのように位置づけられているかということとも関連する。投資効果が1を上回ることが,そのまま土地改良事業を正当化する指標にはならない。事業対象地区やその周辺地域にたいする政策としての事業役割が明確にされなければならない。土地改良が結果的には工業用水対策となったり,観光産業政策との矛盾・対立をまねく事例は数多い。多様な地域政策のひとつとして土地改良事業を評価するとき,投資効率の絶対的な水準よりも,地域内の事業の効果の相対的な比較が重要となる。

 さて,以上みてきたことをいまいちどまとめておこう。従来の農業政策システムは日本農業をめぐる厳しい内外情勢の変化のなかで,もはや限界に近づきつつある。制度の本格的な改正を回避し,部分的手直しによって経済実態の変化に対応するという手法は,内外から日本の農政不信をまねくことになるからである。

 農政システムは官庁内部の論理で動かされ,外部の者にはきわめて理解しにくい。しかも建前と本音の使い分けは農業政策内部の矛盾と軋轢を生み,その目的を曖昧にする。このような農政はいたずらに場当り的な農家保護を標榜するものとして国民の不信感を助長することになる。ガットの農業交渉のような国際交渉においては,問題はさらに深刻である。農業補助システムの国際的な協調が重要な検討課題となっているなかで,日本が将来に向って国内農業を存続・維持させていくことを表明しても,それを支える農業政策システムにたいする国際的な理解が得られないからである。制度の抜本的な改変を軸とする従来の農業政策システムの見直しは,いまや焦眉の課題となっているのである。

 Ⅲ 農業政策の外延的拡大

 近年農村集落排水事業をはじめとする自然・生活環境整備対策や有機農産物のガイドラインの創設,農産物・食品の安全対策などの消費者対策が拡充されてきている。それは一面では農業生産の停滞,農業保護の見直しにたいする厳しい環境への受動的な対応である。また同時に,歯止めがかからない耕作放棄・過疎化による農業の空洞化や農産物・食品の輸入増大の動きにたいして,生活環境・食生活の整備・改善によって,間接的にブレーキをかけることが期待されているからでもある。

 これらの政策を特定の行政機関が専門的に担ってきたことはない。むしろ各省庁の施策が交錯する分野である。それゆえ行政システムの改革は縦割り行政の軋轢のなかで容易に進まず,経済実態の変化に追いつけなくなっている。環境・消費行政は白紙に絵を描くというよりは,むしろ既存の各省庁の施策の拡充競争,「縄張り争い」をまねいている。

 そこでつぎに,農業政策と深くかかわる消費者行政の事例として,農産物・食品の安全基準をとりあげて,以上の問題についてみていくことにしよう。

1 農産物・食品の安全基準

 各国の農産物・食品安全基準の国際基準への整合化(ハーモニゼーション)をめぐる交渉が,ガットの検疫に関する委員会で続けられている。FAO・WHOが組織するCodex委員会が示している安全基準に準拠して,各国の基準を調整しようというのである。合意案によれば,これより厳しい基準を設定するばあいには,各国は科学的な根拠を呈示することが義務づけられており,事実上,食品の安全性にたいする国際基準が設置されることになる。ハーモニゼーションをめぐる対立はつぎのように整理できる。すなわち,安全基準が農産物貿易にたいする非関税障壁として利用されることを回避するために,ハーモニゼーションを積極的に進めるべきであるという主張と,それは環境維持的な農法や食生活の安全性を重視した農産物貿易秩序の確立に反するという主張の対立である。まさに経済効率と環境・安全にたいする考え方の対立であり,両者をどのように統合させていくかという問題である。

 このことにたいする日本の態度は,残留農薬などがADI(体重1キログラム当たり1日摂取許容量)の範囲内にとどまるかぎり基準の緩和は可能であり,科学的根拠を示すことによって例外的な規制を確保しうるというものである。積極的に肯定しているのではなく,事態の変化の少なさを強調するにすぎない。それはつぎにみるように,食品安全基準に関して統一的な判断を下せるような政策システムが確立されていないからでもある。

