第10号

国の研究評価システムと会計検査
大山耕輔

大山耕輔
(筑波大学社会科学系助教授 会計検査院特別研究官)

 1958年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。東京大学社会科学研究所助手,筑波大学社会科学系講師を経て,91年から現職。行政指導論,政策過程論,政治・行政システム論等が現在の専門。日本行政学会,日本政治学会等に所属。主論文は「行政指導の規制緩和」(『レヴァイアサン』12 号,1993年),「行政機構における占領改革・再改革の成果と政策過程」(『年報政治学1991』岩波書店,1992年),「アメリカにおける民営化」(『主要諸国の民営化の潮流』行政管理研究センター,1990年)等。

Ⅰ はじめに

 本稿の目的は,国の研究開発(R&D)政策における評価システムについて,アカウンタビリティの観点から検討するとともに,評価システムにおける会計検査のあり方について考察することである。

 そこで以下,次のように議論を進めたい。まずⅡでは,アカウンタビリティと評価システムの関係,および会計検査院の役割について検討する。Ⅲでは,研究評価システムのアカウンタビリティについて規範的に考察し,国のあるべき研究評価システムがどのようなものであるかを考察する。Ⅳでは,Ⅲを踏まえた上で,国の研究評価システムの実態について検討し,そこにおける問題状況を考察する。Ⅴでは,以上の検討結果をまとめる。

Ⅱ アカウンタビリティと評価システム

1 アカウンタビリティの概念

 「われわれの支払った税金はどのように使われたのか」という納税者の素朴な疑問に対し,主に会計的な説明を行う政府の責任がアカウンタビリテイ(accountability)といえる。このアカウンタビリティ概念の内容は財務会計責任(financial accountability),経営会計責任(management accountability),プログラム会計責任(program accountability),政策責任(policy accountability)というように,歴史的に変化してきている(注1)。ただしこの変化は,内容がまったく変わってしまったというものではなく,今でも古典的な財務会計責任がコアにあることに変わりはないが,時代の問題関心に対応しながら少しずつその重点を政策にまで広げてきたというものである。また,こうした概念内容の変化により,アカウンタビリティを検証する検査の観点もまた合規性(regularity),経済性(economy)・効率性(efficiency),有効性(effectiveness),広義の有効性へと歴史的に変化するよう促されてきている。経済性・効率性・有効性の3つの検査の観点は,英語の頭文字をとってしばしば3E検査と呼ばれる。そしてさらに会計検査が果たすべき社会的役割・機能も,これらに対応して統制機能,管理機能,広義の管理機能,情報提供機能へと変化するよう促されてきた。

 今日的意味でのアカウンタビリティとは,税金がどのような政策に使われ,どの程度経済的,効率的,有効的であったのかについて,政府が納税者に会計的な説明を行う責任ということである。そして会計検査という評価手段は,アカウンタビリティを確保するための重要な手段なのである。これらの関係をもう少し詳しく示すと図1のようになる。

図1 アカウンタビリティの連鎖

 政府(government)を構成する主体には,議会(政党),内閣,各省庁などがあり,それぞの間に税(公)金とアカウンタビリティの流れがある。さらに各省庁は外部に請負・委託を出すこともある。そして,こうしたアカウンタビリティの流れや連鎖を検査する機関の一つが会計検査院ということになる。

 ここで注意すべきなのは,アカウンタビリティの政治的性格についてである。国民も納税者も一般的な人々という意味での集合概念であり,政府は納税者一般に対してアカウンタビリティを負うというのが本来の姿である。しかし,国民や納税者一人ひとりの選好は多様であり,共通の利益をもつ者はしばしば利益集団や圧力団体を形成し,各政党や各省庁に働きかけて,自分たちに有利な政策を通したり不利な政策を阻止しようとする。この結果,政策過程を通して,利益を受ける者と不利益(損害)を被る者がしばしば乖離して生じることになる。こうしたいわゆるレントシーキング活動は個人や集団のレベルでは合理的だが,社会全体のレベルでは逆に非合理になるというパラドックスを生む(注2)。そこで政策による便益と費用がだれに発生したのかという政治的な内容を含むアカウンタビリティが必要とされることになる(注3)。

2 評価システムのアカウンタビリティと会計検査院

 納税者に対する政府のアカウンタビリティの内容が,政策の主として3Eであるとすれば,そうした政策の3Eの評価は,計画(plan)−実施(do)−監査・評価(see)の政策循環(policy cycle)における監査・評価の段階で行われるものといえる。3Eが評価され,その評価がフィードバックされることにより当初の計画が見直されたりまったく新たな計画が立案されたりする。この計画−実施−監査・評価の政策循環を担う政府の主体に注目すると,国会が大枠的・抽象的な政策計画を定め,それを受けて内閣がより具体的なプログラム計画を立案し,各省庁などの行政機関がそのプログラムを実施し,さらに会計検査院が監査や評価を行うという役割分業を見いだすことができる。しかし,計画の立案は,国会や内閣のマクロなレベルからトップダウン的に政策が配分されるだけでなく,各省庁のミクロなレベルからボトムアップ的にプログラムが積み上げられるという性格もある。また,プログラムの監査や評価が各省庁自らによって行われることもある。そこで各省庁レベルを中心とした政策や予算の循環過程を示すと図2のようになる。

図2 各省庁を中心とする「閉じた」政策(予算)サイクルと評価機関

 各省庁における計画−実施−監査・評価のサイクルは,プログラムの計画を立案して予算要求したり法律案を作成したりする段階,プログラムを予算執行や規制・行政指導などにより実施する段階,プログラムを実施した結果について3E検査などの観点から監査・評価して次のサイクルにつなげる段階から成り立っている。このサイクルは各省庁が自らアカウンタブルである限りにおいて「閉じている」といえるが,各省庁内部の監査・評価機関は任意的な存在であるため,厳密には閉じたものとなっていない。そのため,実際には,会計検査院による外部監査・評価が,本来は各省庁内部の監査・評価機関が果たすべき役割を肩代わりする結果になっている(注4)。

 ここで重要なことは,こうした「閉じた」政策(予算)サイクルを構成する内部の監査・評価機関とこのサイクルを補強する外部の監査・評価機関とが有機的に連携することにより,全体としての監査・評価システムを構成するという認識である。評価機関のレベルは重層的であり,レベルに応じた評価の役割分業が考えられる。後にも触れるが,評価のレベルには少なくともマクロ評価とミクロ評価の2つがあり,前者は戦略レベルの政策評価,後者は戦術レベルのプログラム評価を行うと考えることができる。図2の各省庁自身による内部評価はミクロ評価といえるが,さらに下位の実施機関による評価もありうる。これらは,図1でいえば④,⑤,⑥のアカウンタビリティを検証しようとするものである。逆に上位レベルになると,内閣・総理府レベルでは総務庁による行政監察などがあり,これはセミマクロレベルの評価であり,図1の③のアカウンタビリティを検証する。国会レベルになると決算委員会などが評価機関と考えられるが,ここではマクロな政策評価を行い,図1の②のアカウンタビリティを検証する。

 会計検査院は三権から独立した憲法上の機関てあり,その外部監査・評価の機能,とくに情報提供の機能には最近各方面から大きな期待が寄せられている(注5)。しかし,会計検査院が毎年作成し内閣に送付する『決算検査報告』におけるこれまでの会計検査は,主にミクロ評価(図1の③,④, ⑤,⑥)に重点がおかれてきたといえ,マクロ評価(図1の①,②)は今後の課題であるといえる(注6)。また,独立性の高い評価機関であるという特質を活かすとすれば,評価システム全体が機能しているかどうかを検証するという,評価システムのアカウンタビリティを検証する役割を担うことが考えられる。

 会計検査院が独立性の高い機関であるということは,アカウンタビリティの政治的性格を考えるとき,評価システムを評価する機関として一層適切であると思われる。だれが何を,いつ,どのように,だれに対して評価するのか(Who evaluates what,when,how and to whom?)という評価の問題はすぐれて政治的な問題であり,評価者(機関)の政治的立場により,評価に何らかの偏向・バイアスがかかることはよくあることである。とりわけ内部機関自身による評価は自分たちに都合の良い甘い評価になりやすい。そこで外部の評価機関が本来内部機関が行うべき評価を肩代わりすることになり,本来その役割が期待されるマクロ評価やシステム評価にまで手が回らないことになる。しかし,評価システムを評価する機関として会計検査院が適切な地位にいる以上,今後その可能性を探ることは重要なことであろう。

Ⅲ 研究開発(R&D)政策の評価システムの考え方

1 研究開発政策の特質

 政府が研究開発政策を行う理由としては,第一に長期のリードタイムを要すること,第二に多大のリスクを内在していること,第三に多額の資金を必要とすることの3つがしばしば指摘される(注7)。研究開発は,科学技術立国をめざすなど広義の安全保障政策に含まれるため,基本的な政策として政府が推進すべきであるという社会的合意が比較的高い政策分野といえる。これに対して社会保障や社会福祉,農業補肋,ODAのような再分配政策は,政策による便益と費用の帰着先が乖離して生じるという政治的性格が強かったり,投資の有効性や政策目的の時代適合性などの面で社会的合意が相対的に低かったりして,しばしば政策評価の格好の対象とされてきた。また防衛政策や公共事業については,その大きな投資額により政策評価の対象とされてきた。ここで研究開発政策の評価システムを検討しようとするのは,第一に研究開発に対する投資額が大きく,今後も増大することが見込まれるためであり,第二に研究開発投資に対する投資効果の評価と投資の重点化・効率化・有効化への関心が高まりつつあるためである。

 1991年度には,政府部門と民間部門をあわせた研究開発全体の投資額は13.8兆円であり,GNPの3%に達している。このうち政府部門は2.5兆円でGNPの0.6%であり,今後も民間部門を中心に重要性が増すものと予想されている(注8)。日本の研究開発の大半は民間部門によって行われているため,基礎研究よりも応用・開発研究に比重がおかれてきたといえるが,今後は民間・政府両部門で基礎研究の充実化が予想される。