(1) 省庁間の政策関連性

 日本の食品安全基準行政はいくつもの省庁の政策とかかわっており,農業政策として括れるものではない。農産物・食品の安全性確保を目的とした農薬・添加物にたいする規制は,農林水産省の農薬取締法,環境庁の農薬登録保留基準,厚生省の食品衛生法によって構成される(注5)。ごく簡単にこれらの規制の相互関係を整理すれば,つぎのようになる。農薬取締法は川上部門である農業生産にたいして農薬の種類・使用量・方法などを規制し,食品衛生法は直接消費者と接する川下部門の流通において農産物・食品の残留農薬・添加物を規制する。また農薬登録保留基準は食品衛生法に規定のない農薬について暫定的に基準を定めている。輸入農産物・食品が限定されていた時期には,農薬規制については農薬取締法が主要な品目をカヴァーすることになり,農薬使用サイドからの基準設定が必要とされたからである。しかし,そのことによって食品衛生法による農薬規制基準の整備は遅れ,添加物規制に重点がおかれることとなった。

 いわゆる縦割り行政のもとで,食品安全基準の統一的な整備は遅れている。たとえば,安全基準設定にさいして必要な作業である農薬の残留性などに関するデータの企業への提出要請や,その膨大なデータの分析・検討は,他の省庁との連携が不可欠である。しかし実際には,他の機関のための情報収集・提供にたいする消極的姿勢に示されるように,情報の交換・共同活用は円滑には進んでいない。こうした状況では自発的な安全基準の新設・見直しを,各制度の相互連関のなかで機動的に実施することは容易ではない。外圧による受動的な対応を繰り返すようになるのである。

 世界共通の食品の安全基準が「科学的」に一義的に決まることにはならない。それは人間の毒物摂取について一定の許容範囲を示すにすぎない。最終的にはどのような農法で栽培された農産物で,どのような食生活を維持していくのかという判断のなかで,無数の選択肢が存在する。川上・川下の規制基準を統一的に結びつけ,内外の農産物・食品の生産方法(農法)への一貫した考え方を形成しえないという国内事情が,国際的な交渉での日本の立場を曖昧にさせているのである。

(2) 公と民の機能分担

 輸入農産物・食品の急速な増大は,行政システムの改革ではなく,なし崩し的な民間組織の業務範囲の拡大をもたらしてきた。たとえば,昭和54年から輸入食品検査を政府が指定する検査機関にも認める制度が導入された。図1に示されるように,要員不足のために行政機関による検査率が5〜6%程度へと低下してきたからである。その結果,たとえば成田空港検疫所においても,平成元年度の総検査件数29,855件のうち,行政検査が5,278件(17.7%),指定検査機関が7,550件(25.3%)となり,外部の民間機関による検査の比重がますます高まっている注6)。

図1 年次別輸入件数と行政検査率の推移

 しかし指定検査機関による検査と行政検査の役割分担は明確ではない。検査の内容は基本的には同じである。むしろその差は検査を依頼する側にある。行政検査は無料であるが,検査に相当の時間がかかる。そこで輸入業者に有料ではあるが,政府が指定する民間非営利団体の研究所などが実施した検査結果を,公式データとして取扱う便法が設けられたのである。輸入業者は通関に要する時間を節減することによって,商品の鮮度を保持し,金倉経費を圧縮することができる。いっぽう輸入量がわずかな個人輸入では,無料の行政検査が利用されることが多いといわれる。輸入業者の通関コストにたいする判断が,検査機関の選択基準となっている。受益者負担の原則にもとづくものの,指定検査機関による自主検査が拡大したのは,行政機関が事態の変化に対応しえない状況が長期にわたって続いた結果であり,行政検査固有の機能が明確にされているわけではない。

 さらに両者の役割分担の曖昧さは,指定検査機関の検査体制の不安定化となって現れている。指定検査機関には公正で精度の高い検査の実施に加えて,検査方法の開発・普及,検疫職員の技術研修といった行政機関への支援機能が要請されている。検査情報・技術の蓄積によって,指定検査機関は量的にも質的にも行政検査のレベルを凌駕しているばあいがあるからである。いっぽう当然ながら,検査料の削減・検査時間の短縮が,輸入業者から強くもとめられる。いくつかの指定検査機関は検査機器の高額化・専門化のもとで,検査機器の稼働率を高めるための検査手数料の引下げ・検査件数の増大を迫られている。経営基盤の脆弱な指定検査機関が経営を維持するために不公正な検査,検査精度の低下に陥ることが危惧されている。