 政府が行う研究開発のうち,基礎研究は公共財的,社会資本(インフラ)的,非政治的といえるが,応用・開発研究はときに準公共財的,ビッグプロジェクト的,政治的である。たとえば宇宙や原子力の開発,大型加速器による国際的な素粒子研究(SSC),原子力船「むつ」のプロジェクト(注9)などの応用・開発研究は,基礎研究と比べて目的が明確であり投資額も大きいことが多いため,政策評価の対象にされやすいといえる。

2 研究評価システムの考え方

(1)科学技術会議政策委員会の「基本的考え方」と「指針」

 あるべき研究評価システムについては,実は,政府によってすでに検討され一応のモデルが提示されている。首相の諮問機関である科学技術会議政策委員会の研究評価小委員会(事務局は科学技術庁)が1986年6月に定めた研究評価の基本的考え方と,9月に定めた研究評価のための指針がそれである。ここでは,この「基本的考え方」と「指針」について検討しよう(注10)。

 まず研究評価のあり方は,研究評価の概念の内容や研究開発の属性等によって多様に変化し,あらゆる研究評価に共通して適用しうる研究評価システムはありえないとされている。研究開発の属性としては,研究の性格(基礎,応用,開発等),種類(予算管理区分,たとえば経常,特別,指定等,または科学技術振興調整費等),領域(たとえば情報・電子,物質・材料,ライフサイエンス等),規模(大,中,小),期間(長期,中期,短期),形態(自主,受託,共同等)などがありうる。そこで研究評価システムの構築・運用に当たっては,どのような態様の研究評価であるかをあらかじめ明確にし,それに応じた研究評価のあり方を検討する必要があるとされる。

 とはいえ「基本的考え方」は,いかなる研究評価システムであっても満たさなければならない基本的なあり方として,実効性・継続性・柔軟性・透明性の4点を指摘している。

 次にそれらを実現するための留意点が「指針」では指摘されている。実効性については,基礎的研究と開発的研究を峻別して研究評価システムを検討すること,(研究者と評価者の)すりあわせを重視した評価形態とすること,(当該研究開発の意義や研究水準等の)位置同定を重視すること,研究開発の目標を明確にすることの4つが指摘され,継続性については,文書化されたフォーマットを使用すること,研究者および評価者の負担の少ない評価方法を用いることの2つが指摘され,柔軟性については,モニタリング結果等に応じ,評価項目等の見直しを適時行うこと,中間評価を実施することの2つが指摘され,透明性については,評価方法,評価項目,評価者等を明らかにすることが指摘されている。

 このうち基礎的研究と開発的研究の峻別については,基礎的研究にあっては,主として新しい芽を育てる観点(独創性の高い研究開発課題の選択と推進,成果の発掘等)から評価を行うのが適切とされ,開発的研究にあっては,主として円滑な研究開発を推進する観点(必要性・有用性の高い研究開発課題の選択と推進,効率的・効果的な研究開発資源の配分等)から評価を行うのが適切であるとされている。また,中間評価の実施については,事前評価の時点において中間評価の時期と目標を設定しておくことが有効であるとされ,とくに開発的研究では効果的・効率的に研究開発を推進する観点からこれが重要とされる。

表1 評価の時期と目的

研究の分類・研究の構造

 これらの検討の後,具体的なケースにかかわる研究評価システムの構成要素の設定を行っている。

(2)マクロ評価とミクロ評価のフローモデル

 研究評価は,評価の時期によりそれぞれ目的が異なる。表1は,事前・中途・事後の各段階における研究評価の目的を,マクロな政策レベルとミクロなプロジェクト・課題レベル,および組織レベルなどに分けて示したものである。

 研究開発開始前の計画段階で行われる事前評価は,政策方針や予算総枠といったマクロ的,分野別プロジェクトヘの資源配分といったセミマクロ的レベルの決定と,個別プロジェクト・テーマの選定といったミクロレベルの決定を行うことが目的である。実施段階で行われる中途評価は,研究の進行をチェックして,必要なら課題の予算や目標,方法を修正したり,場合によっては政策の変更を行うことが目的である。終了後に行われる事後評価は,研究の成果や効果をチェックして,新課題設定や研究者の業績評価,評価法自体の評価,政策やプロジェクトの見直しなどに向けて情報提供を行うことが目的である。これらの中では,研究費を獲得する意味から,事前評価に比較的重点がおかれてきたといえるが,アカウンタビリティの観点からは中途評価や事後評価がより重要となる。

図3 評価のフロー

 事前・中途・事後の各評価がどのように関係して行われるのかを示したのが図3である。

 この評価フロー図では,各評価における目的・対象と評価者がマクロ・ミクロのレベルに応じて示されている。そして各段階の評価は,上からの配分・割当と下からの積上げ・提案の交換関係の連鎖により関係づけられている。

 左上のもっともマクロな国の科学技術政策や産業政策の目標は,国会や内閣のレベルで立案・決定され,それがセミマクロな各省庁レベルの予算総枠の決定や分野別配分,個別プロジェクトの選定等を拘束することになる。また,ミクロの各研究所レベルにおいても同様に,まず所長・企画室レベルで,研究所の予算や人員の規模(総枠)が本省庁との関係で決定された後,分野別に配分され,さらに個別課題が選定されることになる。そして個別課題が選定された後は,研究室長レベルでその実施が行われることになる。

 アカウンタビリティの観点からは,課題やプロジェクト,政策の見直しにつながるフィードバックの要素が重要である。基本にあるのは右下のミクロレベルの研究所内で行われる中途・事後評価であり,その結果が研究の目標・予算・日程の修正や既存課題の継続や中止の提案,新規課題候補の提案という形でフィードバックされることになる。また,それが研究所の規模の修正や,本省レベルでの個別プロジェクト選定,分野別配分,さらには予算枠の決定にまでフィードバックされることもある。

 ここで重要なことは,図3では必ずしも明示的ではないが,マクロの政策目標の設定,セミマクロの総枠決定・分野別配分・個別プロジェクト選定,ミクロの個別課題選定の各レベルごとに,決定者の地位と評価者のそれは次のように位置づけられるべきであるという点である。すなわち,評価者の地位は,決定者のそれと同位か上位(内部評価・自己評価),または決定者から独立した強力な第三者(外部評価)であるべきである。こうすることにより,評価の結果が次回の決定にフィードバックされやすくなろう。

Ⅳ 研究評価システムの実態

 研究評価システムは,現実にはどの程度機能しているだろうか。ミクロとマクロのレベル別に検討しよう。結論を先取りすると,ミクロレベルでは,不十分ながらも少しずつ研究評価システムが整備される方向にある。マクロレベルでは,各省庁レベルでは省庁による違いはあるがプロジェクトの評価を行っている。内閣・総理府レベルになると各省庁の枠を越える評価とそれに基づく総合調整は十分とはいえない。マクロレベルの研究開発推進体制,研究開発マネジメント体制の整備が望まれよう。

1 ミクロレベルの評価

 ここでは,総務庁が1990年10月から91年3月にかけて調査し,92年6月に科学技術庁等13省庁に対して勧告した行政監察のデータなどを参考にして,研究開発の実施部門である国立試験研究機関,研究関係の特殊法人,大学における評価の実態をみておこう(注11)。

 この調査結果に基づいて,総務庁は関係省庁に対し,外部の有識者による研究評価システムの導入(注12)等多様な対応を図るとともに,評価結果を研究の進行管理,研究費の配分等に一層反映させるよう指導することを求めている。

表2 調査対象国立試験研究機関における研究評価の実施状況

(1)国立試験研究機関と研究関係の特殊法人

 表2は,調査対象となった45の国立試験研究機関における研究評価の実施状況をまとめたものである。

 これによると,調査した45国立試験研究機関のすべてが研究機関内部において研究評価制度を導入しているが,その実施状況をみるとさらに充実・強化の余地があるとされる。まず,本省庁が企画・立案しているプロジェクト研究以外の研究課題の選定についての事前評価に関し,外部の有識者からニーズの把握を組織的に行っているところは27機関(60%)となっている。また,研究の進行管理状況をみると,平成元年度に中間評価の結果に基づき研究課題の中止を行っている機関は15機関(33.3%),研究の継続発展に反映させている機関は35機関(77.8%)あるが,いずれも実施していない機関は9機関(20%)となっている。さらに,研究終了後の事後評価について,部内者のみを構成員とする組織で実施している機関は26機関(57.8%),外部の有識者を含む評価委員会等により実施している機関は19機関(42.2%)となっている。そして研究評価の結果に基づき,経常研究費を重点配分する仕組みを設けている機関は6機関(13.3%)となっている。また,表には掲げていないが,基礎的研究と応用・開発研究等の研究ごとにその性格に応じた研究評価の方法を定めているところは皆無となっている。

 公共性を確保しつつも企業性を最大限発揮することが求められる特殊法人は,その活性化の一環として適切な基準に基づく業績評価の実施が必要とされている。1989年から90年にかけて調査し91年に勧告した総務庁の調査結果によると,共通活性化方策の適用対象73法人のうち,業績評価を実施しているのは19法人のみであった(注13)。このうち研究開発関係の特殊法人についてみると,全体で10法人のうち7法人で業績評価を実施している(注14)。この場合の業績評価は研究の事後評価に近いものといえるが,外部の有識者が参加する事後評価を行っているのは4法人となっている。さらに評価の結果を事業計画や業務運営に反映させているのは,特殊法人レベルでは4法人,主管省庁レベルでは2省庁(5法人)となっている(注15)。

 92年に勧告を出した行政監察には,良い事例として理研の研究業績レビュー制度が紹介されている。その概要は以下のとおりである。評価の目的は「研究所並びに研究室及び研究グループの研究活動の活性化と新たな展開に資する」とされ,対象範囲は,原則として,①主任研究員就任後10年を経過した研究室または研究グループ(理事長が必要と認めるときは,主任研究員就任後10年を経過しない研究室等),②既レビュー後5年以上経過した研究室または研究グループで毎年度理事長が選定する(運用上,研究室主宰後7年あるいはレビュー後7年を経過したものとしている。)4〜5の研究室等,で毎年度実施される。