 このように指定検査機関による農産物・食品の安全性検査が相当大きなシェアをもつようになった今日,その業務範囲と経営基盤,検査上の権限,指定要件などが明確にされるべきである。公的機関による検査体制の拡充が差し当たり難しいといって,民間組織にたいしてなし崩し的に過度の役割分担を強いることは避けなければならない。それは,長期的には農産物・食品検査にたいする信頼を失わせることにつながるからである。農産物・食品の安全性に関する政策は,公共部門の役割が定着していない新たに拡大してきた分野であるだけに,公と民の機能分担の問題が顕著に現れているのである。

 Ⅳ 農業保護をめぐる会計検査の課題

 以上みてきたような混迷を深めつつある農業政策システムにたいして,会計検査院の検査業務をどのように位置づけていくことができるであろうか。端的にいえば,それは農政の理念を問うことである。個々の補助事業についての会計検査が,その事業の成立過程,他の事業・政策との相互関連を強く意識されて進められるならば,それは当然のこととして,農業政策システムとその背後にある農政理念を議論の俎上に載せることになろう。政策当局との農政理念に関する意見交換・論争は,農政システム改革を進めるうえで不可欠の作業であり,このような会計検査の意義は大きい。しかもその影響は農業をとりまく組織の刷新を促すことにもなる。

 そこで以下では,農業補助をめぐる会計検査にもとめられる視点について検討しよう。そののちに農政システムへの関心の高まりの波及効果として期待される点についてもふれることにしたい。

 1 会計検査の視点

 行政機関のなかで第三者的な位置にある会計検査院にもとめられる農業政策評価の視点として,少なくともつぎの点を欠くことはできない。

(1) 内側の論理の排除

 政策当局の外部の者が理解しうる論理による農業政策・事業の立案・実施ということである。政策当事者内部の論理の優先が,制度の運用操作に依存する政策システムを放置してきた。ややもすれば制度改正にともなう事務コストの軽減が重視されてきたといえよう。

 また,ガットの農業交渉など国際的な場での農業政策論議がますます多くなっていくなかで,内輪での了解にもとづく楽観的見通しや海外諸国の農政システムへの無理解が,日本農業にたいする思わぬ制約をもたらすおそれが高まっている。そこにこうした内部偏重の政策システムの落とし穴がある。粉乳の国家貿易にたいするガットのクロ裁定で経験したように,国際的にはまったく通用しない楽観的見通しが崩れることによって農政不信が助長されるようにはたらくからである。

(2) 広範な情報・議論の収集

 内部論理優先の排除と関連して重要になるのが,各省庁の立場に偏らない情報の収集である。会計検査院に集められる膨大な資料の活用もさることながら,つぎのような情報が重視されなければならない。

 ひとつは,市町村などの事業実施機関からの情報である。これらの機関による行政自己評価をはじめとする現場の情報を収集することによって,建前論に陥りやすい中央官庁の論理を再評価する必要がある。

 ふたつは,農業政策に関心をもつ民間団体の情報である。ガット農業交渉に関する政府の公式情報が量的にも質的にもかぎられているいっぽうで,民間団体が国際的な人的ネットワークを駆使して収集した情報の多様性,迅速性には目をみはるものがある。各国の消費者団体,生産者団体や研究者・官僚・議会のロビイストなど,さまざまなルートからの情報は,一定のバイアスをもつことを考慮しても,政府の情報を補完し,官庁の論理に埋没しない判断を確保するうえでおおいに役立つといえよう(注7)。

 いまひとつは,農業政策をめぐる会計検査の国際比較である。海外の農業政策にたいする会計検査機関の業務が,いわゆる会計的な検査から政策評価へと展開しつつあることは周知のことである。このことをふまえるならば,農業政策システムの国際比較を会計検査の側面から実施することをつうじて,多様な農業政策システムを提示しうることになる。それは会計検査機関の国際的なネットワークの重要な課題である。今後国際的な交渉の焦点となる農業の国際化は,まさに各国の農政システムの衝突と協調の繰り返しだからである。