 評価項目は,①研究目標の設定(新規性,学問的意義,外的条件),②研究成果(独創性,学術的な意義,社会的効果),③研究室の運営(研究者の構成,研究者の交流,設備等),④今後の研究計画(関連分野との連携の可能性,今後の研究計画)となっている。実施方法は,研究業績報告会および意見交換会を開催するとともに,外部の専門家によるレビューアーが報告会結果等を踏まえ上記レビュー事項について評価し,後日報告書を提出する。そしてその報告書に基づいて最終的には理事長がレビューするという実施体制をとっている。ただしそのレビューは,業務運営には反映されているが,事業計画に直ちに活用することは困難とされている。

表3 科研費による研究の評価の実施状況

(2)大学

 国立大学等においては,最近「自己点検・評価」のシステムが整備されつつあるものの,研究評価についての体制,方法等は一般的には整備されていない。その中で良い事例として筑波大学と東京大学生産技術研究所の評価システムが紹介されている。

2 マクロレベルの評価

 ここでは,研究開発の政策・管理部門である各省庁レベルと内閣・総理府レベルにおける研究評価について,総務庁の行政監察などを参考にして検討しよう。

(1)各省庁

 各本省庁レベルで行われるプロジェクト研究の評価システムの全体像についてのデータは,残念ながら手元にない。わずかに文部省の科研費による研究の評価状況についてのデータがあるくらいである(注16)。

①科研費による研究の評価状況

 表3は科研賛による研究の評価状況を示している。

 1件当りの金額が大きい特別推進研究(90年度23億円,44件),がん特別研究(同21億円,226件),重点領域研究(同143億円,1,690件)については,中間評価として,一定期間ごとに学術審議会科研費分科会企画部会の委員がチェック・アンド・レビューを行っており,また,がん特別研究と重点領域研究については,各研究グループにおいて自発的に設けた評価委員が毎年チェックを行っている。さらに,研究終了後の事後評価は,重点領域研究については領域別に設けた科研費分科会の委員が評価を行っているが,特別推進研究とがん特別研究については,研究者が自発的な学会等への発表やシンポジウム等を開催している。

 総合研究(同27億円,681件),一般研究(同171億円,9,400件)等については,研究実施件数が多いため,中間評価として,大学と研究課題を抽出(同17大学,62件)し,科研費分科会企画部会の委員が現地調査を行っている。しかし,研究終了後の評価は,研究者が自主的に学会・学会誌等への発表を行うにとどまっている。また,企画部会委員による中間評価の結果は,重点領域研究についてのみ,参考として翌年度の科研費の継続申請に対する配分審査に反映させている。

 この行政監察は,事後評価を実施する研究種目を拡大するなど,より的確な評価を行う方策を検討するとともに,中間評価の結果を次の科研費の配分審査に的確に反映させることについて検討するよう勧告している。

②政策審議機関による評価と一元的研究推進体制

 一般に,本省庁レベルのプロジェクトについては,審議会など政策審議機関の評価担当組織が,中間評価や事後評価を行っているようである。たとえば通産省のサンシャイン計画における太陽光発電の技術開発計画については,産業技術審議会新エネルギー技術開発部会太陽エネルギー分科会が,定期的に中間評価を行い,その結果を次期の開発スケジュールの見直しに反映させている(注17)。この産技審の事務局は工業技術院であるが,工技院の特徴は,研究開発の企画調整だけでなく,各研究機関の人事・会計・組織などの資源を一元的に管理する権限をもっている点である。そのため通産省では,各研究機関の枠を越えた人事や組織の研究調整が比較的実施されている。

 総務庁の行政監察によれば,各研究機関の枠を越えた研究組織の見直しの実行は,本省庁において研究の企画調整のみでなく,人事管理,組織管理とも一元的に所掌しなければ,その実施は各種の利害が複雑にからみ困難であろう,という各省庁の関係者の意見を紹介している。通産省に似た一元的な研究推進体制をもっているのは農水省と建設省であり,逆に,研究の企画調整部門と人事・組織管理部門が分かれているのは厚生省や労働省である(注18)。

(2)内閣・総理府

 内閣・総理府レベルでの評価と調整は,主に科学技術庁が担当している。

①科学技術庁の業務

 科学技術庁は大きく分けて2つの業務を行っている。一つは,原子力や宇宙・海洋開発などの大規模プロジェクト,ライフサイエンスなど各省庁の枠を越える基礎的研究開発,研究開発基盤の整備といった実施部門で行う業務であり,もう一つは,科学技術に関する基本政策の企画,立案,推進や関係行政機関の科学技術に関する事務の総合調整といった政策・管理部門で行う業務である。実施部門は科技庁傘下の各研究機関や研究関係の特殊法人であり,そこで行われる研究評価の実態は前でみたとおりである。問題なのは,各省庁やその研究機関が行うミクロレベルでの評価が,科技庁のもう一つの業務である各研究機関や各省庁間のマクロレベルでの調整にどのように関係づけられているかである。