(3) 政策評価基準の提示

 政策当局の政治的な判断などから独立した政策評価の基準・視点を提示することである。それは行政内部での複眼的な政策評価をもたらし,政策目標・課題についての議論を活性化させることになろう。転換点に立つ農業政策・農業の変化の方向をつねに国民に示していくためには,このような行政機関内部に論争のカウンターパートを用意していく必要がある。

 とくに農業政策の評価にさいしては,長期的・多面的・総合的な視点が必要となる。農産物自由化にたいする代替・補償措置としての施策や農産物過剰対策など,短期的な対処療法的性格の農業政策が繰り返される傾向が強まっているからである。農業という他産業に比べて長期固定的な性格が強い産業のあり方を,環境・資源の保全,地域社会の維持,高齢者の生きがい確保,生産者と消費者の相互交流・理解など多面的な視点のなかで模索していかなければならない。会計検査院が全省庁の政策・事業をすべて業務の対象としていることを活かし,こうした視点からの政策評価の具体的手法を開発することが期待されているといえよう。

2 波及効果

 農業政策システムの改革は地方自治体・農協にたいしても多大の影響をもたらす。会計検査と関連する点について,ごく簡単にふれておくことにしよう。

(1) 地方自治体・農協の現場把握能力の涵養

 市町村や農協の職員が農家と直接会って話を聞く機会が減少している。農業政策・事業を実際に施行する立場にあるにもかかわらず,これらの組織では農家が必要としていることを把握し,農業政策・事業の評価を確かめることも難しくなっているのである。会計検査が農政理念の現場からのフィードバックシステムとして位置づけられることによって,地方自治体・農協の農政をみる視点は中央官庁から「現場」へと向かうことになろう。それがまさに総論としての地方分権から各論レベルの地方分権を論じる前提条件でもある。

(2) 系統農協など民間部門の事業評価

 農業政策の立案・実施に組み込まれている農協組織も,農政システムのあり方と無関係ではありえない。系統農協の事業・組織の官僚的性格にたいする多くの批判は,農業政策・行政システムの硬直性批判と同根であるといえよう。換言すれば,会計検査院のような第三者機関による政策評価機関を組み入れた農政システム改革は,農協組織再編の処方箋を示すことにもなる。組合員の農協への不信感の高まりは,農協運動・事業の理念の欠如であり,それらをめぐる議論を組合員との間でフィードバックするシステムを欠いていることにあるからである。系統農協が事業の自己評価あるいは第三者機関による複眼的な事業評価システムを共有することは,農業政策システム改革とならぶ大きな農業改革として位置づけられる。

 Ⅴ 小 括

 日本の農業政策と農業は,国内の農業の担い手の弱体化と農業国際化の圧力の高まりのなかで,その存続の正念場に立たされている。たとえば,いわゆる例外なき関税化によって,残存輸入制限や国家貿易などの量的制限による国境調整が原則的に禁止されれば,消費者負担の国内農産価格支持から納税者負担の農業保護への転換を迫られる可能性が高まろう。しかも国境主義から国内主義へと変化したガット・ルールのもとで,農業補助の手法は価格支持政策から直接所得方式へとシフトする傾向にある。農業保護にたいする国民の合意形成への努力を欠いた理念なき農政は,もはや通用しなくなっている。

 会計検査院がごく部分的な農業補助対策の会計的整合性や有効性に関する検査に終始していては,これまでみてきた農業政策の転換という大きな課題にたいする社会の関心を喚起することはできない。将来の日本の社会のあり方を左右する選択にたいして,これまでの惰性のなかで他律的・受動的に決定を下すことは少なくとも避けるべきである。そのためには農業補助の理念を問い続け,それを実現しうる農業政策システムのあり方について,議論の素材を提供する行政機関の役割が不可欠である。効率性のみにとらわれず,人間が生活する自然・社会環境や生きがいを保ちうる農政理念を構築していくことができるかどうかという大実験を前にして,会計検査院はどのような飛躍を遂げることができるだろうか。既存の農政システムを抜本的に見直すエネルギーを農政当局から引き出す役割を会計検査院に期待するのは過大であろうか。

日本の農業政策が最後の正念場に立たされているなかで,会計検査院も新たな時代に向けて,その真骨頂を問われているのである。

 参考文献

 大内力・佐伯尚美「日本農政50年史」(日本農業研究所『日本農政・農業技術50年史』1992年所収)