 科技庁内部における各研究機関の枠を越えた組織的調整は,平均程度に行われているようであるが(注19),各省庁を越えた総合調整はきわめて限られているようである。科技庁が行う総合調整の手段は2つある。一つは科学技術に関する経費の見積もり方針の調整であり,もう一つは科学技術振興調整費である(注20)。

②科学技術に関する経費の見積もり方針の調整

 この制度は,科技庁設置法の規定に基づいて,毎年度「科学技術に関する経費の見積もり方針の調整の基本方針」を決定し,関係省庁から概算要求構想等について説明を聴取し,その結果を調整意見書として取りまとめたうえ,政府予算編成に反映されるよう大蔵省と総務庁に提出しているものである。総務庁の行政監察によれば,関係省庁の概算要求にかかわる研究開発課題のうち,相互に関連する研究開発課題については,不必要な重複の排除等に主眼をおいた調整が行われており,研究の目的,内容,手法について,関係各省庁の分担等に関し調整を行ったものは1990年度概算要求では5件,91年度概算要求では4件となっている。また,複数省庁の別個の要求構想を共同研究とする等の調整を行ったものはこれまで3件となっている。同監察は,研究の学際化,基礎的・先導的研究への重点の移行等により,各省庁,各研究機関間での研究内容の類似化が進んでおり,また,他分野にわたる複合領域の研究がさらに増大することが見込まれるため,科技庁が,経費の見積もり方針の調整に当たって,各省庁プロジェクト相互間および研究開発組織を越えた連携・協力が一層推進されるよう努めていくことが重要と指摘している(注21)。

③科学技術振興調整費

 科学技術振興調整費は,総合的な科学技術の振興を図り科学技術会議の総合調整の実を上げるため,科技庁に一括して計上される経費として 1981年度に創設された。その予算額は94年度には155億円に上っており,その運用は,81年3月に科学技術会議において決定された基本方針,および各年度ごとに同会議政策委員会が決定する具体的な運用方針に沿ってなされている。

 この調整費による研究は,①基礎的・先導的科学技術分野を中心とした,産学官の有機的連携によって行う総合研究(94年度76億円, 38課題),②国立試験研究機関が,わが国における基礎研究を強力にリードする拠点となる自己努力を支援する中核的研究拠点(COE)育成(同20億円,3機関),③国立試験研究機関における革新的技術シーズの創出を図るための重点基礎研究(同14億円,203課題)などの区分により実施されている。これらの運用体制は,主に,科学技術会議政策委員会の研究調査小委員会が新規研究課題・実施計画を検討し,研究評価小委員会が研究実施課題の中間評価と事後評価を担当している。

 研究評価小委員会は,総合研究の事後評価,中間評価,省際基礎研究の事後評価,地域流動研究の事後評価のほか政策委員会が必要と認めた研究について評価を実施するものとされている。中間評価については第Ⅰ期終了年度(3年目)に,事後評価については終了(5年目)の次の年度に実施される。その内容は,当該研究の目標の達成の程度,研究成果の価値,研究計画の修正の要否,研究継続の可否その他当該研究の評価に必要な事項について調査検討を行うものとされ,必要に応じて,研究課題ごとにワーキンググループを設け,専門的調査検討を行うことができるものとされている。さらに小委員会は,評価を行う際に当該研究の実施者側から説明を受けたり,必要に応じ,関係省庁,民間,学識経験者の意見を求めることができるものとされている。

④科技庁による総合調整の限界と総務庁による行政監察

 研究評価小委員会は科学技術振興調整費により実施した研究についての中間・事後の評価を主に行っており,研究評価のあり方一般に関する調査検討は,前出の「基本的考え方」と「指針」を作成したほかは,各機関の自主性にまかせているにとどまっている。したがって「基本的考え方」や「指針」は,調整費の155憶円の研究については評価システムに活かされているといえるが,総務庁の行政監察でも指摘されていたように,他の多くの研究機関に十分に浸透していないという問題がある。

 この科技庁による総合調整の限界は,主に調整の具体的手段が不足していることによると考えられる。各省庁レベルの研究調整の実効性が,主に研究の企画調整と人事・組織管理とが一元的に推進される体制ができているかにかかっているのと同様に,内閣・総理府レベルの研究調整の実効性も,研究推進のマネジメント体制如何にかかっているといえる。その意味では,研究開発の総合調整を実効的に行っているのは,むしろ総務庁の行政監察かもしれない。定員管理と組織管理の権限を背景に行われる行政監察は,各省庁にとって「脅威」であり,その意味で勧告が実行される可能性が高い。科学技術行政に対する行政監察は,国の科学技術政策の大綱(閣議決定事項)の基礎となる科学技術会議の各答申についてもレビューしており,答申のフォローアップを充実するよう科技庁に対し勧告している(注22)。これはマクロ評価に近い。また,この行政監察は,会計検査的なアプローチも行っている(注23)。本稿でも,研究評価の実態データの大部分を,この行政監察結果に依存した。行政監察はアカウンタビリティの確保に役立っているといえる(注24)。

 以上の実態をまとめると,各研究機関のミクロレベルでの課題やプロジェクト,業績の評価は少しずつ整備されつつあるが,各省庁や内閣・総理府のマクロレベルになると,所管のプロジェクトの評価についてはともかく,研究機関や省庁を越える政策の評価はほとんど行われていない。その意味では,国の研究開発においては戦略よりも戦術が重視されているといえる(注25)。また,評価結果のフィードバックについては,ミクロレベルの中間・事後評価が課題やプロジェクトの見直しにつながることはあっても,マクロレベルの中間・事後評価は限られており,しかもそれが研究機関や省庁の枠を越えた総合調整で政策の見直しにつながることは少ない。

Ⅴ まとめ

 以上の検討結果について,国の研究評価システムに対し会計検査院がどのようにかかわるかという本稿のテーマの観点からまとめておこう。

 第一に,評価のシステムという視点からは,アカウンタビリティを検証・確保するための評価機関は重層的であって,マクロレベルの評価とミクロレベルの評価が分業しつつも相互に有機的に連携していることが好ましい,という点である。この視点から会計検査院を捉えてみると,これまでの検査は,本来内部の評価機関が担当すべきミクロ評価に重点がおかれていたように思われる。そこで今後は,外部の評価機関が行うべきマクロ評価や,評価全体のシステムの評価にもアプローチする方法を検討し開発することが課題となってこよう。

 第二に,研究評価のシステムについてみると,すでに科学技術会議がその考え方や指針を提案し貝体化の段階に入っている点である。そして研究評価の実態を検討した結果,ミクロレベルの評価は少しずつ整備されつつあるが,マクロレベルの評価は総合調整の手段が限られていることもあって不十分であることが明らかになった。

 第三に,三権から独立した会計検査院の行うべき役割としては,総務庁の行政監察のような質的評価ではなく財政・会計的な量的評価を基本として,具体的な研究評価の結果を情報提供することが考えられる。たとえば,会計検査院が以前『決算検査報告』の特記事項で,原子力船「むつ」の有効性評価を行ったのはその一例である(注26)。そして基礎研究よりは応用・開発研究の個別プロジェクト・課題のミクロ評価を蓄積するとともに,国の科学技術政策の方向を視野に入れたマクロ評価や評価システム全体の評価を行う可能性も考えられないであろうか。法律上,組織上の問題があるとはいえ,会計検査院の果たす役割に対する社会の側からの期待は大きい。本稿では,そうした今後の会計検査院の役割を考えるために,研究評価システムについての一般的な考察を行ったわけである。

[注]

 本稿の作成にあたっては行政実態調査やヒアリングを実施し,たいへん多くの方々にお世話になった。それらの機関には,科学技術庁科学技術政策局,同科学技術政策研究所,岡崎国立共同研究機構(生理学研究所・基礎生物学研究所・分子科学研究所),北陸先端科学技術大学院大学,工業技術院筑波研究センター(生命工学工業技術研究所・電子技術総合研究所・産業技術融合領域研究所),高エネルギー物理学研究所,新エネルギー・産業技術総合開発機構、宇宙開発事業団種子島宇宙センター,同筑波宇宙センター,石油公団,志布志石油備蓄株式会社が含まれる。多忙にもかかわらず,施設の見学,資料の作成・説明・提供,質疑応答と意見交換などを快く引き受けてくださった方々に改めて感謝したい。また,会計検査院審議室研究班のメンバーには私の研究をサポートしていただいた。とりわけ吉江勉氏からは日頃の議論や実態調査をとおして多くの示唆やヒントを与えていただいた。心から感謝したいと思う。                       

(注1)公的会計責任(public accountability)概念については,西尾勝「アカウンタビリティの概念」(『会計検査研究』創刊号,1989年8月),28〜34ページ,平成3年度会計検査院委託研究『政策評価に関する調査研究』(日本システム開発研究所,1992年3月),1〜11ページ。

(注2)James M.Buchanan,"The Triumph of Economic Science"(『会計検査研究』第7号,1993年3月),5〜14ページ,(黒川・勝野訳「経済学の勝利」),15〜23ページ。

(注3)宮川公男『政策科学の基礎』(東洋経済新報社,1994年),同「新しい会計検査の確立に向けて−若干の考察−」(『会計検査研究』創刊号,1989年8月),9ページ。

(注4)宮川,前掲論文,11ページ。

(注5)『パブリック・アカウンタビリティと会計検査に関する調査研究報告書』(日本システム開発研究所,1991年3月)。

(注6)山本清「会計検査と政策評価−アカウンタビリティの観点から−」(『会計検査の現状の比較制度論的研究−英,仏両国を事例として−』統計研究会,1994年3月)87〜99ページ。なおこの論文で使われるマクロ評価とミクロ評価の区別は,相対的なもので あって絶対的なものではない。そのため,どのレベルの評価がどの評価機関で行われるかは,一義的ではなく相対的に判断されるべき性質の問題である。