 梶井功編『農業の基本法制』家の光協会,1992年

 神山美恵子・伊庭みか子・田坂興亜『ガットの落し穴食品安全基準』家の光協会,1992年

 総務庁行政監察局『付属機関等総合実態調査(検査検定機関)結果報告書−動植物検疫関係−』1992年

 中央酪農会議『転機に立つ酪農』1988年

 NESSFE事務局『ウルグアイラウンド最終合意案−検疫衛生措置の適用に関する合意』(『マザーバイオスフィアノート』6),1991年

 農林水産省構造改善局『農村の総合整備をめざした土地改良事業の展開方向』1992年

 山田博史「農産食品の安全性と残留農薬」『食品と科学』1989年1月号

Vogel, David, "Consumer Protectlon and Protectionism in Japan," The Journal of Japanese Studies. Vol. 18, No. 1 (1992)

注:

1)本稿は会計検査院審議室において実施された実態調査などにもとづくものであり,それらをつうじて得た印象等をとりまとめたものである。ここでとりあげる事例についての筆者の理解は必ずしも十分とはいえず,事実認識についての誤りがありうることを予め断っておかなければならない。しかし,本稿の課題は各施策・事業の評価ではなく,部分的ではあれ,それぞれの施策に内在している農業政策の転換課題を抽出することである。「群盲象を評す」恐れをあえて冒すとしても,これまで経験してこなかったような転換点に遭遇している農業政策・補助システムの構築に向けて,なんらかの素材を提供することが最終的な目的である。

2)山本秀嘉「第10回テクニカルセミナーに参加して」(『月報』〔会計検査院院内資料〕第42巻第5号1992.5所収)参照。牛肉輸入自由化対策として拡充された肉用子牛の不足払い制度のもとで,はからずも牛肉政策と酪農政策の分裂が顕在化した。不足払いの交付対象が素牛とされたために,主として肉牛素牛・肥育経営がこの制度の恩恵を受け,酪農経営は活用しえないケースが多かったからである。周知のように,酪農家は搾乳ばかりでなく,国産牛肉の多くを占めるホルスタインのおす子牛を供給している。したがって肥育用子牛の価格支持のあり方は,生乳の価格形成と密接な関連をもつ。たとえばホルスタインの子牛への不足払いよって,乳価抑制をはかることも可能なのである。牛肉・肉牛と牛乳・乳製品の相互の価格形成システムを積極的にリンクさせる新たな価格政策を検討する必要に迫られている。

3)大内力・佐伯尚美「日本農政50年史」(日本農業研究所『日本農政・農業技術50年史』1992年10月所収)は包括的に理念なき農業政策の展開過程を論じている。そこでは過剰にたいする生産者の自己責任に関連して,「米過剰には官民協調して当たるよう改められた——といってもあくまでも政府主導であるが——のである。米もようやく他作物並みになりつつあるといっていい。」(80ページ)と評している。過剰米の自主調整保管の制度化などの系統農協を積極的に巻き込む政策システムが,ほとんどの作物で過剰対策の一環として強化されていることは,それだけ従来の農業政策が行き詰まっていることを示している。

4)この事業では,作物増加純益額のほぼ半分を占める85,955千円が牧草によるものとされている。それは牧草生産に適した地域であることの反映でもあるが,逆に自給飼料の市場価格による評価方法が,事業の経済効果を大きく左右する結果となることをも示唆している。

5)このほかに地方自治体や消費者団体による農産物・食品にたいするモニタリングが,食品の安全性確保にたいして重要な役割をはたしているが,ここではとくにこの点についてはふれない。

6)その他の検査として,次の二つがある。ひとつは,厚生省に登録された輸出国の検査機関の検査証明によって,日本での検査が省略される外国公的検査機関検査であり,成田空港検疫所の平成元年度の検査件数の59.7%を占める。ふたつは,同様の製造過程のもとで生産された一定の商品の継続的な輸入にたいして,輸入手続が省略される継続輸入である。これも近年増加しており,5.0%に達している。なお,総検査総数は各検査件数の合計から重複を除いた数値であり,検査別構成比の合計は100%を上回る。

7)たとえば,「安全な食と環境を考えるネットワーク」(NESSFE)が発行している『マザーバイオスフィアノート』シリーズを参照されたい。

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