(注7)「第5回会計検査問題研究会(発言要旨)」(会計検査院審議室研究班,1987年10月29日),4ページにおける山本清氏の発言。

(注8)科学技術庁科学技術政策局編『科学技術要覧 平成5年版』(大蔵省印刷局,1993年),3〜6ページ,より体系的・長期的・比較的観点からは科学技術庁科学技術政策研究所編『体系科学技術指標 1991年版』(大蔵省印刷局,1992年)を参照。

(注9)Kiyoshi Yamamoto,"R&D and Auditing in the Public Sector"(Hajime, Eto ed., R&D Strategies in Japan : the National , Regional, and Corporate Approach, Amsterdam : Elsevier, 1993),pp.73-112,山本清「政府部門における研究開発と監査」(『商学討究(小樽商科大学)』43巻3・4合併号,1993年3月),265〜295ページ。

(注10)「[参考資料]研究開発(先端科学技術関連)に関する業績評価」(会計検査院審議室研究班,1987年10月29日),8〜11ページ。

(注11)総務庁行政監察局編『科学技術行政の現状と問題点』(大蔵省印刷局,1992年),296〜305ページ。

(注12)欧米諸国の研究評価においては,ピアレビューと呼ばれる第三者の専門家による評価が広く採り入れられている。『研究評価に関する調査研究報告書』(旭リサーチセンター,1983年)。

(注13)総務庁行政監察局編『特殊法人における業績評価の現状と問題点』(大蔵省印刷局,1991年)。総務庁は,特殊法人の業績評価が臨調・行革審答申や閣議決定に基づくものであり,その実施を推進する観点から「特殊法人の業績評価に関する指針」を作成し別紙に掲げている。業績評価基準は,別添の6つの「事業類型別業績評価の項目」を参考にして設定するものとしている。なお,この調査における「業績評価」は,「はしがき」において,「特珠法人が主務大臣の指導監督の下において、事業の具体的な実施に当たって認められている責任と裁量の範囲において,その事業活動を評価するものであり,また,特殊法人の事業活動がどの程度国の政策目的に寄与,貢献したかという,いわゆる政策効果の評価を含んだものでは」ない,とされている。

(注14)業績評価を実施しているのは新技術事業団,動力炉・核燃料開発事業団,宇宙開発事業団,日本原子力研究所,理化学研究所,社会保障研究所,新エネルギー・産業技術総合開発機構の7法人,実施していないのは放送大学学園,アジア経済研究所,日本労働研究機構の3法人である。

(注15)企画調整部門が外部の専門家を活用して事業別業績評価案を作成するのは新技術事業団,理研,社会保障研究所,新エネ機構の4法人,評価結果を事業計画や業務運営に反映させているのは,特殊法人レベルでは原研,動燃,宇宙開発事業団,新エネ機構の4法人,主管省庁レベルでは科学技術庁(新技術事業団,動燃,宇宙開発事業団,原研),通産省(新エネ機構)の2省庁(5法人)である。

(注16)総務庁行政監察局編,前掲『科学技術行政……・』,43〜57ページ。

(注17)『「太陽光発電技術開発の今後の進め方について」中間報告書』(産業技術審議会新エネルギー技術開発部会太陽エネルギー分科会,1993年3月19日)。

(注18)総務庁行政監察局編,前掲『科学技術行政……』,58〜70ページ。

(注19)同上,63ページ。

(注20)以下,科学技術庁科学技術政策局から提供していただいた資料(「科学技術振興に係る諸施策の現状について」,「科学技術に関する総合調整業務について」ほか)とヒアリングによる。

(注21)総務庁行政監察局編,前掲『科学技術行政……』,24〜33ページ。

(注22)同上,2〜11ページ。

(注23)たとえば各省庁における民間企業等に対する研究助成制度の改善,研究開発会社に対する出資制度の運営の改善,(大型)研究施設・設備の設置・運営についての効率的改善などの指摘である。同上,81〜128ページ。なお,通産省や農水省が行っている企業等の共同研究開発(鉱工業技術研究組合)の政策評価については,このほかに,米国の新通商・産業政策に対する構造的・戦略的対応に関する研究会『検証「戦略的通商政策」』(住友生命総合研究所,1994年)や『政策評価手法に関する調査研究報告書』(日本システム開発研究所,1993年)などがある。

(注24)山谷清志「政策評価と行政統制理論の動向−行政監察とプログラム評価−」(行政管理研究センター調査研究部編『政策形成と行政官の役割』行政管理研究センター,1990年),134〜178ページ。

(注25)企業や欧米諸国の研究評価においては,研究所レベルのミクロ評価とともに本社(省庁)レベルのマクロ評価が重視され,戦略面の評価がより進んでいるといわれる。『研究評価のあり方に関する調査研究報告書』(旭リサーチセンター,1983年),「Ⅳ.技術・研究開発活動をどう評価するか」(『研究開発・技術開発総覧』(株)産業調査会事典出版センター,1989年),199〜247ページ,『研究開発費の戦略的運用ハンドブック』((株)アーバンプロデュース,1992年),科学技術庁科学技術政策研究所編『日本企業にみる戦略的研究開発マネジメント』(大蔵省印刷局,1993 年)。

(注26)注9を参照。

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